人口激減: 移民は日本に必要である (新潮新書 435)

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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104350

作品紹介・あらすじ

日本の人口減少が止まらない。このままでは、内需の縮小による経済的後退のみならず、活力そのものが失われ、日本は世界から取り残されていくばかりだ。本書では、人口減少化社会への劇薬として、移民受入れを議論する。彼らの労働力や「多文化パワー」を最大限に活かす方法、その経済的効果、本当の受入れリスクなどを検証。はたして移民は、"救世主"となるのか。国際交流のスペシャリストによる、新しい日本再生論。

感想・レビュー・書評

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  •  日本が今後人口激減となることははっきりしている。本書はその危機的内容を展開しているのだが、どうも文章に切迫感が感じられないように思える。本書は文章の切り口が甘いのではないかと思った。
     本書によると、2035年の日本には「自治体として体をなさない地域が続々と出てくる」と主張するがその具体例がどうもわかりにくい。もっとわかりやすい衝撃的な具体例が提起できないものかと思った。開国を拒む心理や世界の移民事情、移民受け入れの実態等、それなりに網羅されているのだが、どれも迫力不足。
     本書を読んで思ったことは、人口激減は日本社会が抱える大きな問題だと思うし、移民が必要だということは理性的にはわかる。また、日本には他に選択肢がないこともわかる。しかし、この内容では、それを説得するにはあまりにも迫力不足だとしか言いようが無い。せっかく豊富なデータを持っているのだから、それをもっと生かして衝撃的な訴えをしてもらいたいものである。

  •  「移民は日本に必要である」というストレートなサブタイトルを見て手に取った。
     自分は外国人と身近に接する機会がないし、戦争を体験した祖父母の影響も受けて、中国人や韓国人(北朝鮮人)を含む彼らには多少抵抗があるし、外国人の受け入れに関しても「無関心」であった。しかし、日本の人口はすでに減少傾向にあり、この先超高齢化社会が避けて通れない状況になってきている。子どもの通う小学校も生徒数は減少の一途だ。人口を増やす目的の移民は何百万人も受け入れなければならないし、それは自分も含め相当な抵抗や反対があるが、外国人を受け入れ、「戦力」とすることで、地域社会そして日本を活性化することには賛成だ。日本に来ている外国人の多くは、日本に強い興味があるし、日本で成功したいという意欲があるはずだ。3Kの仕事を多くの外国人が引き受けてくれていることも事実だ。彼らや彼らのもつ異文化に触れることで日本人が刺激され新たな文化やビジネスへのベクトルが生まれることも良いことだ。
     移民の受け入れについて、単なる賛成や反対の議論ではなく、受け入れる必要性やメリット・デメリットの検証をニュートラルに行える場・雰囲気は必要だ。
     本書を読んでそう強く感じた。

  • 自分が小さかった時代よりは、海外から来た人が増えたと感じるが、自分の行動範囲が広がっただけで実はあまり変わらないのかもしれない。日本の人口もこの10年位は毎年減少傾向になっている。誰でもわかる算数で、2人の親から2人以上の子供が生まれなければ、大方は親が先に寿命を迎えるのだから人口減少は当たり前の話だ。数十年前に書いた自分の卒論も、高齢者会の政策を題材にしたものだった。当時から既に移民政策には積極的だったと記憶する。私は消費税観点での研究だったせいかそんなに記憶に残ってないが、高齢化に伴う労働者不足への取り組みは早かったと思う。近年は移民問題も取り沙汰される同国だが、当然移民の扱いも社会の慣れも日本とは比べ物にならないくらい先んじているだろう。私は仕事柄地方の事務所勤務だった時代もあり、駅前一等地の商店街がシャッター閉じっぱなしの実情にはかなり衝撃を受けた(それでも地方の大都市ではあったのだが)。何となく漠然と日本もいずれはGDPが下がる一方だと不安に駆られた事を覚えている。
    何故これだけ超高齢社会に突き進む日本で移民に寛大な措置や立場の政治家が生まれないか。本書曰く島国閉じられた世界、外を受け入れにくい国民性とも違う何か別の原因がある様に思える。
    犯罪率に関しては前述のスウェーデンも一時期は問題になり、極右政党が勢いを増す時期もあった様だ。外国人研修受け入れにも制度的な問題と使う側の意識の低さも顕著に表れている。
    確かにこのままではマズイ。
    本書は何も措置できない今の現状が続いた未来と、移民受け入れに積極的に出た未来をフィクションで語っていく。後者が圧倒的に魅力的だし、今の「豊かな」日本の選択肢はそれしかない様にも思える。移民に寛大なアメリカがナショナリズムに傾いてメキシコとの国境に柵を設ける、といった馬鹿げた政策をするくらいだから相応の覚悟と社会の作り直しは必要だ。閑散として縮小する世界と新しい希望を受け入れる世界と、選ぶのは我々自身だ。皆、消費税率が15%を超えてきたら、何であの時…。もう遅い。

  • 図書館本。私も移民は日本に必要だと思っているので、読んでみた。

  • うん、まぁ専門家ではないね。この人も。
    しかも文章もヘタクソなので、根拠が薄く見えるし、最低限の事もできてない印象。
    日本では人口学者は本を出さないのかなぁw

  • 著者は移民受け入れ賛成派なので、移民受け入れのメリットばかり書きデメリットはほとんど書かれていないのでアンフェアな内容。

  • 少子化対策本の中では最も参考になった。

    単なる少子化ではなく、移民を受け入れる国にならないと、この国は本当にヤバイ。将来の像を明確にしている点や、対策も具体的な点などすばらしい。これをビジネスに繋げられるかどうかを考えてみるきっかけとなった。

  • 地方の過疎化は想像以上。移民という選択肢ももちろん必要かと思われる。
    特区で移民を受け入れるというアイデアは、意外といいかも。

  • 移民の「多文化パワー」で日本に活力を。定住し、子世代が豊かになれる教育を。地域には国際交流基盤があった。

    民族より、ニッポンという基盤を維持すべしと。
    市場価値が下がる前に。

  • 世界では人口移動が年々活発化している。自国民より外国人が多い国さえ少なからずある。カタールの外国人被率は87%、アラブ首長国連邦70%、クウェート69%。アジアでもシンガポールが、半数とまではいかないものの41%、香港は39%となっている。それに対して日本の外国人比率は1.7%。また、一定の枠内で外国人の受け入れを行っているが、ビジョンのない現状追認型の受け入れに過ぎない。定住を歓迎するメッセージはない。他方、韓国は少子高齢化の進行に伴いその対策として移民受け入れへと舵を切っている。そんな中、鎖国のケース、開国のケースを具体的に紹介しながら、日本再生の劇薬として移民受け入れの是非を議論する。移民の受け入れについて、劇薬は副作用を起こしやすいが、高いリスクを持つ故に高い効果も期待できると著者は推奨の立場に軸足を置く。積極的に歓迎する姿勢を示し、サービスを充実させれば日本社会に彼らの能力の最大限に発揮し貢献してくれるし、日本での生活を夢見て日本で暮らそうとする外国人は飛びぬけて旺盛なバイタリティを持った人が多いという。

  • 今後人口が減少していく日本において、労働力の一部として外国からの移民を受け入れるべき、ということを前提にいくつかの事例を挙げて説明している。

    <感想>
    1.今後の日本人口の減少について、それを補完する形で、海外からの労働者の輸入をすべきだという筆者の主張に対して、ある程度納得できる部分もある。しかし、その論拠について、マイナス面が述べられていないのと、プラス面が希望的観測の側面を多分に含んでいる点が気になった。
    移民については、経済的な側面だけでなく、社会コミュニティ・文化・教育・治安など様々な点に絡んでくるので、なお更深い考察が必要であると思う。

    2.個人的見解としては、海外からの労働力の輸入については、ある程度必要ではないかと思う。それを活かさない手はない。しかし、それは現在の傾向が続き、現在の状況を維持しようとするのであればのことだけど。要するに、これは、今後日本がどのような国際的地位・ロールモデル・自国経済を築こうとしているかに、密接に関わっていると思える。そこを考えずに、この結論はでないのでは?つまり、この問題は、今後の日本規模の戦略のための戦術であるということ。
    そこを踏まえて、自分もよく考えてみたい。

  • 移民こそが日本再生の劇薬である。積極的に移民を受け入れなければならない。たしかに、日本で働きたい人が日本に来て、日本は良い国であると思う人が世界に増えれば国のためになる。しかしだ、この本に限らず日本はこうしなければならないという論の前提に賛同できない。

    その前提が「日本は現状を維持して経済成長を続けなければいけない」というものだからだ。この前提がおかしい。今後経済成長するか、と。ジジイども、バブルの再来を夢見るのは止めろ。どう落としどころをつけるかということが必要なのではないか。例えば国を飛行機に、燃料を人の力に例えてみる。

    人の力が足りない。このままでは飛び続けられない。そこで突貫的な政策で飛行機を修理しながら無理やり飛ばせ続ける。そうするとどうなる?いつか墜落する。終わり。必要なのはどこまで飛行機が飛ばせるかを正確に把握し、着陸して整備、燃料補給すれば再び飛ぶことができる。

    日本は落としどころを決め、緩やかに下降すればいい。老獪なご隠居を目指せ。 この本の帯には「これが再生のための劇薬だ」とある。劇薬は使いどころを間違えると猛毒であり、人を殺す。必要なのは余生の暮らし方ではないのか。人も、国も。以上。

  • 日本は人口減少が確実なので、本書を読んで危機感をもってほしいですね!2035年に日本で生活しているであろう人たちにお勧めします。
    by独身団塊ジュニア

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著者プロフィール

(公財)日本国際交流センター 執行理事
兵庫県庁で10年間の勤務後1988年より日本国際交流センターに勤務。多文化共生、移民政策、草の根の国際交流研究、日独フォーラム、アジアコミュニティトラスト、フィランソロピー活動など多様な事業に携わる。2003年よりチーフ・プログラム・オフィサー、2012年より執行理事。現在、文化庁文化審議会日本語教育小委員会委員。総務大臣賞自治体国際交流表彰選考委員、内閣官房地域魅力創造有識者会議委員、新宿区多文化共生まちづくり会議会長、第一回国際交流・協力実践者全国会議委員長、慶應義塾大学等の非常勤講師等を歴任。著書に『人口亡国――移民で生まれ変わるニッポン』(朝日新書、2023)、『移民がひらく日本の未来』(明石書店、2020)、監訳書に『スモールマート革命』(朝日書店、2013年)、編著書に『国際交流・協力活動入門講座Ⅰ~Ⅳ』(明石書店)、英文共著書にAsia on the Move(日本国際交流センター、2015年)等がある。慶應義塾大学法学部卒。米国エバグリーン州立大学公共政策大学院修士。

「2024年 『自治体がひらく日本の移民政策【第2版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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