神様がくれた涙

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104694037

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で題名に惹かれて借りて読みました。
    若くしてガンになった人の苦悩と感動の物語とは知らずに。
    道半ばで余命宣告を受ける「何で私がなるの」生きるって何かを突きつけられる。
    著者自身もガンで38歳で亡くなっている。
    この本が亡くなる半年くらい前に書かれている事にも驚いた。
    手紙屋Heaven という緩和ケアルームの大切さも実感した。
    「もし明日、この世の終わりがやってこようとも、
    私は今日リンゴの木を植えよう」マルティン・ルターからの引用が心に残った。
    著者はこの本以外にも2冊書いている。
    それも読んでみようと思う。
    この本に出会えた事に感謝します。
    感動の一冊です。

  • 前作を読んだのは、ちょうど著者が亡くなった頃でした。

    全く気付かないうちに、続きが出版されていたことを図書館で

    偶然に見つけたことによって知りました。


    前作もテーマだけを聞いたときに感じる、勝手な内容の想像を

    上回る深く、考えさせられるものでしたが、今回もそうでした。


    この作品の中に登場する引用部分の更に引用なのですが、


    『もし明日、この世の終わりがやってこようとも、
    私は今日リンゴの木を植えよう マルティン・ルター』


    を読んで乳癌で旅立った友人の生き様を思い出しました。


    まだ病状がよかった頃に病気を隠して私たちみんなと

    一人ずつ会っていました。そしてその後、生きて会えることは

    ありませんでした。


    今の私は、この言葉の意味を表面的にしか理解できて

    いないと思います。でも自然に思い出しました。



    この作品に登場する男性もこの言葉によって勇気付けられ、

    死を受け入れながらも、あくまでも前向きに生き抜きました。


    私の友人もそうだったのではないかと思います。


    旅立ちの1週間前まで車を運転し、オレンジ色の車を買うんだと

    家族に話し、よくなるからと病気のことは家族以外の誰にも話していませんでした。

    そして、“会おうよ”と誘う私たちには“今ちょっと仕事が忙しくてさ”なんて言ってました。


    作品の男性は、関わった人の心に生き続けることになりました。


    私の友人も私の心の中に生き続けています。

    これ以上にない思いやりと優しさをプレゼントしてくれた

    大切な友人を忘れられるはずがありません。


    余計な心配はさせたくない

    苦しんでる姿は見せたくない

    楽しい思い出だけを持ち続けてもらいたい


    きっと友人はそう思っていたのではないかと思います。


    そしてよくなったら何事もなかったかのように笑って、

    『久しぶり~やっと仕事が一段落したよ』
    なんてとぼけたんだろうな。

    そして5年経って完治したって言える時になってやっと
    実はあの時ってカミングアウトしたんだろうなって思います。


    著者の飯島夏樹さんもこれらの作品を通じて多くの人の心に

    生き続けているんだろうなと思いました。

    夏樹さんも最後まで、リンゴの木を植え続けて
    いたんだろうなって思いました。

    なんかよくわからないけれど、こんなことを思った作品でした。

  • 「もし明日、この世の終わりがやってこようとも、私は今日リンゴの木を植えよう」―私もそうありたいなぁと思いました。私は幸運な事にまだ大きな病気にはかかったことがありません。だから、雄治君みたいに不安のあまり腐ってしまう気持ちも、ノブさんのように最後を受け入れた上で頑張れるかどうかも、分からないけれど貰った気持ちや教えて貰った言葉達(「命にしがみつくんじゃなくて、生き甲斐をなくしちゃいけない」、「人生、長さじゃあないんだよ」)は大切にして生きていきたいと思いました。ところでこの本読みながら沢山沢山泣きましたが、神様がくれた涙ではないと思います。神様とかじゃなくて、精一杯頑張って生きようとしている人達がくれた涙だと思います。そうゆう本でした。

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