日本の戦争はいかに始まったか: 連続講義 日清日露から対米戦まで (新潮選書)

制作 : 波多野 澄雄  戸部 良一 
  • 新潮社
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本棚登録 : 70
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106038976

作品紹介・あらすじ

大日本帝国80年の軌跡を、8人の碩学の最新研究で学び直す!  当初から朝鮮支配を意図し、計画的に大陸中国を侵略して、軍部の無謀な暴走の末に対米戦が不可避となった、というのは本当か? 日清・日露戦争から第一次大戦、満州・支那事変を経て、先の戦争に至るまで、当事者たちがどんな決断を下したのか、それぞれの開戦過程を各分野の第一人者が実証的に語る「近現代史」連続講義。

感想・レビュー・書評

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  • 日清・日露戦争から第一世界大戦、支那事変から太平洋戦争まで、日本の戦った戦争がなぜ起きたのか、を検証した講義録。初心者向けではない。例えば盧溝橋事件の影響に触れても、それがどんな事件だったかという解説はない。そのレベルのことは理解している読者を対象としているようだ。

    今更ながら、戦争は政治・外交とひとつながりなんだな、と思った。戦前の日本には国際紛争を解決する手段の一つとして、戦争が常時選択肢にあったんだ、と軽いショックを受けた。軍部の存在とともに、戦争をすることへの政治的、心理的な障壁が、現代日本からは想像できないくらい低かったのだろう。そういう国は、いまもあちこちにあるわけだが。

  •  各戦争に至る過程を章ごとに見ていく。編者波多野の、重層的で多面的な大東亜戦争だが、戦後の歴史研究は「侵略戦争論」と「解放戦争論」に分極化、との指摘がまず印象的。
     日清・日露戦争も「十五年戦争」も一直線で必然だったわけではなく、避け得る可能性があったことを示す。1895年の天津条約に日清協調を、日清戦争直後に日露協商を見る。後世からは、結果から遡って見がちだが、当時の人々はその都度都度の検討や意思決定をしていたわけだ。
     ほか、満洲事変の原因を、協調外交=満洲の日本人商工業者切り捨てや軍人蔑視という政党政治時期に求める章。支那事変の原因に華北分離工作による日中関係安定化の挫折や日本政府が紛争エスカレーションを許したことを指摘する章。日米戦争の原因を両論併記と非決定とする章。一枚岩ではなかった英米関係が40年夏から強固な同盟関係になる過程の章、中国をめぐる日英抗争に着目する章。
     天皇の戦争関与と東京裁判を見る章はやや毛色が異なり、GHQと天皇側近の合作で天皇無答責としたという。道義的にはともかく、それほどまでに天皇制維持がGHQにとってすらも重要だったのだと想像した。

  • 東2法経図・6F開架:210.6A/H42n//K

  • 小さな炎が飛び火し戦火へと拡大する様は、今日のリアルな危惧でもあり、タイムリーなテーマと言えそう。帝国主義的要素があった日清日露戦争と、中国大陸から太平洋へとなし崩し的に突入した第二次世界大戦とでは、国情が異なっており、大所高所による意思決定が不可能だった後者では、場当たり的に戦端が開かれ、終結もままならなかったのは必然でもあった。ウクライナ戦争や中東紛争の有様を、第一次世界大戦前夜になぞらえる論調もあるが、大国の介入によって歯止めが掛からなくなった教訓がどこまで通用するだろうか。

  • 8月6日 読売新聞 書評
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50325950

  • 談志が複数いて、色んな見方があってとても興味深かった。

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