エスケイプ,アブセント

著者 :
  • 新潮社
3.00
  • (7)
  • (37)
  • (121)
  • (30)
  • (11)
本棚登録 : 348
感想 : 88
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104669028

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『エスケイプ』
    四十歳になった江崎正臣は左翼活動をやめ、妹が始める託児所で働くことに決めた。
    働き出すその前に、江崎正臣はなんとなく大阪方面へ向かい、京都で神父と出会う。頭に浮かぶのは四歳の姪っ子、有理のことと自分と同じ顔をした双子の和臣のこと。

    『アブセント』
    三十六歳の和臣はつき合っている彼女との結婚とのことを考えなくちゃならないが、決めるのが面倒くさい。
    兄弟時代の友人が亡くなったことを知り、彼女の実家へ一緒に行くのをやめ、友人の葬式へ行く。

    -----------------------------------------------

    新左翼の思想に出会った双子。一方は東京でセクトに入り、もう一方はノンセクト・ラディラルを選んだ。
    2006年の正臣と、2002年の和臣の話。
    二人は別々の場所にいて、時期もすこしずれているけど、どちらも911のことを話題にしているのが面白い。

    八文字屋のマスターが四十歳の正臣を見て、「髪、切ったんやな」と言ったのは四年前の、三十六歳の和臣と見分けがつかなかったということだろう。双子だと知らなければ同一人物だと思って当然だ。
    数年越しに二人がすれ違った京都は、もしかすると仙台と福岡の中間くらいなのかもしれない。

  • するすると入ってくる文章なんだけど、心に残るというわけでもなく。

  • ロバートクワィンが出てくると知って読み始めたら、表紙のような淡い物語の中に時折出てくる哲学的な言葉と乾いたようなユーモアに魅かれた。

  • 久々の絲山先生ー?前すごく好きでひたすら読んでたのに今日はあまりヒットせず…刺激が欲しいんだな、いまのあたしは。笑

  • 【エスケイプ】時代遅れの職業革命家として20年を過ごした和臣。一念発起、運動から抜けて、妹の運営する託児所で働くことに。その前の一週間、思いついて京都で過ごした日々のストーリー。にしても、心の中は饒舌。人生こんなはずじゃなかったと嘆きつつも、すこしずつ「普通の」日常に喜びもみいだしていく。探してたエスケイプ /ジョディ・ハリス ロバート・クイン がきっかけで、神父と知り合い。「おれのレコ探しと革命の歴史。どっちもゴミだった」、居候として転がり込み、その正体がわかっても、簡単には切り捨てることができずに。 /9・11がなかったらおれはあのままだったかもしれないな。(略)自分がラディカルでもなんでもないことに気がついちゃったんだ。/神なんかより、近所の人の方がよほど神父のことを愛しているような気がするのはおれだけか。 /そして、長い間音信不通の双子の弟を探しつつ、その痕跡までは辿れて、と。 /【アブセント】こちらは、ついぞ交わらなかった、双子の弟の話。お互い、どうしてるかなと思いつつ、交わらない二人。関係をハッキリさせたい同棲する彼女をのらりくらりかわし、結局腹を決めて休みを取り実家へ行くことを決めるも、旧友の死を契機に京都行きを優先しら。 /気がついたらここにいた、という感じしかしない。そしてその感覚は大事だ。 /人間ってバカなことで死ぬもんだな、と思う。/最後の、まだ休みは残ってる、に、含みをもたせつつ。どちらも余韻を残した終わり方。

  • 逃げ続けるということは、ずっと自由になれないということなのかもしれない。

  • 俺が、妹の職場で働くことになって、それまでのがあと1週間。1人旅の物語。

  • 双子と同い年だなぁ。

  • 2015 1/8

  • 双子が好きだなァ!面白いようで、イマイチ!

全88件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1966年東京都生まれ。「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「袋小路の男」で川端賞、『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、「沖で待つ」で芥川賞、『薄情』で谷崎賞を受賞。

「2023年 『ばかもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

絲山秋子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×