忘れられたワルツ

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 88
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104669066

感想・レビュー・書評

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  • 重々しい表紙の写真とは異なって軽い内容~「恋愛雑用論」40代の私にとって恋愛も雑用だ。工務店の事務員の私に煩く話し掛けてくる出入りの業者も40代だが,小利口君と呼んで,恋愛対象にならない。デンマーク勤務の同級生はデンマーク人と別れたが,それも分かる気がする。「強震モニタ走馬燈」小学校から仲の良かった友達が離婚したから遊びに来てというので,行って餃子を作って食べてみたが,彼女は大きなモニタで地震の実況を見ているだけで,肝心な相談はできない儘。「葬式とオーロラ」小学校の理科の先生に救われ,その先生が死んだと聞いて,通夜と葬儀に一泊で出掛けたが,雪の高速で出会った女性は,雪の夜にオーロラを造る装置を運んでいて,PAのスタンプを集めてみたが,帰りに出会うことはなかった。「ニイタカヤマノボレ」1945.12.8に真珠湾攻撃を命じる信号を送った電波塔では,音符を投げ上げて占いをする予言者がいた。高校の同級生は私のことをアスペルガーだと言っていたが,何で自殺したか分かる様な,分からない様な。「NR」地方の会議に出掛ける同僚二人は,見慣れない駅名に驚き,降りてみたが,ここから元の世界に帰れない気がするのは,会社のホワイトボードにNoReturnと書いたからだった。「忘れられたワルツ」姉は母が浮気をしていると確信して尾行しているが,父は関心がない。「神と神田喜十郎」神田喜十郎は女装が趣味の70歳だ。高校の同級生が市長になって,プロパンガス会社勤務の傍ら,私設秘書の様な生活を送り,死んだ市長の母とは女装をして温泉旅行もした。歩道橋で転びそうになった時,手を差し伸べたのは神だった~どれも2011.3.11の震災に絡んでいるけど,普遍性を持つだろうか? 彼女は早稲田の10年後輩

  • 2011年から2012年頃に書かれたようで、作者の震災後の複雑な気持ちの変化が感じられた。

    絲山さんの感性か高尚すぎて
    私には
    理解や共感が追いつかず。

    伝えたいメッセージが
    わからないまま。

  •  意味がわからなければ、わからないままに、読めばなぜか懐かしを覚える絲山秋子さんの作品です。独立した7話が収録されています。「忘れられたワルツ」、2013.4発行。どれも味わい深いです。絲山さんですから、車、煙草、病の話はしっかりテーマになっていますw。私は、第3話「葬式とオーロラ」、第7話「神と増田喜十郎」が気に入りました!

  • 絲山秋子の本は何冊か読んだ。いずれも少し不思議な感じがある世界なのだが、本書はかなり幻想的な特色を持つ。
    意味のわからない話やメタファーもあるが、意味を探りたくなる深みがある。
    東日本大震災の後に書かれた短編集と知り、なるほどと意味を了解した部分もある。
    不穏さ、もの悲しさに浸るような作品も、どこかユーモラスでそれがシュールに思えるのがこの作者の持ち味だろう。
    描写は極端に省略され、それでも情景が浮かぶ。上手い。
    読書会の課題だったのだが
    ・忘れられたワルツ
    ・ニイタカヤマノボレ
    ・神と増田喜十郎
    この三編がとても気に入った。

  • 小品7作
    どの作品も主人公はそこし変わった人
    理解できるところとそうでないところがありそこし読みにくかった

  • あれからもう8年以上たって本当に忘れられてしまった。でも直後のあの不安と奇妙な高揚感、こんな感じで暮らしていたと思いだす空気感がある。

    短編集で一番最初の「恋愛雑用論」が一番好きだ。

    表題作の「忘れられたワルツ」はよくわからない。母と姉の不在、たくさんカマドウマが乗っている車。けれども「ご飯を作ってくれる人がいない」「父とふたりでどうしよう」 という戸惑いと不安な気持ちはわかるのだ。

  • 文学

  • 他の絲山作品と比べても観念的。手触りは朧。
    でも、やっぱり距離感がいい。

  • 部屋いっぱいのモニターに強い震度を監視する装置をおき、それを眺めてばかりいる昔の友人(「強震モニタ走馬灯」)。恩師の葬式に向かう高速のSAで出会った、オーロラを密閉した器具を運んでいるという女性(「葬式とオーロラ」)。いつもの電車で取引先に向かったのに、知らない駅にたどり着き、取引先も見当たらず、もう本当に戻れない「NR」。激しくピアノを引いたあと、母の間男を捕まえに行くと鬼の形相で出かけていく姉、使うあてもない外国語の学習に熱中する父、家族のことをあれこれ思い悩みつつ、結局は大丈夫なはずと自分に言い聞かせる主人公の、おかしみとどこにも行けなさ(「忘れられたワルツ」)。恋愛は雑用、雑用は雑用を呼ぶ、不要ではないから関わりを持たされてしまうという持論を繰り広げる事務員が主人公の「恋愛雑用論」。恋人にお前はアスペルガーだからと責められ、恋人への見方が覚めるのと、死んだいとこと自分が同じだったとさとる、「ニイタカヤマノボレ」。真面目だけが取り柄で自分を他人と比べないことが美質で、幼馴染の議員の私設秘書となり、密かに女装を楽しんでいたけど、議員の妻には見抜かれ、老婆同士遊びにいきましょ、と誘われる、「神と増田喜十郎」。突飛な想定や一見極論を提示しつつ描かれる人間模様に引き込まれる。議員秘書の妻の見せた暖かさが特に印象に。

  • 文庫本で読み直しだ。イトヤママンスに突入。

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「袋小路の男」で川端賞、『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、「沖で待つ」で芥川賞、『薄情』で谷崎賞を受賞。

「2023年 『ばかもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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