人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか (新潮新書)
- 新潮社 (2013年3月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106105104
作品紹介・あらすじ
熟考したつもりでも、私たちは思い込みや常識など具体的な事柄に囚われている。問題に直面した際、本当に必要なのは「抽象的思考」なのに―。
累計一千三百万部を超える人気作家が「考えるヒント」を大公開。明日をより楽しく、より自由にする「抽象的思考」を養うには?一生つかえる思考の秘訣が詰まった画期的提言。
感想・レビュー・書評
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じぶんがよく分からなくなったら立ち戻れる本。非常にスッと言葉が入ってくる。「知る」≠「考える」
具体的なもの に触れ続けると疲れてしまう気がするのは、そこに、受け取る側であるこちらの想像したり思考したりする幅、余白が感じられないからなのかもなぁ。
あとがき、にまでこの方の性格?が表れていて面白い。 -
ミステリー作家(引退?)の森博嗣の書。
考え方のハウツー本ではなく、『もうちょっと考えてみよう』と勧めるだけの本なのだが、・・・さすが森博嗣っ!森博嗣ならではの言い回しが心地よかった。
著者としてはタイトルに『抽象思考の庭』を考えられていたとのことが「あとがき」に書かれている。
この本では、具体的に考えることからはなれて、抽象的な思考をすることの大切さが述べられている。
ただし、抽象的思考は、論理的思考や具体的行動とセットにならなければ問題を解決をできないのだけれど、この三つのうち抽象的思考のみが手法が存在しないため教えること、学ぶこと、伝えることが難しいと述べておられる。
なんでもかんでも具体的に考え、具体的な情報に触れることに価値が置かれるように思われるけども、そこから離れて抽象的に考える勇気も必要だと思った。なによりも、面白いかもしれない。
後半、森博嗣が、趣味の庭いじりから得られた発想について述べられている点が面白かった。
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内容(amazonより)
熟考したつもりでも、私たちは思い込みや常識など具体的な事柄に囚われている。問題に直面した際、本当に必要なのは「抽象的思考」なのに―。「疑問を閃きに変えるには」「“知る”という危険」「決めつけない賢さ」「自分自身の育て方」等々、累計一千三百万部を超える人気作家が「考えるヒント」を大公開。明日をより楽しく、より自由にする「抽象的思考」を養うには?一生つかえる思考の秘訣が詰まった画期的提言。
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第1章 「具体」から「抽象」へ
アイデアはどこから来るのか / 「見えるもの」が既に偏っている
第2章 人間関係を抽象的に捉える
決めつけてはいけない / 奥深い人、浅はかな人 / 「友達」を抽象的に考える
第3章 抽象的な考え方を育てるには
なにが「発想」を邪魔しているか / 普通のことを疑う / 自分でも創作してみる
第4章 抽象的に生きる楽しさ
「方法」に縋らない / なにもかも虚しい? / 自由のために働く
第5章 考える「庭」を作る
自分で自分を育てるしかない / 「知ること」に伴う危険 / 「決めない」という賢さ
(「目次」より抜粋)
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タイトルが大変にかっこ悪いけれど、コンテンツは流石です。「抽象思考の庭」の方が断然鋭いのに。
昔はもっと過激だったような、丸くなったような印象を受けます。
もやもやっとしたところもあるけれど、もやもやっとしたまま受け取っておけば良いのだろう。
視点、立ち位置、スタイルみたいなものを、「このへん」に持っていくともうちょっと世界は平和になるんじゃないかな、という話。
目先の具体的なもの、特に数字の類に追われてる人をよく目にするので(ホントに多すぎ)気をつけよう。
三年後にもう一回読む。 -
要するに「物事を抽象する」という技術について語っているのだと思うけれど、さすがはアカデミックな世界で研究、そして教育に長年たずさわっていただけあって一般の、いわゆる市民生活とは若干乖離している象牙の塔からの物言い的なものもやや感じるわけですけれど、その思想の中に人間が幸せに生きていく上で必要な物事を示唆していると思った。
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【動機】森博嗣なので。タイトルがアレなので。
【内容】抽象化おじさん。
【感想】下品なまえがきに書かれている「客観」という言葉の使い方が自分の感覚とズレていて本の余白をハテナで埋め尽くしたくなったけれど、見下しながら我慢して読んでいるとだんだんハテナも溶けていって、らしい浮遊感を味わえた。そしてどちらかというとこっち(抽象)側である自分にとって、鋭い戒めの言葉も得られた。 -
SR図書館
執筆依頼で書いた本
人間としてのバランスを取るためには、客観的で抽象的な考え方が必要
この本を最後まで読めると、抽象的思考の素養は十分であるというから楽しみながら読めると思う
森氏の執筆方法が面白くて抽象的内容より印象的だった
「ふふん、ふふってふふいた」みたいな文章
「シャ」で始まる熟語
「ヴィカなんとか」という言葉はないかな
リズムに合う言葉を探し、意味は二の次
無関係な言葉を持ってきて突飛感を強調
これらが抽象的な欲求に基づいている文章作成法だそうだ
天才肌である
《抜粋》
8抽象的に考えるというのは物事の本質をつかむことで、見かけのものに惑わされることなく大事なことはどこにあるのかを探すような思考になる
29好奇心のような姿勢がとっても大事なファクターになる
122影響を与えたかったら自分が何に感動したかではなく、自分で感動を創り出すことを考えて欲しい
166要するに抽象的な思考は、論理的思考と具体的行動がセットにならなければ問題を解決できない -
頭の庭いじり 好きな表現だなと思った。
普段小説しか読まない私。
抽象的だの客観的だのそう言ったワードに対してなんの興味もなかった。
物事の本質とか、自己を見つめるとか、
そんなの高校の倫理の授業で聞いたきり。
この本を勧められたとき、なんか難しそうな本だなぁって思った。
ところが、とても読みやすい文章。たとえもわかりやすかった。頭がまだまだ具体的思考なので、作者の問いかけに対する答えが欲しかったり、ぼんやりとした話にモヤモヤもするけど、読んで損はなかった。 -
印象に残ったキーワード・キーフレーズ
1. 漠然と庭をいじっていて「あっ、ここいいな」と思う瞬間が見つかった
目的が漠然としていても思考をこねくり回すことで良いものを発見する(アイデアを思いつく、目的に対する具体的な手段が見つかる)瞬間がある。重要なのは「こねくり回す」の部分。
2. 他者を抽象化してもいいが、自分が他者をどう抽象化しているかは他の人に言わない方が良い
はい。
3. 文系の人は理系の人より論理的だと思う
学校の勉強で論理でなく「発想」が必要になることがあるのは数学だけである。発想があるとすぐ解けるような問題は「エレガントな問題」と呼ばれるが、エレガントな問題は二度と同じような問題を出せないので滅多に出題されない、という記載が面白かった。
私も理系の人が論理的だとはあまり思わない。法則から推測しているという点では文系も理系も変わらないし、研究職をやっていると「どの法則に則った答えが正しいのかが分からないまま推測(思い込み、賭け?)で研究している」という点などは確かに理系の方が論理的の度合いが低いような気もする。