- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106100628
作品紹介・あらすじ
すべては伝説にすぎない-。日本書紀、三経義疏、法隆寺金堂釈迦三尊像の銘など、実在の根拠とされる文献や遺物のどこにどのような問題があるのか。誰がなぜこのフィクションを必要としたのか。その背景には何があったのか。江戸時代の考証から最新の歴史学の成果までを踏まえ、書誌学の厳しい目でスリリングに検証する。禁忌の扉を開き、実在論を完膚なきまでに粉砕した衝撃の一冊。
感想・レビュー・書評
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「聖徳太子は誰かによって作られた伝説、想像上の人物だった」という仮説のもと、書かれた本。
難しすぎてよく分からんかった…
少しまとめると、「聖徳太子」は天武天皇が政略のためにつうりあげた人物だった。
というのも、天武天皇は、天智天皇の死後に即位するはずだった大友皇子を殺して即位した。
皇太子である大友皇子を殺した、ということは、実力さえあれば、皇太子を殺せば即位できるのか?
否、こんなに立派な皇太子、聖徳太子がいる。
つまり、皇太子=神聖な人=殺してはいけない、という論をたてるためにつくりあげたのだという。
証拠としては、聖徳太子について書かれた書物が矛盾だらけだということらしい。
学界では「聖徳太子はいなかった」は常識らしい。
なんか、お父さんがショックって言ってたのはわかる(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本近代文学が専門の著者が、聖徳太子の実在を否定する日本古代史研究の成果を一般の読者に向けて解説した本です。
持統天皇と藤原不比等が体制イデオロギーを強化するために日本書紀を編纂したという説は、日本史研究のアカデミズムから外れたところに位置する上山春平と梅原猛によって広く知られるようになりました。その後、大山誠一によって主張された聖徳太子の実在を否定する説が、テレビ番組などで紹介され、人口に膾炙するようになってきました。本書もまた、そうした政治的な意図によって聖徳太子にまつわるさまざまな伝説が作られたという立場に立っています。
講壇っぽい語り口で読者に親しみやすいように工夫がされているのですが、単に聖徳太子非実在説の内容を紹介しているのではなく、研究史的な視点から従来の「聖徳太子伝説」がどのように受け取られてきたのかということを解説しているため、一見したところよりも読みにくいように思います。それでも、一般向けの解説書では珍しく研究史的な視点が示されており、興味深く読みました。もっとも、そうした研究史的な議論がときにイデオロギー的な偏向の指摘という形を取って展開されるところが、いかにもこの著者らしいのですが。 -
2006年8月21日に読んでいます。
再読中。
(2013年10月16日)
これは、お薦めです。
引用したところにある、佐藤弘夫『偽書の精神史』を
読み返したくなりました。
(2013年10月19日)
3回目、読みました。
(2015年05月16日) -
[ 内容 ]
すべては伝説にすぎない―。
日本書紀、三経義疏、法隆寺金堂釈迦三尊像の銘など、実在の根拠とされる文献や遺物のどこにどのような問題があるのか。
誰がなぜこのフィクションを必要としたのか。
その背景には何があったのか。
江戸時代の考証から最新の歴史学の成果までを踏まえ、書誌学の厳しい目でスリリングに検証する。
禁忌の扉を開き、実在論を完膚なきまでに粉砕した衝撃の一冊。
[ 目次 ]
大いなる遺産―日出ヅル処ノ天子
鎧なき騎士―十人の訴え
鉄の爪―唐の太宗
散り行く花―大津皇子
開拓の道―生まれ変り
偉大な嘘―説話と実録
心の旅路―未来予知
黄金の腕―十七条憲法
戦略大作戦―藤原不比等
恐怖の報酬―逆ラウナカレ〔ほか〕
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
こりゃひどい、という。
聖徳太子の存在は藤原不比等らのねつ造である、というよくある論調ですが、文体がとにかく酷い。
飲み屋で喋ってるんじゃないんだから、と。
エッセーのつもりで書いているにしてはちょっと意味が不明の箇所がたくさん。
家永三郎批判する前に、まず歴史を語れる文章を身につけてきてほしいものです。評論家ってまともに文を書くとこうなってしまうのかしら。 -
最近 朝日新聞のbeに 聖徳太子はいなかったハナシが 連載されているので ちょっと読んでみましたが おじさんの文章 やたらと読みにくい。
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聖徳太子がいなかったことを前提として、与太話がえんえんと続く。それなりに面白い話なんだけど、目の前で聞くならともかく読むものではないなぁ、という感じ。聖徳太子がいなかったことの衝撃も得られない。
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ずいぶん前に読んだ本ですのであまり内容は覚えていませんが、とにかく「聖徳太子の伝説はすべて後からの偽作」と結論づけています。その理由として天武天皇が壬申の乱で皇太子大友皇子を殺害したことにより「皇太子殺害」の悪例を作ってしまったため、それが前例とならないよう「皇太子とはこういうもの」として「理想の皇太子:聖徳太子」を創り上げたのだとしています。古代史の専門家ではない著者が古代史について書いたのだから内容はいろんなところからの「掻い摘み」ですが、なによりも(戦前の大学者がよくあることですが)とにかく上からの物言いで、「未だに聖徳太子などを信じている愚民に、しかたないから講義してやる」みたいな雰囲気がぷんぷんして、あまり好きにはなれません。とくに、よほど家長三郎が嫌いなのか(私も好きではありませんが)とにかく口汚く罵っています。読んでいてあまりいい気のしない本でした。