停電の夜に (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900199

感想・レビュー・書評

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  • 9編から成る短編集。デビュー作ながらO・ヘンリー賞、ピュリツァー賞、ヘミングウェイ賞など、各賞を総なめにした。そのテーマの一つが“結婚”だからか、今まで味わったことのない大人の世界が感じられる短編集だ。
    一番印象に残ったのは最後の「三度目で最後の大陸」。インド出身の男性が、就職のために初めてアメリカに渡る。とりあえずの下宿先は103歳の気難しい老婆が一人で暮らす家だ。主人公は、老婆との奇妙な交流を通して、親類の勧めるままに結婚した妻マーラにも、アメリカという国にも次第に親しみを感じていく。

  • 私好みな短編集。
    どことなく川上弘美や角田光代っぽいけど、彼女たちより毒が強い。

    訳が優秀なのか、訳させるのがうまい文体なのか。英文を今度読んでみたい。ジュンパラヒリの他の本も。

  • 静かな文章と作者の生い立ちが絡まって、短編集だけど、全体として、一つの世界観がきちんと構成されている感じ。
    三度目で最後の大陸、が一番好き。

  • ジュンパラヒリ「停電の夜に」読んだ。困難や不満や無関心を抱えてぎりぎりで日々をやり過ごす家族/夫婦の話が多くて、やりきれない。表題作は特に好きじゃない。「ピルサダさんが食事に来たころ」「三度目で最後の大陸」は好き。力強くて温かい。愛情と共感に満ちた話で本が終わってよかった。

    ※ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』か、読もう。 うん、「意外とこんな生活もできる」し、「/明るい電灯の下では見えなかったものがいろいろと見えてくる」。いいポスト。 RT @Newsweek_JAPAN 停電になりそうな夜に - http://bit.ly/eXhXK8

  • 短編集苦手だけれど、これは読んでよかった。インド人男性の真面目で心優しくセクシーなところが描かれていて素敵だし、インド料理がどれも美味しそうでおなかが鳴る。 じぶんが、登場人物のように移民でなくても、ひとと出会い、悩み、別れるという誰しも遭遇することが丁寧に描かれているから感情移入できて、胸にあついものを感じる。

  • CREA で、中谷美紀が紹介していたので借りてみた。
    途中まで読んだけど、面白さがいまいちわからず、そのまま積ん読。

  • 今の勤務先には、たくさんのインド人がいる。IT、ファイナンスに特に多いようだ。エレベータに乗ると、インド人と乗り合わせる率がかなり高い。乗り合わせなくても、彼らの香水が残り香として”乗って”いることもよくある。

    彼らを集団で見かける場所は社員食堂だ。うっかりすると、ぐるりと取り囲囲まれてしまうことがあり、どぎまぎする。この社員食堂で初めて見たが、彼らの多くはカレーを弁当で持ってきている。四つにきっちり折りたたんだチャパティは箱型のジップロックに入れ、電子レンジであたためたカレーをつけて、食べている。

    「停電の夜に」を読みながら、勤務先のインド人たちの心の内側を、初めてすこしだけ理解できたような気がした。異文化の地で暮らす心細さ、故郷の味や言葉、習慣への郷愁の強さを垣間見ることができた。

    もちろん、「停電の夜に」の素晴らしさはそれだけではない。見過ごしがちな日常の些細なできごとへの観察眼、心配り、意味付けあってこその表現は、度々琴線にふれ、はっとさせられるものがあった。

    折にふれ読み返したい、たいせつで香り高い物語がぎっしりと詰まった、スパイスボックスのような短編集である。

  • 『アメリカとインドの狭間に身を置いた人々の、いつもの暮らしの中に生じた悲劇や喜劇(訳者あとがきより)』を描いた短編集。

    全く異質なものとの関わり(移民一世や二世のホームではない国での暮らし、他人との結婚生活等)を通じて、人生の節目になることや感情が揺さぶられた思い出が淡々と描かれている。
    生活や心理の描写が緻密で、本当に表現が上手い。美化することも誇張することもなく、でも優しい目線で、人間一人ひとりのありのままの人生を伝える文章。

    私のお気に入りは、若いOLが不倫関係にピリオドを打つ決断をする「セクシー」、アメリカ生活への適応に苦しむインド系夫人と、彼女の家に預けられた白人の少年の暮らしを描いた「セン夫人の家」。

  • 2001

  • 決して甘くない、日常の一場面を、淡々と描き、
    それでいて、その中に生きる人々の感情を生々しく浮かび上がらせる筆者の筆致に、胸が騒いだ。
    「停電の夜に」「セクシー」の2作には特に揺さぶられた。
    「三度目で最後の大陸」には前向きな余韻をもらった。
    全体的に、訳が物語の雰囲気に合っていたと思う。

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