「新型うつ病」のデタラメ (新潮新書 474)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104749

作品紹介・あらすじ

「上司に叱られ、やる気ゼロ」「彼女に浮気されたので休職したい」…。この十年、そんな理由で精神科を訪れる人が急増。従来のうつ病とは明らかに異なる病態をもつそれは、「新型うつ病」と総称されるようになった。診断書を手に堂々と会社を休む人々、手厚すぎる社会保障、肥大化する自己愛と精神力の低下。はたして「新型うつ病」は本当に"病気"なのだろうか。もはや社会問題。そのまやかしを、現役精神科医が暴く。

感想・レビュー・書評

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  • 『新型うつ病』は精神力の低下に原因があるという。
    しかし、新型うつ病で苦しんでいる人はどうするべきなのだろうか?
    今も昔もストレスはあるはずなのに、現代人だけ心が弱いとする根拠がよくわからなかった。

  • はじめの方は医学的専門的な内容が多くて難解だった。
    中ごろからは従来型と新型の差が分かりやすく書かれていた。
    いわゆる現代病みたいに言われている病気で、「デタラメ」というタイトルからちょっときつめの印象を持って読み始めたが、社会問題などにも言及されていて、最終的には非常に勉強になったと思う。

  • [private]自分も新型うつではなかったかと・・・。どうなんだろう? 障害手当て→障害年金と行けばよかったかも。真面目なのは損する世の中なのねぇ。[/private]

  • 新型うつ病とうつ病の違いを丁寧に且つ素人にもわかりやすく解説する良書。症状そのものだけでなく医療機関側の問題、社会保障の問題についても言及(解決方法については提示されない)。

  • 前に読んだ『「心の傷」は言ったもん勝ち』よりも私の知りたかったことが書かれた本だった。うつ病と新型うつ病は似て非なるものだが、職場や学校では自殺企図の心配から詐病ともとれる言動に振り回され、腫れ物を触るように過保護にしてしまう。本当なら著者のような精神科医がどこにでもいて、本当の病と怠け癖を見極めてほしい。残念ながらあまりにも少数派のような気がするし、それを思うと気が滅入る。「やる気はあるが、困っている当事者」と「困ってはいるが、やる気のない当事者」は違うというあとがきの一文は言い得て妙だ。

  • 新型うつ病が増えたのはなぜか。
    著者は、以下の3つだという。
    ①精神病理学の衰退
    ②抗うつ薬SSRIの出現
    ③精神力の低下

    ①昔は精神病理学に基づいた直観的な手法で診断されていたが、DSMという機械的な診断手法の登場で、表面的で安易な診断がくだされるようになった。
    ②SSRIという抗うつ薬が登場し、製薬会社のキャンペーンなどの効果で、うつ病が浸透した。
    ③現代人の精神力は低下し、甘えとしてのうつ病が増えている。

    ②は冨髙振一郎氏の著書に詳しい。本書は①に詳しい。

  • 従来のうつ病と最近よく言われる新型うつ病の違いについて記述した一冊。

    彼は精神科医として比較的コンテンポラリーな立場で、新型うつ病については手厳しい論調。
    色んな精神疾患があるし、彼らに対して一様な見方・意見は意味がないとはいえ、実際にその手の症状で苦しんでいる人に対しての配慮や愛情が足りないと感じた。

  • 新型うつ病が近年増加した理由は以下の3点のためだそうです。
    ①診断力の低下
    ②新規抗うつ剤(SSRI)の出現
    ③現代人の精神力の低下
    診断基準に合致しているからと安易に診断し治療することは、医師の診断力、倫理が問われる疾患です。

  • 昨今増えていると言われている「新型うつ病」は
    うつ病ではないと言う事を医学的検知から説明しています。

    医学的説明が多いので、少々難しい部分も多いですが、
    症例の説明は具体的で非常にイメージしやすいものばかりでした。

    「新型うつ病」というのは、様々な要因で精神的に弱くなってきた日本人に
    副作用の少ないうつ病用の新薬を売りたい製薬メーカの思惑が重なって
    できた病気のようなものなんだそうです。

    病気として扱ってほしいと来院する人が増えているという
    現状は自分としてはいかがなものかと思うし、
    もう少し粘って踏ん張っていくべきなのかなと思います。

    筆者の説明を見ていると「新型うつ病」って仮病?という風にも
    思えるのですが、当人は多分困っているはずなので、
    非常に難しいものだと思いました。

  • やや過激な表題であるが、従来型のうつ病との異同について分かりやすく書かれており、読みやすかった。
    うつ病の歴史についても詳細に学ぶことができて、私にとっては一石二鳥といったところ。
    後半は、著者の主観的な意見も多く、全てを理解した、同意したとは言えないが、全体を通しては興味深く読ませていただいた。

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