人間関係 (新潮新書 518)

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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105180

作品紹介・あらすじ

凡庸でも「私らしい時間」を生きるための全十四話。「手広く」よりも「手狭に」生きる、心は過不足なくは伝わらない、誰からも人生を学ぶ哲学を……この世に棲むには、他人と世間、自分と向き合うための作法がある。

感想・レビュー・書評

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  • 凡庸でも、「私らしい時間を生きる人生」とは何かを考える。恐ろしくもあり、魅力的でもある「人間関係」の基本とは。
    悩める人へ送る14話が本書です。自分の心に正直に、他人を気にせずに。

    気になった言葉は次の通りです。

    ・一般に商売でもなんでも「手広く」やろうとおもうと重荷になる。しかし「手狭に」ひっそりとやるなら過労にもならずに済むものである。
    ・わからないことは考えなくてもいいのである。そう思いついた時、それは中年のどの時期からそうなったのか、私には覚えがないが、これが私の救いだった。
    ・中年以後、私の心理的な特徴の一つは、この世で、何がいいことで何が悪いことか、ますますわからなくなって来たことだ。
    ・人間関係を成り立たせる上で、しかし極端に迷惑なもの2つある。その一つは噂である。もう一つは、最近はやりの「正義を売りものにする」姿勢だ。
    ・「規則」「安全基準」「定員」なとというものは、一応の目安であって、非常事態にあっては、さっさと無視してかまわないものだ、という教育が日本にはなかったのである。
    ・日本人の思考には、あまりにも、規則重視の倫理観が重く根付き過ぎていることに、私は愕然としたのである。
    ・私の心の中には、幼い時から、自分には相手の気持ちがわからない、自分の心はうまく相手に伝わらない、という思いが深かった。
    ・むしろ、他人には自分がわかるわけはないのだ、という覚悟か自負のようなものがある方が無難なのだろう
    ・過不足なく心が伝わる、などということを諦めることだ。最初から少し諦めていれば、深く絶望したり恨んだりすることもない。
    ・私はお金の争いだけはするのがいやだったのである。
    ・人間というものは、「舞台」の上では、実によくその個性が出る。
    ・教養や語るべき強烈な自己がない人が、「関係」の世界にしゃしゃり出てはいけない、ということなのだ。
    ・一人の人間の生涯の前では、一時間ぐらい「すぐ」だというべきだろう。そしてそれに耐えられない人間は、生きるに値しない弱い精神の人物だと考えられても決して不当ではないのかもしれない。
    ・若い時は背伸びが好きである。少しでも自分をよく見せようとして取り繕うことが多い。
    ・私は昔から身なりをかまうのが面倒くさくて、「これでいいや、人は他人のことなんかあんまり見ていないものだから」と思うことにしていた。
    ・(バフェット氏をとらえて)氏には常に自分の眼があった。人がいいと評価して群がるものなどには、手も出さない。群れてはだめだ、ということだ。
    ・人生で「好み」を持つということは実に大切だ。他人の評判を気にしている人は、自分の好みではなく、あてがいぶちの人生を生きることになる。
    ・(パフェット氏)彼は安物買いには走らなかった。「普通の企業を格安で買うよりも優れた企業を相応の価格で購入すべきだ」

    目次は、以下です。

    第1話 「手広く」より「手狭に」生きる
    第2話 噂話と正義はなぜ迷惑か
    第3話 倫理観は情況によって現れる
    第4話 心は過不足なくは伝わらない
    第5話 物心両面の独立こそ最初の資格
    第6話 誰も他者の運命の責任はもてない
    第7話 人間の器量はどこに現れるか
    第8話 人は誰でも「心変わり」がある
    第9話 要らないという人などいない
    第10話 うまくいかない関係なら諦める
    第11話 世にはいろいろな親切の形がある
    第12話 会話は人間であることの測定器
    第13話 痛みは決して分かち合えない
    第14話 誰からも人生を学ぶという哲学

  • この世に生まれて生きて行くためには、他人と世間・そして自分と向き合うための作法がある・・・とは言いつつも、やっぱり思い通りに行かないのが人間関係なのだと受け止め、ならばどうやって「自分らしく生きる」ことが出来るのかを説くのは、戦争・社会・宗教など幅広いテーマで執筆活動を続ける曽野氏。御年80歳を過ぎて『夫の後始末』もすでに終え、今度は『自分の後始末』も視野に入れている筆者が14のエピソードで人間関係の基本をシンプルに解説。夫婦円満の秘訣は、「なるべく一緒にいないようにすること」と公言するその素直な生き方に触れる一冊だ。

  • 人間関係のリアルを著者視点でよく表している。
    これぐらい、正直に書いてもらうとわかりやすい!

  • 私にとってはすべてがお言葉です。
    沢山引用もさせていただきましたし、
    どの文章をおいても
    批判も反論もできる余地がありません。
    読む度に気を引き締めさせていただいております、
    ありがたいことです。
    どうぞ長生きしてこれからも
    文章を書いてください。
    そして読ませてください。

  • 「正義はよいものだ。しかし誰も家庭ではそれを望まない」
    p.31

  • 175 自分の踵に合った靴

    181 バフェットの哲学

  • 2014

  • 距離/諦める/礼を失せず

  • 人間関係のお話の中で、好き嫌いを聞かれて、ありませんと言う人が、その場になると、やっぱり、駄目だという。確かに、そんな場面に出くわすと、なんで、最初に言ってくれないのかと思うけど、これって、相手とギクシャクしたくないと言う心理に似ているのではと思いました。和を重んじる日本人の良い所だし、悪い所でもあるなあ。

    やっぱり、無理な人間関係よりも、身の丈にあった人間関係の方が良いと言うのは、納得です。

  • 図書館で借りました。
    3ヶ月も待ったけど、私には合わなかった。
    ちょっと偏屈な、年配のご婦人のエッセイ。
    何故この本のタイトルが「人間関係」なのか、首をかしげてしまう。

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著者プロフィール

1931年東京生まれ。聖心女子大学卒。93年恩賜賞・日本芸術院賞受賞。2003年文化功労者に。2012年菊池寛賞受賞。著書に『人生の収穫』『「群れない」生き方』『人間の道理』『老いの道楽』等多数。

「2022年 『未完の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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