コンゴ・ジャーニー 下

  • 新潮社
4.09
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105058524

作品紹介・あらすじ

恐竜の棲む秘密の湖めざし、全財産をはたいて丸木舟の旅に出る。ピグミーチンパンジーの性生活から、まじない師による「呪い」の方法まで。発見、恐怖、ユーモアに満ちた大旅行記。

感想・レビュー・書評

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  • コンゴジャーニー 下巻 コンゴ探検記 この本を読んでも 絶対に行きたいとは思わないが 凄い本だった

    学術的なフィールドワークの記録。コンゴにおいて、古来から姿を変えず存在する生物だけでなく、アフリカの人々や 現地の人々が信じる呪いも 人類や信仰のルーツとして、観察対象としている感じ。


    著者が 全財産をかけて、コンゴ探検で得たものは、人類や生命の秘密であり、死の恐怖を理性で乗り越えること(宗教により理性を放棄するのでなく)


    違法薬物によるトリップ体験の中での動物サマレとの対話や赤ん坊ゴリラとの会話は 秀逸


    著者の到達点
    *人類史は 無目的な突然変異の積み重ねの産物であり〜淘汰だけに支配された進化の結果である
    *淘汰以外は すべて おまけ〜科学も宗教も〜そのおまけを楽しんでほしい
    *私たちは誰でも昔はアフリカ人〜地球上の誰もがアフリカの出

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1000773142

  • 長い長いコンゴの旅がやっと終わった。
    幻の恐竜を探す探検記だが、大変面白く読んだ。結局、恐竜を見つけることは出来なかったが、それ以上のドラマがこの本に詰まっている。アフリカの共産国家、ジャングル、ピグミー、村長、呪い師、霊、虫、動物たち。私達とかけ離れた世界に住む、住民。

  • イギリスの紀行作家レドモンド・オハンロン氏の著作「コンゴ・ジャーニー」上下を読了。情報量がめちゃくちゃ多い文章であり、翻訳物でもあるので読み通すのがちょっと大変だった。

    読み通すのが大変だったと書いたが決して面白いくないということではない。逆に簡単に言うととんでもない旅行記であり読んでいて呆れたり驚いたりすることの連続である。

    旅の目的からしてコンゴ奥地のテレ湖に幻の恐竜モケレ・ムベンベを探しに行くというもので著者自身も恐竜の存在など頬信じていないものだと思われる。ただピグミー族らの話から特別な生き物がいるのかもというかなり危うい幻想を胸に旅につくのだから大した男というかあきれた男だ。

    コンゴはかつてフランス人が最初に足を踏み入れ侵略した場所であり、白人である著者と途中まで同行する友人のアメリカ人に対する現地人の反応は悪意というものではなくただの金蔓としてみなしているところが現実的だ。

    紀行文自体も当初は旅に就くまでの入国した際のいざこざなど白人の目で見た賄賂はびこる非効率な国と言った感じで少し見下しているような感じさえ受けるのだが、旅が進むにつれ目的だったはずの恐竜の生き残りや珍しい動物たちとの出会いに心躍らすというよりは、呪術的思考が支配するコンゴの人々とのコミュニケーション、および同行するコンゴの動物学者、彼が雇った同行のサポーターらとの人間関係にかれの興味が移って言っているところが自然に描き出されていて面白かった。

    同行した現地人であるマルセランの白人批判、同行したサポーターの一人マヌーのキリスト教、イスラム教の異教に対するアフリカ人の見方もある意味非常に的を得ている(射ているが正しいか?)ように思え興味深かった。

    とんでもないところに行って人が見たこともないものを見て旅行記を書こうという意図での旅行のきっかけだと思うが、あまりに過酷な旅だしあまりに危険にあふれ命を落としてもおかしくない旅であるので冒険好きってわからんわという冬山に取りつかれた人のことを理解できないのと同じような気持ちが最後に残ったのた正直な読後感だ。

    そんな風呂にも入れず、怪しものを食べ続け、お金や薬なを配りまくり病気にもなりながらも旅を続ける不思議なイギリス人おじさんの物語を読むのに選んだBGMがMiles Davisの”Complete live at the Plugged Nickel"だ。8枚組なのでちょうどよかった。
    https://www.youtube.com/watch?v=kJq3j4rA0o0

  • 途中、目的の湖の側のボア村で、現地人の男が着ている漫画柄のTシャツを見て著者は「88年の日本の恐竜探検隊が御土産として渡したもの」と描写するが、これって高野秀行の「幻獣ンベヌベを追え」のことかとちょっと笑ってしまった。しかし、旅の目的が同じ作品なのに色合いがずいぶん違う。この作品の著者は白人の生物学者で、アフリカに対する苛烈な植民地支配の歴史の負い目と現地人の白人への対応が作品のミソである。高野たちの、極東からきた変な黄色人種に対する現地人の対応とは明らかに異なる。
     高野の本と違い現地人の生活があけすけだ。性の話がストレートに出てくる。ある種のフィルターがあったのだなと。また著者は西洋文化への対比に現地の普通の生活や考え方を持ってきているのでそういう意図のない高野の本とは調子が違う。
     コーディネーターのマルセランが面白い。有能で学もあり怪物的で複雑な性格をしている。植民地支配についてなど知識が豊富でありこの巻で著者に激怒して白人への呪詛をぶちまけている。
     西洋文明と異質な精神世界がありそれに支配され利用する現地社会。現実に邪術師が商売になり呪い呪われが当たり前の世界。現地のものとは生ぬるい友情のようなものは存在せず断絶しかない。終わりごろにああと思わされる指摘がある。
     著者は全財産をもって旅行に来ていた。白人は植民地支配の恨みを背負った対象でしか無く現地人には珍しくもなんともない動植物を探検しに来る学術調査団はただの金づるでしかない。
     西洋社会への相対化の試みがテーマの一つだ。ただしどっちが優れているかというわけでもない。

    正直すらすら読める本ではないが濃密な読書が味わえる。面白い箇所が多いのに雑然としすぎてる。詰め込みすぎの気がする。まあ意図があるのだろうが。

  • 下巻は、いよいよ旅の白眉である湖に向かう。ただ、作者の一番の目的だった恐竜に出会うことや、その他の珍しい動植物を見ることよりも、旅のメンバーとの人間模様に、だんだん焦点が移って行く。

    コンゴという、極限に近いところの旅であるが、実は自分探しの旅であったかのような感じ。味わい深い。

  • 読みたいのに、上巻を手に入れていない。なんたる、なーんたる!

  • おもしろかったな。アフリカというわからないものがわかるというよりもやっぱりわからないということがわかるという感じがした。
    著者の戸惑いが自分自身のそれと重なる感じ。
    物語自体はとくに完結しないのもまた好き。人生や旅というのはそんなものの気がする。

  • 一応、コンゴ奥地の湖に幻の恐竜モケレ・ムベンベを探しに行く旅なのだが、
    呪術的思考が支配するリアルなアフリカ的世界が克明に描かれている。
    下手すると現実と幻惑の境界を踏み超えて、
    戻って来られなくてもおかしくなかったと思う。
    よく生きて帰って来られたなぁ。
    しかもこれ私費で行ってるなんて…。
    日本でノホホンと暮らしている人間にとって、
    憧れ、畏怖、尊敬の念を抱く(別の言い方では「馬鹿じゃないの?」とも言う)。
    とにかく素晴らしい作品である。
    マヌーとの最後のシーンはグッと来たね。
    インテリコンゴ人マルセラン、そしてヌゼ。
    彼ら 3 人に幸多からんことを。

  • 2009/March

  • 「ジーザス? よくそう言いますよね。ラリー博士もよく言ってました。ジーザスって、いったい何者か考えてください。フランス人入植者の霊ですよ。ポルトガル人の霊、奴隷制の霊、奴隷商人の霊じゃありませんか。悪い霊です、レドモンド。ほんとに悪い。凶暴な霊です。それから、アラー。こっちのほうが若いですが、やっぱり同じくらい悪いです。いや、もっと悪いかな。ま、どっちでもいいです。こっちはアラブ人の霊なだけで、同じことですから」(下巻、p370より)

  • コンゴのジャングルの奥地にテレ湖という名前の湖があり、そこにモケレ・ムベンベという怪獣が住むというピグミーの言い伝えがあり、作者は、その怪獣を探しに出かける、という構成なのだけれども、実は、そんな怪獣がいることを作者は全く信じていない。テレ湖に到着した作者は、怪獣を探す努力をほとんどしていないし、わずか数日滞在しただけで、その湖を離れてしまう。かつ、更に奥地を訪ねてみたい、等と周囲を困らせながら。作者がこの旅、というか、冒険というか探検というか、に出かけたのは、コンゴがまだ共産主義国家だった時代のことであり、入国し自由に国内を移動すること自体が大変だった上に、呪いや迷信を信じ、貧しく不潔で、病気の巣窟みたいな場所を移動するという、一種の修行のような旅を作者は続ける。かつ、上述したように、目的である怪獣がいることを全く信じないままに。私自身、旅行によく出かけるが、旅行がなぜ好きなのか、あるいは、旅行をしていて何が楽しいのか、ということを聞かれると困る。旅行は別に楽しいばかりではないし、旅行の途中で飽きてしまうことも、ままある。旅行をすることの目的は旅行をすること、としか答えられないような、そんな感じ。私の旅行とは、全くスケールも危険度も異なるけれども、作者もそんな風に思っていたような気がする。

  • 部族 呪術 ジャングル わいろ まったく違う文化の国で 恐竜マケレ ムベンベ を見に行く旅下痢ばっかしてるし 虫にかまれるし 変な物食べてるし 少しもうらやましくないけど 面白かったですなんで あんな旅をするんだろう?

  • 1989年もしくは90年に、コンゴ人民共和国(現コンゴ共和国)のジャングルを抜け、テレ湖に存在するという謎の生物モケレ・ムベンベを探す旅に出たイギリス人探検家の探検記。とにかく苛酷な旅で。暑さと湿気はもちろん、蚊や蜂や蟻に刺され、エイズやエボラ熱、マラリアも心配。コンゴ川上の汽船の船室のマットレスからは、大きなゴキブリが“滝のようにこぼれ落ち”、泥にあいた穴から生活水を汲み・・・・同行したアメリカ人の友人ラリーのように“げげっ”と言いたくなるよう。この、ラリーと作者との会話が思わず吹き出してしまうくらい面白い。ジャングルの様々な描写もだけれど、アフリカの人々の精神的基盤や文化・生活の捉え難さが印象的。コンゴの役人で、生物学者のマルセランの白人批判、宗教批判、彼の異父弟でやはり旅に同行したマヌーの、キリスト教やイスラム教に対する考え方、ともに痛烈で、なるほどなと思わされる。それにしても、マヌーや彼の従兄弟のヌゼにとって、旅に同行したことで、得るものより失うものの方が大きかったのではと、旅の終わりに苦さを感じた。――Congo Journey by Redmond O'Hanlon

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