- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106103124
感想・レビュー・書評
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自分の考えをもって歴史を語りたいですね
天皇家へのそんけいの念が薄いのか、身もふたもない事を書いていますが、武士の世界が成立、揺り戻しなどの政治的な激動を、ターニングポイントを明確に説明しているのでわかりやすい!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
天皇制がなぜ続いたかを、天皇制をいわゆる皇国史観に囚われずに分析しようと試みた一冊。
大きな転換点は承久の乱、南北朝の騒乱にあったと分析。
特に承久の乱は、朝廷にとっては鎌倉幕府設立より余程インパクトがあっただろうというのが目から鱗。
南北朝の騒乱は、南北朝並立というとあたかも互角の勢力を保ってたように感じるけど、それは最初だけで、実際には武家勢力(つまり足利幕府≒北朝方)が少数勢力の南朝を利用してただけ(実際に足利尊氏や直義は一時的に和睦した)みたい。
基本的に鎌倉時代以降は、武家勢力が勝手に天皇を立てたり廃嫡したり配流したりやりたい放題とい感じ。
分析自体も江戸時代初期の家康まで。 -
ときに脱線するが、脱線した薀蓄が深く納得させる。天皇をめぐる雑駁な認識を反省させられる。
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[ 内容 ]
平家から維新までの約七〇〇年間、天皇は武士に権力を奪われていた。
しかし、将軍職や位階を授ける天皇は権威として君臨した―。
このしばしば語られる天皇像は虚像でしかない。
歴史を直視すれば、権力も権威もなかったことはあきらかだ。
それでも天皇は生き残った。
すべてを武士にはぎ取られた後に残った「天皇の芯」とは何か。
これまで顧みられることの少なかった王権の本質を問う、歴史観が覆る画期的天皇論。
[ 目次 ]
第1章 古代天皇は厳然たる王だったか
第2章 位階と官職の淘汰と形骸化
第3章 時代が要請する行政と文書のかたち
第4章 武力の王の誕生を丁寧にたどる
第5章 悠然たる君臨からの脱皮
第6章 実情の王として統治を目指す天皇
第7章 南北に分裂しても必要とされた天皇制
第8章 衰微する王権に遺された芯
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[ 参考となる書評 ] -
読みやすくて良かった。当為と実情について考察していくためには、綿密な研究の蓄積と考察がないとなかなか難しいんたなと思った。近世以降についても、もっと考察もしてもらいたい。
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天皇の<権威>に疑問を感じ、信長が生きながらえていたら<天皇>は消滅していたのではないかという著者の問題意識は、私の問題意識と重なる。
中世の武士が天皇を必ずしも崇め奉ったものでないことはよくわかった。
政権づくりに天皇を利用した秀吉の妾に、皇族・貴族の出身者が一人もいないことをもって。「実は秀吉は王朝世界に、当然天皇にも、根本的には無関心だったのではないか。」との見解は、興味深い。