誤解だらけの「発達障害」 (新潮新書 496)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104961

作品紹介・あらすじ

「しばらく様子を見ましょう」「現状を受け入れてください」。「発達障害」と診断された子の親は、専門家からそんな言葉をかけられる。しかし、これは大いに問題がある。適切な「教育・学習」を通して「教わる力」を身につけさせれば、発達の遅れは大きく改善するのだから。カギは、「教える難しさ」というハンディを乗り越える意志を持つこと。約七〇〇人の子どもを教えてきた実績を基に語る、本当に子どものためになる教育論。

感想・レビュー・書評

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  • まあ、鵜呑みは出来ない。
    でも、定型児も非定型児も基本的には同じ育て方、ってのは同意するかな。

  • 誰もが他人事ではない発達障害

    大人になってから何らかの障害があったことを知ったり、また自身の子どもが障害(の疑い)があると診断されたり、また障害の(傾向の)ある人になやまされたり、発達障害は他人事ではなくなってきている。

    しかし、発達障害自体の認知度は高くても、それをどのように付き合っていけばいいのか、それをどこまで「個性」や「自分らしさ」として向き合っていくのかはなかなか明確な答えが出せない問題。

    本書は発達障害をもつ子どもの教育に携わってきた著者が、親や教育機関において、どのように発達障害を矯正し、克服していくのかを論じている。本書では一貫して、そのような傾向をきっぱりと否定し、厳しく躾けていくことが重要とする。

    確かにそれでうまくいくことも多いのかもしれない。自分が発達障害の子どもを持ったら、人並みの人間にしてあげたいと思うかもしれない。しかしそれでいいんだろうか?そして何やら矯正、躾け、というような方向性に違和感を感じつつ、しこりの残る一冊であった。

    彼のアプローチで気になったことは、彼が手にかけてきた子どもたちが成長して、過去の自分を振り返った時に、その当時は言葉にできなかったが、ちゃんと何もわからずいつも動きわ回っていたが、どうにかして欲しかった、と言っている、と強調する。しかし、そのような回想はどこまで本当なのか?残念ながら人間の記憶はとても曖昧で、会話の雰囲気や話の誘導の仕方、話し相手によって簡単に変形されていくものなのだ。何かこの人のマリオネット(操り人形)が話しているのではないか、という気さえした。

  • 主に子供の発達障害について綴った一冊。

    具体例が書かれているので、発達障害の子供を持つ親にとっては参考になるかと。

  • 世界観があまりに一方的すぎるきらいがある。おそらく、著者が最も重視しているのは、発達障害(本書のいくつかの具体例からすると学習障害も含む)を抱えた子供を「学校についていける状態にする」ことなのかなと思った。実際、「教わる力」が重要と言っているし、子供を理解しましょうというアプローチではなく「〇〇しなさい」という指示的な訓練と教育を提示している。しかし、こだわりにも良し悪しがあるし、誰にも教えることができないことを徹底的にやりぬいて価値を出すというタイプの生き方が否定されることになるのではないか。
    自分は結婚もしていないし、まして親ではない。発達障害にも深い理解は持っていないので、こちらの見方も一方的なものだとは思う。実際、本書のアプローチによって、発達障害の子供と、その子に関わる親、先生たちが皆幸せになっているというケースが紹介されていたので、必ずしも間違っているとは言えない。上手く行ったケースだけを出している、という事実もあるだろうけど、それを言い出したら教育産業全般がそういうものだろうし、人間全てに適用できる教育なんてないわけで、「こういうアプローチもあるのか」と思っておいて、その適用場面を良く考えながら読む本だと思った。

  • 発達障害系の本にしては、異色の存在。それぞれの事例に基づいた丁寧な実践事例の紹介。泣こうが喚こうが親は、教えるべき事はキチンと繰り返し冷静に伝えていく事が大事。親対象なので踏み込んだ対応の仕方になっている。

  • 発達障害を抱えた子供の教育について、非常に興味深い本。実際に筆者が関わった子供について書かれている。発達障害に関係なく、子供に関わる人は読んでみるといいかもしれない。

  • 発達障害の指導法については、本当にいろいろな説や考え方が出ているので、一概にどれが絶対だ!というものはないと思うが、1つの考えとしては頭に入れておきたい考えが書かれている。

  • 教育に携わるものとして、「発達障害」と付き合っていくのは避けられない。

    でもよくわからなかった。

    どう接すればいいのか?

    どう指導すればいいのか?

    この本を読んで、少し光が見えた。

    基本は一緒なんだね。

  • 健常な子どもであっても発達障害の子どもであっても結局やることは同じ、という趣旨の本です。
    発達障害だからといって、学習できないと諦めてしまうのはもったいないことです。
    確かに普通の子よりも時間はかかるし忍耐力も必要ですが、適切な形で根気よく続けていけば、生活面でも学習面でも適切な行動ができるようになってくるようです。
    実際の事例や具体的な指示の仕方なども書いてあるので、発達障害児と関わることのある人(特に保護者の方)にはいいのではと思います。

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著者プロフィール

1951年鹿児島県生まれ。九州大学工学部卒業。エルベテーク代表/医療法人エルベ理事。出版・教育関連会社を経て96年にエルベテーク(http://www.elevetheque.co.jp)設立。現在、川口・青山・ロサンゼルスの各教室を運営。
著書に『自閉症児の学ぶ力をひきだす』(日本評論社)、『誤解だらけの「発達障害」』(新潮新書)、『子どもの困った!行動がみるみる直るゴールデンルール』(新潮社)、『発達の遅れが気になる子どもの教え方』(主婦の友社)。


「2017年 『発達障害の「教える難しさ」を乗り越える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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