- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106103490
作品紹介・あらすじ
日本語には大きな謎がある。母音でも子音でもなく、清音でも濁音でもない、単語としての意味を持たず、決して語頭には現れず、かつては存在しなかったという日本語「ん」。「ん」とは一体何なのか?「ん」はいつ誕生し、どんな影響を日本語に与えてきたのか?空海、明覚、本居宣長、幸田露伴など碩学の研究と日本語の歴史から「ん」誕生のミステリーを解き明かす。
感想・レビュー・書評
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「ん」という文字はいったいいつから、どういう目的で使われるようになったのか?
普通に昔から使っていただろうって?
しかし、例えば「源氏物語」の原文には「ん」が使われていない、いやこの当時は「ん」という文字がなかったから使えなかった。
そんな事ないだろうって?
「鳶」という鳥がいますが、なんと読みます?「とび」?
では、「鳶がクルリと輪をかいた」と言うときなんと呼びます?「とんび」ではないですか?
なぜ「とび」と「とんび」があるのか?不思議じゃないですか?
著者は日本の仮名のできる過程を古くは奈良時代にまで遡り、「上代特殊仮名遣い」の起源とその目的から語り始めます。
文字が中国から伝来した仏教の今日を読むため、しかも中国語ではなく、その原点のサンスクリット語と同じ発音で読むために、その音の微妙な違いを表すために漢字が活用され、イやエといった現代では一文字、一音で表される文字が嘗ては微妙に違うバリエーションがあり、それを漢字を使い分ける事で表現していたというところから解説していく。
途中、そういう仏教の歴史的な話になってしまうところがあるが、それも含めてとても興味深い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言語オタクの真骨頂の塊(褒めてます)。
どこの世界でもこだわる人はホントに突き詰めるなあ。まさか「ん」で新書一冊語るとは。この一冊が書かれるために読まれた文書はどれくらいになるんだろう。 -
なぜか家に2冊あったw
日本語の「ん」って数学の「0」と同じだよね
いやー改めて考えると。 -
実はこの本過去に挫折していて、3回目の挑戦。
2時間くらいで読了。
今年は少しサンスクリットを勉強していたので、連声とかその辺は分かるようになってて感動。成長してる!
でもやっぱり空海とか最澄のあたりは難しい。
とりあえずフランス人の前で「んー」は言わないようにする。 -
背ラベル:810.2-ヤ
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マニアックすぎた。
古典をひもときながら、日本語の発音として、また文字としての「ん」について解き明かしているのだが…面白そうだと思ってこの本を手にした割には、自分がそこまで「ん」に興味がないことに途中で気づき、途端にどうでもよくなった。 -
蔵書整理で手放すので、再び出会い読む日もあるか
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タイトルに惹かれ手に取る。改めて考えてみると「ん」は不思議な存在。五十音表記だと仲間はずれのように表から飛び出しているし。
東京メトロ「日本橋駅」のローマ字表記が”Nihombahi”とnがmとなっているのは知らなかった。(欧米の慣用表記では「m」「b」「p」の前は「n」ではなく「m」を使うらしい。)
「ん」誕生の歴史は、なかなかに興味深い項目もありましたが、こちらの知識不足で完全には追えず。無念…。 -
万葉仮名以降、日本語において「ん」の発音や表記がどのように変遷してきたかを1冊かけて解説した本。「ん」にも種類があって昔は使い分けていたといった興味深い話題がどんどん出てくるが、中でも空海が果たした役割が大きかったとのこと。おかざき真里「阿・吽」を読んでいて、空海と最澄の生涯についてイメージできるようになっていたので、わかりみが深かった。「阿・吽」ってそういうことだったのかと。本書をこれから読む人には併せて読むのをおすすめしたい。
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フランス人から見た(が聞いた)日本語の「ん」に始まり、『古事記』などの上代から日本語の歴史を追う。
万葉仮名、空海、最澄、サンスクリット語、上田秋成と本居宣長、「阿吽」の文字、幸田露伴。
話題は多岐にわたり、日本語と日本文化への知的好奇心が刺激される。
「そもそも日本語とは何なのか?」その問いかけが日本語への理解を深める。