- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106104336
感想・レビュー・書評
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最近、警察小説をよく読むのだが、公安の組織が今ひとつよくわからず本書を購入する。非常に読みやすいが新書で二百頁余りなので深い内容は端から期待できない。但し『公安警察の入門書』としてならお勧め。一方、監視される側の組織については、立花隆氏の『共産党の研究』、『中核VS革マル』がお勧め。30年以上前に書かれたものなので情報の古さは否めないが、著者が気鋭のノンフィクション作家として一番脂が乗っていた時代の作。さて、本書に戻るが大満足とは言えないまでも、資料価値はあるので読書の友として手元の本棚に突っ込んでおく。
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外国スパイが普通に暮らしているとか、
今でも共産党関係には目を光らせているとか、
これまで全く知らない内容でした。
自分の周りにこんな世界もあるんだなあ。。 -
2012/1/13読了。
公安というくくりで世間を切り取ると、戦後の様々なできごとが一味違って見える。オウム、赤軍連合、右翼、スパイ、直接の関わりがない世界を知る手段、好奇心の対象としては面白い。 -
著者は産経新聞入社後、警視庁公安部・警備部担当の記者になったキャリアの持ち主で、本書はその経験をもとに書かれたものです。
著者の手による後書きによれば、本書は
公安警察はテロやスパイ行為を防止するため様々な活動を行なっているが、その活動を国民の適切な管理下に留めるため、国民は公安警察に関する正確な情報を知る必要がある
との観点から書かれており、警視庁公安部を中心とした警察庁、各都道府県の公安警察についての解説が載っています。
冒頭、公安という言葉の意味についての解説から始まり、序章で
・刑事警察は殺人犯、強盗犯などの一般的な刑事犯罪を専門とする一方、公安警察は国家体制防衛を目的に行動している。
・第2次大戦敗戦後、GHQにより自治体ごとに分離させられた警察組織だがそれは刑事警察のみで、公安警察に関しては全国の公安警察が警察庁警備局から直接指揮を受けるシステムがある。
・警視庁公安部門の人員は約2千数百名にのぼり、全国トップの陣容を誇り、その力ゆえ、警察庁も警視庁の意向を無視できない。
・公安警察と刑事警察の仲の悪さは本物。
と言った公安警察に関する概説が行われています。
序章の後は、1章から8章まで警視庁公安部の各部門(公安総務部、公安一課、公安二課、公安三課等々)の組織とそれぞれの部門がどの様な相手(左翼、右翼、北朝鮮、中国、アルカイーダ等)を専門としているかを、公安部が検挙した事件の解説を通して読者に伝えています。
昭和の時代には日本共産党やそこから分離した過激派の取り締まりがメインだった公安部が、共産勢力の弱体化・高齢化に伴い、組織の存在意義の確保を目的に、調査範囲を公明党の情報、政治家のスキャンダル、NHKの次期会長候補の身辺調査、シーシェパードなど過激な抗議活動を行う民間団体等に広げて行っている事や
2003年に摘発された「征伐隊事件」の捜査において、現場の物証や目撃証言を下に捜査をすすめた刑事警察が犯人グループを逮捕した一方、既存の右翼団体などから集めた情報を下に捜査をすすめた公安警察は犯人逮捕が出来なかった事などが印象的な内容でした。
#ただし現在では、本書の8章でも取り上げられている公安機動捜査隊が拡充され、公安独自の鑑識活動を行なっているとの事。
尚、各章で取り上げている部門は以下のとおりです。
1章:公安総務部
相手:日本共産党、過激な抗議活動を行う民間団体、カルト教団等
2章:公安一課
相手:左翼過激派
3章:公安二課
相手:公安一課が扱っていない比較的小規模な過激派、メインは革マル派
4章:公安三課
相手:右翼
5章:外事一課
相手:非アジア圏内の外国スパイ、メインはロシアのスパイ
6章:外事二課
相手:アジア圏内の外国スパイ、メインは北朝鮮と中国
7章:外事三課
相手:アルカイーダなどのイスラム過激派
8章:公安機動捜査隊
相手:公安事件の初動対応及び公安専門の鑑識等、
理系の頭脳集団(2003年には天然痘ウイルス感染判別キットを開発)
9章:公安調査庁
相手:オウムなどのカルト教団、権限なし、実力なし。現状、ただの書類仕事専門の役所。
刑事ドラマの悪役として登場することが多い公安部。
彼らについて網羅的に書かれた邦書は現在、私の知っている範囲では本書のみです。
#まあ、公安に関する本を読みあさっている訳ではありませんが・・・
とは言え、新書形式で読みやすくまとまっているので、日本の公安について知りたければお勧めです。
興味のある方はぜひ。 -
知らない世界があるものだ。今でも革マル派などの過激派を追っているということも。
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こういう抗生物質的存在の
果てしなき「索敵」活動はかすかな不穏を感じさせる。
たとえばこんな一文がある。
「共産党の活動が下火になったため、組織を維持するために対象範囲を広げざるを得ない」
縮小に向かう内部的な力はないであろうこの組織の手綱を
誰がどのように握るのかは、注視されるべきものだろう。
この本自体はそれほどセンセーショナルでもないが、
あわせて野中広務を読んでいたので、なかなか楽しめた。 -
過去の事件と紐付けて公安の組織を分かりやすく説明している。東京だけでなく地方の様子も説明している。
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職場の近くの公園で某大学のセクトが、10人ぐらいで反原発東電決起集会をやってたが、周囲には背広でマスクをした異様な監視者達。官の肥大化、予算の適正配分について考えさせられた。今みたいに限りなくライフ0に近づきつつある共産党や弱小セクトなんかにターゲッティングしている時点で何かが間違っている。その一方でオウムについては惨事を招いた。あれから15年以上経っても大してかわってないのではと思わせる風景だった。
ゾルゲ間諜を見抜けず、共産党壊滅で自己満足していた特高警察の悪しき伝統再びみたいな予感