「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104572

感想・レビュー・書評

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  • 日本人みんな読んで欲しい。エネルギー資源に乏しいこの国でどうやって原子力と向かい合えばいいのかを提言してくれる本書。日本と国と原子力。技術と政治とコスト。あれやこれやが詰め込まれた名作。1度は読んでおこう。

  • 筆者独特のとても歯切れの良い文書で、原発の優位性がひたすら述べられている。

    ただ優位性を主張しすぎて、都合の悪いデータや想定の考慮はあまり行われていなさそうな感じも否めない。

    例えば、原発事故というものすごくレアで予測不能な事象について、過去の実績だけをもとに、他の電力とのコスト比較をするのもどうだかなぁと思う。

  • 原子力発電について理解しやすい内容になっていました。
    化石燃料を使い続けることは問題だし、現在のテクノロジーで原発を使い続けるにもリスクはあるという状況で将来世界人口が増え続ける中、エネルギー問題をどう解決していくか、ベストマッチな方法を取らなきゃいけない。その一つとして今は原子力ではないかという感じでした。
    原子力の可能性とともに、エネルギーについて考えさせられる内容で勉強になりました。

  • 人が原子力発電のような複雑な技術を使いこなすのは無理なのかもしれないと思ったことがある。しかし、化石燃料の使用に伴って失われる人命の数、原子力発電所の停止に伴う経済的な損失、気候変動が人類に及ぼす影響の大きさなどを考えると、化石燃料の使用を減らし、二酸化炭素の排出を抑制するために、原子力発電を推進する方が得策だという主張には、納得せざるを得ない。風力、太陽光など、いわゆる再生可能エネルギーは、原子力に比べると圧倒的に、それはもう気が遠くなるほどエネルギー密度が低いので、風力発電や太陽光発電で原子力発電を代替することなどできそうにない。あとがきによれば、別の出版社で始まったものの、国民的な反原発感情の高まりで頓挫した出版企画を、新潮社が拾ってくれたそうだ。東日本大震災から1年もたっていないときだから、無理もないとは思うものの、どんなときでも冷静さを失わずに物事を考えてくれる人がいて、そして、その結果を世に出してくれる人がいるのはありがたい。2012年3月11日付け読売新聞書評欄。

  • 原発問題は原子力工学の専門家、放射線医学の専門家、エネルギー政策の専門家や原発設置地域の行政、住民などが関わっているが、全体を俯瞰する総合的な専門家はいない。(本来なら政治家や官僚がそうあるべきなのだろうが…)
    その中で経済学やリスク分析の専門家であり、物理学の博士号を持つ科学者である著者がフラットな立場で原発問題についてデータに基づき評価した本。

    こういったデータ分析的な話は個人的に好きなこともあり大変面白かった。発電のための人的犠牲を減らし、地球環境を守り、日本の財政を持続させるためにも原発の再稼働、増設がされることを期待します。(増設に関する合意形成の難しさは途方もないと思いますが)


    以下抜粋

    代表的な発電方法における1TWhあたりの死亡者は
    化石燃料21人
    ソーラー0.44人
    原子力0.03人
    となっている。これは大規模な採掘や造成、パネルの取り付け作業に伴う事故が起因する。
    また、化石燃料は大気汚染により年間100万人の死者を出すため、その他の発電とは比べ物にならない犠牲のもとに成り立っている。(大気汚染は直接の死因ではないが)
    さらに言うと化石燃料はCO2の排出量も多いため、地球温暖化によるリスクの将来世代への先送りも無視できない。

    放射線被曝による健康被害は福島、チェルノブイリの事故で超低リスクなことが判明している。要は実際のリスクではなく感情論が先行している。チェルノブイリ原発事故があったウクライナは原発を推進。

    クリーンエネルギーについて、そもそも太陽光や風力は化石燃料や原子力(放射性ウラン)のエネルギー密度に対して圧倒的に低い密度のため多少の技術革新などがあっても発電効率の悪さは変わらない。

    日本のエネルギーポートフォリオの中で原子力を全て止めるとなると追加の化石燃料の購入のため約4兆円の出費が増える。(日本の税収が40兆円程度)

    一度臨界に達した原発は連鎖的な核分裂反応が継続するために40年ほどは閉鎖できず、管理を続ける必要がある。どうせ管理するならエネルギーを取り出す方が得。

  • 原発に関して、経済合理性や被害の影響度合いの観点から有用性を指摘。原発の仕組みについても素人である私にも理解できるほどわかりやすく説明されている

  • 原発にあまり興味ないので、流し読みだけど、
    ロジカルに考えれば原発は言うほど悪者じゃない、
    みんなロジカルな考え方はできない、ということねすね。

  • 原発推進側の主張。
    途中の、原子炉の構造や発電の際の化学反応など、
    理数がさっぱりなので面白かった。
    (久々にこういうのやったけど、
    あの時分からなかったものが
    大人になると分かるようになることもあるんだなぁ。)

    福島原発の事故の際、ブログでその時起こった事の
    まとめを書いたのだが、こうして見るとその時の認識は
    正しかったことに安心した。


    著者の言うことに反対はしないし、
    化学的に理論立ったメカニズムなのは理解できた。
    だが、そもそも、反原発側との立ってる場所が違うというか、
    反原発の人が大切にしているものと
    彼らが大切にしているものが違うので
    話し合いにならないんだろうな、とは思った。

    飴が食べたい人にチョコ渡して、
    これを食え!同じだろ!と言ってるような
    なんか違う感に気づく事ができるだろうか。無理かな。

    使用済み核燃料の処理方法も、
    尻拭いも出来ず、地中に埋めれば、
    海底に沈めれば、という
    都合が良い時だけ「自然は偉大」論で、
    尻切れトンボだったのは残念。
    テクノロジーや発展を最優先にさせた生活を目指すのであれば
    せめて、自分の使ったものは
    そのまま地面に埋めずに
    安全な状態にしてから捨てようぜ。

  • 専門家じゃないからこその客観性がある。
    こんな風に冷静になりたい。

  • 初心者向け分かりやすい、反原発ダメ論
    再生可能エネルギーは世界的に総崩れで、経済的に成り立たないことが実証されつつある。
    石炭は安いが、大気汚染の問題がある。
    原発事故の被害は大したことはない。
    事故の損害賠償金を考慮に入れても、火力のほうがコスト高。
    ガスタービンコンバインドサイクルは有望。

    太陽光発電が経済的に引き合わないのは、うちのケースでは計算済み。
    もともと独占企業が作っているわけではないので、今からコストが劇的に下がるなんて信じられないね。

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著者プロフィール

金融日記管理人。恋愛工学メルマガ発行。

「2017年 『ぼくは愛を証明しようと思う。(2)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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