- Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105901288
感想・レビュー・書評
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スイスの作家の短編集。表紙と新潮クレストなら外れないか、と思って。タイトル作が非常に印象深くて…営業再開してると聞かされて山奥の湯治場に静かな環境を求めて赴いた主人公、ホテルには他に客がおらず、ホテルの人間として振る舞う謎の女がいるだけ。電気も水道も再開しておらず食事は缶詰のみ。しかししっかり宿帳への記入と宿泊代は正規やされるという。違和感を覚えつつもなんとなく滞在してしまう…という話。ほかの作品もだいたいこんなトーンで決して明るく心弾む感じではない、かといって陰鬱とも違う独特な印象。他にはリノベされた工場跡地の警備員の話と音楽フェスを近所で開催される孤独な有機農家の若者の話が印象に残った。いかにも欧州という感じで明るく楽しくみたいな作品があまり好きではない、という人にはおすすめできるかな。自分はじゅうぶん楽しめました。
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ちょっと理解出来なかった。
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よかった。
とっても静かで。心が凪いでいく。
時にざわざわするのも、風が立てる小波みたいに優しく感じられるから不思議だ。訳も良いのかもしれない。ずっと読んでいたくなる。
スイスの丘陵地帯にある湖畔の町。冬の雪と濃霧や、みずみずしく湿った森とは対照的に、人々の多くはかわいているよう。
日常の耐え難いやるせなさと光が、美しい自然の地にとけている。 -
短い、ミステリーなお話がたくさん詰め込まれた一冊。
よかった。ふつうに。
静かな朝に一話ずつ読み進めていきたい感じの本やね。。 -
スイスの作家の短編集.
ほとんどの話で舞台はボーデン湖付近であるが,主人公は10編で全て異なる.倦怠期の夫婦だったり,若いカップルだったり,出会ったばかりの男女であったり,牧師であったり.彼らの「日常に生じたさざ波を切り取った」とでも言おうか. -
「森にて」の感想。かつては、息苦しい家庭から逃げ、森の中に野宿するために万引きをしていた。結婚し子供を持った今もその行為がやめられないのは、現実社会の人間関係の脱却を心の底では強く願うも、立場的にそう感じるのを拒否しているストレスの表れなのかと。いっそ物理的、3次元的に世の中が崩れ落ちてしまえば、と、自分からは決して一歩踏み出さないくせに、大きな力が押し寄せて、自分を取り巻く環境の崩壊を切に願う。書いてるうちにしんどくなってきた。
短編集。スイスの人。人が密集していない物静かな人達の秘めたる内なる欲望。 -
日常が時に壊れそうになる均衡を時にカフカ的に、時に行間に描く短編集10篇。
表題作の「誰もいないホテルで」「森にて」「氷の月」「眠聖人の祝日」「スーツケース」は特に素晴らしい。
裏表紙の堀江敏幸さんの書評が秀逸。 -
小さな物語。しかし、繊細な。
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静かな生活