奪還―引き裂かれた二十四年

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104599011

作品紹介・あらすじ

弟はどんな人間になっているのだろう?再会の時、頭に浮かんだのはその疑問だった-平穏な生活を突然に破壊した「北朝鮮拉致」。残された家族の悲嘆と絶望、無為無策の政治家・警察・外務省への怒り、感動の帰国をめぐる異常な混乱、そして"洗脳"を解くための論争の日々…。四半世紀にわたり最悪の国家犯罪と闘い続けた兄が、全てを語り尽くした渾身の手記。

感想・レビュー・書評

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  • 以前から 拉致被害者の事は気になってて
    横田めぐみさんの関連本は読んだけど
    帰還した 人についての 本はまだだったので
    まずは お兄さん(当事者ではなく)から 読んでみました。
    書かれたのが ちょと前なのですが
    薫さんが 戻ってくるまでの道のりの長かった事。
    政治家の人などが 選挙前とかだと 親身になってきて その後は なしとか ・・・・・
    何度期待を裏切られてきたのでしょう。

    でも、やっと薫さんが 戻ってきても
    24年という年月。。。。
    お子さんの事もあって
    手放しでは喜べなかったようです。

    本人達も なんで24年もほおっておかれたのかとか 色々思っていた事もあるでしょう。
    そのあたりは 薫さんの 本を読んでみようかと 思います。

  • 北朝鮮の拉致被害者 の家族の手記。

    薫さんの蒸発から、約10余年 北朝鮮での生存情報がもたらされても 何もしない できない 日本政府。

    ならばと アメリカ 国連など に陳情にいくが
    埒があかない。


    マスコミの報道で 何か晴天の霹靂のように

    被害者の帰国が実現したような印象があったが
    被害者家族の懸命な訴えがあったこそだからなのかと思う。

    民主主義で政治を行うと 政治家は票がとれる大多数の意見か 国家間交渉のカードとなるかの モチベーションでししか動かない。
    ごく少数の
    悲運な人のために 働いても費用対効果が低いから そうなると考えると やるせない。

    100万人の署名でも政府は動かなかったのは
    この国の政府監視機能が働いていないからではないだろうか。

    続編の 第2章もよみたくなった。

  • ある日突然弟を北朝鮮に拉致された蓮池透氏の手記
    弟が帰国した際の「洗脳されているのでは?」という不安感。
    そして、弟の洗脳を解く/バッチを外し、北朝鮮に帰らないと言い切るまでの「戦い」
    しかし、内閣参与室がつくった「日程」に「お土産の購入」があったというのは…
    帰国させるための「名目」ではなく、本当に「一時帰国」にされる可能性は結構あったんだなと改めて思う。
    北朝鮮の日本人拉致が未だに解決していない現状を顧みると、世論というか国民感情が外交へ与える影響は「悪影響」として捉えられることが多々あり、その側面もあるのだろうが、それでもやはりその捉え方には同意できない。国民世論への「迎合」がなければ日本人拉致被害者の一部たりとも帰国できなかっただろうから。寺越武志さんのように来日するだけで幕引きさせられただろうから。

  • 蓮池薫さんの著書を読み、兄の透さんの方は、どんな心境だったのだろうと気になり、この本を手に取りました。薫さんが北朝鮮で絶望に打ちひしがれてた間、透さんら残された家族の方たちは、懸命に政治家や外務省などに働きかけてたのに、余りにも心ない対応にもどかしい日々を過ごされてた。報道を目にした時は関心を持つが、そうでない時はどうだっただろうかと…拉致問題だけでなく、関心を持ち続けることも、私たちにできる大切な事だと思いました。

  • 拉致被害者帰国から10年 いま改めて考える第1弾

    蓮池薫さんの兄の透さんの視点から見た拉致についての本
    戦う相手は北朝鮮よりも日本の政治家だったのだということがよく分かるのである。

  • 日米安保の話題でいざという時にアメリカは本当に日本を守ってくれるのかという議論があるが、本書を読むと日本政府すら日本国民を守る気があるのか疑わざるを得ず悲しくなった。

    しかし、拉致実行犯といわれている辛光洙(シン・ガンス)の釈放嘆願に署名している人が首相と法務大臣の国ってどんなブラックジョークなんだよ・・・。

    拉致被害者全員を一刻も早く救済するためにも、政権交代を望む!

  • (2005.03.07読了)(2005.01.08購入)
    副題「引き裂かれた二十四年」
    蓮池透さんの弟、蓮池薫さんが突然姿を消したのは、1978年7月31日。当時、蓮池薫さんは、中央大学法学部に在籍中で、20歳。夏休みに田舎の柏崎に帰省中だった。
    夕方「ちょっと出かけてくる」と言い残して、自転車で出かけたまま帰ってこなかった。その時の服装は、家族はTシャツに短パン、そしてサンダル履きと記憶していた。でも、本人は「茶色と白のストライプのラグビー・ジャージに、アディダスのスニーカーを履いていた」のだそうです。
    友人、先輩、知人に電話をかけて「知らない」と言う返事をもらった後、柏崎警察署に届け出て捜査を依頼した。「祐木子さんと駆け落ちしたのではないか」と言われたけど、何も持たずに出ているし、結婚の話になってもおらず、交際に反対されていたわけでもないので、駆け落ちをする理由が見当たらない。
    「二人揃って誘拐されたのかもしれないとも思いましたが、それにしては身代金を要求する電話などが一切ない。」警察は、何の捜査もしてくれなかった。
    1980年1月7日サンケイ新聞が「アベック3組ナゾの蒸発」と報じた。
    「現場は、いずれも、これまでに外国情報機関のスパイが上陸したことのある海岸に近く、事件前後に、不審な外国船が現場近くに停泊していたと言う有力情報もある」「アベックを抹殺して、その戸籍を入手、何らかの工作に利用しようとしたのではないか、と推定している」(記事を書いた記者に連絡をとったが記事以外の事は知らないといわれた。)
    テレビの家出人捜し番組に出たり、占い師に占ってもらったりもした。
    1987年11月29日バグダッド発ソウル行きの大韓航空機858便がビルマ沖に墜落。二人の北朝鮮工作員によって爆破されたことが明らかになった。
    事件の容疑者・金賢姫が、韓国当局の取調べに「私の教育係は、北朝鮮に拉致された日本人女性だった」と証言した。
    1988年3月26日参議院予算委員会の席上、梶山静六国家公安委員長が「昭和53年以来の一連のアベック行方不明事犯は、おそらくは北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚である」と答弁。日本経済新聞は夕刊で報道。読売・毎日・朝日は掲載せず。
    1991年1月北朝鮮との国交正常化交渉を開始。
    1996年10月号の「現代コリア」に「日本の海岸から北朝鮮に拉致された13歳の少女の話を紹介」。1997年2月3日、産経新聞と「AERA」が、横田めぐみさん拉致疑惑を始めて実名で報道。
    1997年3月25日、共産党の兵本さん、産経新聞の阿部さん、朝日放送の石高さんの三人のお膳立てで初めて被害者家族が一堂に会した。「北朝鮮による拉致」被害者家族連絡会が発足した。
    1997年12月、地方議会に「北朝鮮による拉致疑惑の、真相究明を求める決議を政府に提出して欲しい。」と訴えてまわると、朝鮮総連の人が「そんな決議をされたら、また在日朝鮮人がいじめられる」と泣き落としをして歩いた。
    1998年10月6日の法務省人権擁護局の課長に陳情。課長の回答は「外国にいる方の人権問題は、ここでは扱っていない」でした。
    2000年3月6日、外務省前で座り込みを決行。家族会と「救う会」のメンバー約60名。
    2001年5月金正日の息子の金正男が偽造旅券で不法入国を企て、強制退去。(なぜ、拉致問題の交渉の切り札として使わなかったのか。)現代日本には、戦略家、参謀がいない。
    2002年9月17日、小泉首相訪朝。
    2002年10月15日、拉致被害者5名帰国。

    著者 蓮池 透
    1955年 新潟県柏崎市生まれ
    1973年 新潟県立柏崎高校卒業
    1977年 東京理科大学電気工学科卒業
    1997年 『北朝鮮による拉致』被害者家族連絡会事務局長

    (「BOOK」データベースより)amazon
    弟はどんな人間になっているのだろう?再会の時、頭に浮かんだのはその疑問だった―平穏な生活を突然に破壊した「北朝鮮拉致」。残された家族の悲嘆と絶望、無為無策の政治家・警察・外務省への怒り、感動の帰国をめぐる異常な混乱、そして“洗脳”を解くための論争の日々…。四半世紀にわたり最悪の国家犯罪と闘い続けた兄が、全てを語り尽くした渾身の手記。

  • 24年ぶりに弟が還ってくる。昔のままの弟だろうか、どんな風に変わっているのだろうか。再会の喜びよりも不安な気持ちの方が大きかった。案ずる通り、すっかり洗脳されている薫さんに愕然とする。そうして二度とむこうには還らないと決意させるまでの家族や友人の説得、焦り、苛立ち等々、の苦しみもさることながら、やはり拉致されてからの被害者の苦悩は想像を絶する。すべて実名でよくここまで書かれたものだ。「家族を奪い還したい」被害者の共通したただその一心で突き進んでこられた凄まじい記録である。そして問題はいまだ解決していないということを忘れてはいけない。

  • これまた母が持っていたので、借りてきました。
    蓮池薫さんたちが日本に帰ってきたときの様子は、私もテレビで見ていました。
    「よかったなぁ」と思うと共に、「まだ終わってないんだなぁ」とも思いました。
    それにしても、日本の政治家たち。実名で色々書かれているのですが、最近テレビでよく見るあの人もこの人も、拉致問題に対してこんな態度だったのかと、それが一番驚きました。

  • つい最近学校の図書館で発見、1時間半程度で読了。思ったより読みやすかった。

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著者プロフィール

「拉致被害者家族会」元事務局長

「2010年 『拉致問題を考えなおす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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