- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106105425
感想・レビュー・書評
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読んだ人のほとんどが思うことだろうが、タイトルと内容に乖離がありすぎ。
このタイトルなら誰だって、「ツイッターなどのSNSの普及によって人々の悪意が増幅され、社会の息苦しさが増していく」的なネット批判の書を思い浮かべるだろう。
しかし実際には、SNSの話などほとんど出てこない。「ネット社会化」の負の側面に光を当てた本には違いないが、本書が目を向けるのはむしろネット社会化による雇用喪失の問題なのだ。
少し前に『コンピュータが仕事を奪う』 (新井紀子)という本があったが、本書は『ネットが仕事を奪う』とでもしたほうが的確な内容である。
『コンピュータが仕事を奪う』 はじつに面白い本だったが、本書はイマイチ。
そもそも、著者は小説家であって評論家ではないから、この手の評論ぽい文章は得意ではないらしく、論の進め方がダラダラしていて散漫だ。
それでも、1~2章はわりと面白く読める。
1章は、著者がかつて同社日本法人に在籍していたイーストマン・コダックが、デジカメ技術の進歩と普及によって経営破綻するまでの道筋をたどったもの。いま多くの業界で進行している「イノベーションが雇用を破壊する」プロセスの典型例を、そこに浮かび上がらせるのだ。
著者が最もよく知る業界の話だけあって、この章は内容が濃い。
つづく2章は、著者がいま身を置いている出版業界の近未来を展望したもの。電子書籍の普及が出版不況の救世主にはならず、「電子出版という新しい船に乗り込むことを許されるのは、ごく僅か」となる過酷な未来を、著者は描いてみせる。
目新しい論点はないものの、電子書籍ビジネスの世界を舞台にした長編小説『虚空の冠』も書いている(らしい。私は初期の犯罪小説しか読んだことがないけど)著者だけに、電子出版をめぐる冷徹な分析はなかなか読ませる。
しかし、3章以降はだんだんつまらなくなっていく。
“スマホの普及は人を幸せにしない”だとか、グーグルなどによって個人情報が収集される危険性だとか、「ネットが拍車をかけた就活地獄」だとか、「何をいまさら」な話ばかりが目立つのだ。
前半だけなら読む価値はあるが、一冊の本としては中途半端な出来と言わざるを得ない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ネット社会、について
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技術革新、特に近年のインターネットの目まぐるしい発達によって雇用が失われ、社会が崩壊するという。
様々な例を用いて考察しており、たしかにそうだなと思う点も多いが、そうは言っても技術革新は否応なく進むし、それなら明るい未来を想像したいと個人的には思う。
また、フェイスブックやLINEなどのことは登場するが、「いいね!」についてはほとんど出て来ない。
他の方の感想にも書かれているが、論旨と表題が合っていないので2点。 -
タイトルでSNSについて書かれた本かと思い読んでみました。が、目次をしっかり目を通しておくべきでした。このタイトルにそぐう章は第4章のみ。
好みはあると思いますが、全体的に「ふーん」で終わってしまいました。 -
全然面白くなかった。まとめサイトみたいなネタで、いいねの話がでてこないからタイトルは釣り
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2章ぐらいまでは面白かった。既存ビジネスがIT技術の台頭によって崩壊する様には考えさせられることが多い。ただしそれ以降はアマゾン・グーグル・アップル等に既存ビジネスを奪われる危機感を煽る内容が延々と続くだけでウンザリ。あとがきで著者自身も「身も蓋もない話。解決策を提示していない」と言っているが…。
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タイトルにあるいいね!はフェイスブックのいいね!ではないのか。
いいものに食らい付いていく、便利なものを追い求めていくときのいいね!なのだ、と思う。
最初何の話をしているのかわからないまま、進んでいく。そういう風に感じたってことは、自分にとっては読みにくかったんだろうと思う。という言い訳。
便利を追い求めていくと、どんどん人間は自分の首を絞めていく。そういう論理は他の本でもたくさん言われていることなので、そういう内容を読みたいのであれば、きちんと専門的な方の著書を読めばいいのに、と思ってしまう。