ホワイトハウスの職人たち (新潮新書 186)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101861

作品紹介・あらすじ

国際政治の中枢であり、世界の最高権力者・アメリカ合衆国大統領の官邸でもあるホワイトハウス。そこはすべてにおいてアメリカ最高水準を極めた「メイドインUSの宮殿」である。大統領一家の日々の営みを支える職人のうち、本書にはフランスきっての菓子職人、SS出身の学芸員、アフガン首相の娘だった理髪師、1着4000ドルの仕立屋ら6人が登場。彼らだけが見た歴代大統領とホワイトハウスの素顔に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • ホワイトハウスには政権が変っても動かない職人が90人もいる。彼らのはなし。
    いろいろ驚きながら楽しめた新書でした。

    菓子職人(ロラン・メスニエ)
    ホテルの職人と違い、国賓をもてなす時などには最大の気遣いが求められる職場。
    例えばイスラエルの人々はユダヤ教の定めた食のルール・コーシャーのため
    「親子食い」、つまり牛乳とバターと牛肉は食卓に並べてはならないなど。
    パンを食べたらメインに牛肉が出ても食べられないんですって。
    他にも衣服を燃やす炎を使ったパフォーマンスの禁止や、アレルギーへの配慮も。
    あと面白かったのはクリントンが牛乳とチョコレートが苦手といった、大統領の食の特徴。
    クリントンはクリームの代わりに果物をふんだんに使ったパイやタルトを好んだそうです。

    学芸員(レックス・スカウテン)
    「公」のファーストレディを補佐するのがファーストレディ補佐官なら、
    「私」のファーストレディを補佐するのがアッシャーと呼ばれる人々。
    多忙なファーストレディからのメモを正確に把握し早急に実現することが求められます。
    SS出身でそんなアッシャー出身のスカウテンが引退後に呼ばれたのが学芸員。
    1808年に予算削減のために議会で制定された法律で
    大統領にホワイトハウスの家具を自由に競売で売却する許可を与えていたため、
    ケネディ以前のホワイトハウスは伝統とは無縁でした。
    複製品が8割を超えた家具たち。それを2割ほどまで抑えたのがスカウテン。
    あと面白かったのは「ケネディ以前」とさっきあったのは
    ジャクリーン・ケネディが積極的にホワイトハウスの学芸品保護に走ったため。
    「リンカーンが使った時計を買い戻すための基金募集パーティー」などで、
    歴史的価値のある本物を買い戻し、
    地下で埃をかぶっていた所蔵品をクリーニングし歴史を調べたそうです。

    料理人(ウォルター・シャイブ)
    ホワイトハウスの総料理長と主席菓子職人の年俸は平均8万ドル。
    在職中は曜日に関係なく拘束され、
    クリスマスなどのイベントのある12月1月は朝5時から深夜12時まで働きづめ。
    アメリカでは100人規模のレストランシェフでも年俸5万ドルはかたいし、
    有名どころだと1000万ドルなども夢ではない。
    だからなかなかホワイトハウスに名の知られたシェフを雇い入れるのは難しく、
    情熱のある人材確保に苦しんでいるそうです。意外。

    フローリスト(ドッティ・テンプル)
    日本人にとって白い花は葬式、イタリア人にとって菊は死を連想し嫌われ、
    ミッテラン大統領は薔薇、
    サッチャー首相はアネモネ、ドイツのコール首相はゼラニウムを愛した。
    また花粉アレルギーへの配慮も必要だ。
    そして政治的ない配慮も。インドネシアの国賓を迎えた際には、
    かの国に松を旗に描いた政党が存在していたのでホワイトハウスの松を撤去したそうです。
    結構大変。
    そして意外だったのは盆栽。
    クリントと小渕首相が送りあった「盆栽外交」で目にしたけども
    ホワイトハウスでは特別な技術が必要な盆栽は育てられないので
    全て国立植物園に送られているんだそうな。

    面白い。

  • でもやっぱり、言うほど職人エピソードは無いわけで。

  • ホワイトハウスで働く職人たちを紹介した本。
    菓子職人、理容師、仕立て屋など。

    歴代大統領それぞれに好みや考え方が違い、職人たちはそれに応える。
    ほんの少しだが、大統領やファーストレディーの生活の様子もわかる。

  • 苦手な社会科ですが、少しずつ知識を身に付けたい。
    というわけで、職人好きにはもってこいのアプローチをしてくれた本。

    菓子職人
    学芸員
    理髪師
    料理人
    仕立て屋
    フローリスト

    ――6人の職人から聞いた話がまとめられている。

    専属のフローリストまでいるとは。
    当たり前だけど、至れり尽くせりだなあ。

    ただ、お給金は世の中の一流職人と比べると決して良くないらしく、
    名誉職的な意味合いが強いようだ。
    でも世の中、先立つものはお金なので、
    情熱を持った職人を確保するのに苦労しているとか。

    日本(皇居?)版も読んでみたい。


    ***レーガン情報***

    お気に入りのデザートは、ナンシー夫人のアイディアが反映された、
    チョコレートムースを使ったケーキ。(p.37)

    お気に入りのアメリカ風料理は、ほうれん草のサラダ。(p.128)

    理髪師に爪の手入れを頼んだのは、レーガンが初めて。(p.82)

  • ホワイトハウスで働く多くの職人たちの中から、菓子職人、学芸員、理髪師、料理人、仕立屋、フローリストの6人にスポットをあてた本。

    彼らの経歴やホワイトハウスで雇われたきっかけ、そして職人としての仕事や大統領との関わりなどが著者のインタビューを通じて書かれています。

    個人的におもしろかったのが、職人のインタビューを通じて歴代大統領がどのようなものを好んだのかということが所々に書かれていたこと。大統領の好みが書かれてる本って珍しいんじゃないかな。

    あとは、なるほどーって思う程度。
    そんなにおもしろい本じゃないけど、簡単に読める本なので、なんとなくホワイトハウスってどんな感じなんだろうって読むのもいいかも。

  • [ 内容 ]
    国際政治の中枢であり、世界の最高権力者・アメリカ合衆国大統領の官邸でもあるホワイトハウス。
    そこはすべてにおいてアメリカ最高水準を極めた「メイドインUSの宮殿」である。
    大統領一家の日々の営みを支える職人のうち、本書にはフランスきっての菓子職人、SS出身の学芸員、アフガン首相の娘だった理髪師、1着4000ドルの仕立屋ら6人が登場。
    彼らだけが見た歴代大統領とホワイトハウスの素顔に迫る。

    [ 目次 ]
    1 菓子職人―ロラン・メスニエ
    2 学芸員―レックス・スカウテン
    3 理髪師―ザヒラ・ザヒル
    4 料理人―ウォルター・シャイブ
    5 仕立屋―ジョルジュ・ド・パリ
    6 フローリスト―ドッティ・テンプル

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    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • プロ中のプロが集まるホワイトハウス!
    中でも毎日オリジナルスイーツが出てくるなんて、うらやまし過ぎる!!

  • ホワイトハウスに出入りする、もしくは専属の職人のインタビュー集。

    菓子職人、学芸員、理髪師、料理人、仕立て屋、フローリスト。世界最高の権力に直接仕えるプロフェッショナルな面々。職人としての腕が最高であるのは必要条件に過ぎずない。最高の技術の上に、彼ら独自の哲学(思いやりであったり、こだわりであったり、人生観であったりする)があって、ホワイトハウスという極めて特殊な条件での活躍が可能たらしめるのである。

  •  ホワイトハウスに使えてきた6人の職人にターゲットを当てた本。
     どうしても政治のイメージが先行するホワイトハウスでいい意味で生々しいレポートでそこにいる人々を等身大で見ることができ、おもしろかった。

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著者プロフィール

1962年、韓国大邱生まれ。延世大学校卒。ソウル放送(SBS)報道局記者を振り出しに、松下政経塾、ジョージ・ワシントン大学、独立行政法人経済産業研究所の研究員を経て、米ワシントンD.C.でジャーナリスト、コンサルタントとして活動中。著書に『「日本」が世界で畏れられる理由』(KADOKAWA)、『ホワイトハウスの職人たち』(新潮新書)、共著に『パブリック・ディプロマシー ‐「世論の時代」の外交戦略』(PHP研究所)、『ウォー・シミュレイション 北朝鮮が暴発する日』(新潮社)など多数。

「2017年 『世界が認めざるを得ない 最強の国「日本」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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