震災復興欺瞞の構図 (新潮新書 461)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104619

作品紹介・あらすじ

大震災を口実にした大増税で、いま役所は「祭り」状態!日本人一人当たりの物的資産は966万円に過ぎないのに、今回の復興財源法では、被災者一人当たり4600万円が使われる計算になる。しかし、これは山を削り高台を作るエコタウン造成など、壮大で時間がかかる計画に浪費されてしまうのだ。精緻なデータ分析を元に、「復興」の美名の陰で進む欺瞞の構図を炙りだし、安価で人々を直接助ける復興策を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 仮設住宅は高コスト支援策である。これなら、2年間住宅補助を出した方がよい。
    トルーマンは戦争中もコスト削減を要求していた。

    震災とは物理的に生産手段が破壊されてしまうことだから、供給能力が低下する。したがって、金融政策がそれ以前と同じだったら物価は上昇する。

    天変地異の後でもデフレを起こすという政策は戦後にも行われた。

  • 震災の復興予算に震災とは関係ないことも含まれており、復興費用は6兆円程度で済むことは目からウロコだった。

    財政出動単独の政策がうまくいかない理由についても書かれている。

    政治家、官僚、財界それぞれに不正を犯すインセンティブが多く存在することを実感できる本だ。

  • 震災復興のためには4兆円の財政出動でいいというのをシンプルに示しています。それが見向きもされない現実こそが、欺瞞の構図。

  • 過去の震災復旧対策の浪費ぶりに驚愕...((((;゚Д゚)))))))


    【奥尻島】
    島民一人当たり1620万円

    しかし人口は4700人から3144人に減少

    【阪神淡路大震災】
    被災者一人当たり4000万円

    しかし長田区の商業施設はゴーストタウン
    しかも神戸空港など大規模開発計画を震災復興計画に滑り込ませる


    その他、気になった箇所をφ(。_。)メモメモ

    今回の東日本大震災の復興費用について、内閣府は19〜23兆円必要としているが、「4兆円程度では?」とのこと。
    (1〜3次補正予算における地方交付税交付金2.3兆円=岩手・宮城・福島の地方税収の3.7倍に相当)

    日本の公共事業は長い。それは、工事が続いている間は人々は政治家に感謝し頼るからだ。今回の復興策も政治家が票田を維持するための利益誘導政策として、経済効果の低い、予算の消化を自己目的とした事業になると思われる。

    国家は個人財産の復活を助けない、という原則は正しいと思う。だが、その原則を守るため、無駄な公共事業をするのは問題だ。むしろ、人々の個人財産の復活を直接支援した方が安くすむ。

    2000年の鳥取県西部地震において、当時の片山善博鳥取県知事が国の反対を押し切り、県独自の施策として住宅再建に300万円の支援金を支給し大きな反響をよんだ。鳥取県では300万円の住宅復興補助事業を実施した結果、仮設住宅の建設は20戸で済み、コミュニティから切り離された結果起こるとされる自殺や孤独死はゼロであった。

  • ■欺瞞
    1.内閣府は、震災における物的資産の既存額を約16.9兆円としている。だが、日本一人当たりの物的資産の額は966万円、今回の震災で深刻な被害を受けた人が約50万人であることから、毀損額は4.8兆円程度、多くても6兆円と見られる。

  • 【要約】


    【ノート】

  • 震災復興の予算が多すぎる、事業者も含め、被災者個々への支出が一番効率的だという主張は理解できましが、もう予算は走り出して止められないようなので、なんだか無力感が残りました。

  • ○エコノミストの原田氏の作品。
    ○復興にかかる予算の使い方や増税のあり方について、疑問を呈する作品。
    ○著者の言いたいことも分かるが、データの取り方や考え方が我田引水すぎる。もう少し中立的で客観的な分析を期待していたので残念。

  • 東日本大震災の復興には巨額の予算が充てられている。しかし、エコノミストの著者は震災復興には巨額の復興費は要らないと指摘する。括弧の震災における復興予算と現状等を交えつつ、巨額の復興予算の裏に潜む「欺瞞の構図」を暴く。

    序 論 人を助ける復興策とは?
    第1章 大増税の口実に使われる大震災
    第2章 過去の震災復旧対策の浪費ぶり
    第3章 政府や県が無駄遣いに積極的な理由
    第4章 最も安上がりで効果的な復興策
    第5章 過去の大震災に学ぶ
    第6章 原発事故の教訓

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著者プロフィール

1950年生まれ。東京大学農学部卒業。学習院大学博士(経済学)。経済企画庁国民生活調査課長、海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長、大和総研専務理事チーフエコノミスト、早稲田大学政治経済学術院教授、日本銀行政策委員会審議委員などを経て、現在、名古屋商科大学ビジネススクール教授。著書『昭和恐慌の研究』(共著、東洋経済新報社、日経・経済図書文化賞受賞)、『日本国の原則』(日経ビジネス人文庫、石橋湛山賞受賞)、『若者を見殺しにする日本経済』(ちくま新書)、『ベーシック・インカム』(中公新書)、『デフレと闘う』(中央公論新社)など多数。

「2021年 『コロナ政策の費用対効果』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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