- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106108099
作品紹介・あらすじ
私は、一生分のパスタを食べてしまったのかもしれない――。イタリアに暮らし始めて三十五年。世界にはもっと美味しいものがある! フィレンツェの貧乏料理、臨終ポルチーニ、冷めたナポリタン……胃袋の記憶を綴るエッセイ。
感想・レビュー・書評
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小旅行に行ったら、私の地元でもお馴染み「紀伊國屋」さんに偶然出会ってしまった...。ついふらっと入ったら、前から目をつけていて買うかどうか悩んでいた「オリジナル新書カバー」と目が合い、はい衝動買い。旅って怖い。もう、いいや!と勢いついでにカバーピッタリの新書も買っちゃえ!
で、すぐに出会ったこの本。前から読みたかった本だからいいんです。この本、新書だったのね。
ヤマザキマリさんの生い立ちが独特なのも知っていたし、テルマエロマエの映画も見たことがあったので、それを知っていると更に読み応えあり。時々ちらっちらっと出てくるのです。
主にイタリアの食事の話ですが、色々な国の豪華な食事、珍しい食事も。その中でも日本での食事の良さをすごく強調してらっしゃる。反対に、質素な胃に優しい食事も紹介されている。世界でも病後に食べるお粥に代わるものがあるんですね。違いすぎて面白かったです。
食いしん坊を自負する方は、是非ご一読を!
ワールドワイドな食事を、脳内で楽しめます!
あ、紀伊國屋カバー、予想以上に手触り良かったです!これに合う新書、また買ってこようっと。詳細をみるコメント7件をすべて表示-
ハッピーアワーをキメたK村さん(๑˃∀˂๑)アハハハ(๑˃∀˂๑)アハハハ2024/05/06
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ハッピーアワーをキメたK村さんもう〜さすがッദ്ദി^._.^)もう〜さすがッദ്ദി^._.^)2024/05/06
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へぶたんさんテレテレ(/ω\*)テレテレ(/ω\*)2024/05/06
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漫画家ヤマザキマリさんのごはんエッセイ。
若くしてイタリアに留学、その後ポルトガルやシカゴ、シリアなどさまざまな国で暮らした経験があり、仕事でも世界各国を訪れている著者が、その舌で味わった世界中の料理について綴っています。
貧乏な画学生時代に毎日のように作って食べたパスタ。
多忙な音楽家の母が握ってくれたおにぎり。
死に際に食べたいポルチーニ茸に、世界各地で口にすることになった病人食まで…。
世界の家庭の味や街角で出会える味を想像して、食欲を刺激されました。
その中でも、特にインパクト大だったのは下記2つ。
飛行機の隣の席に座ったドイツ人と思しき男性がソーセージを食す描写のなんと美味しそうなこと!
そして、俳優の北村一輝さんとイタリアを巡るロケの撮影中、各地で餃子を食べまくったエピソード。
あまりにも美味しそうで、読みながら「いいな~」を通り越して「ずるい…!」と思ってしまったのでした。 -
もともとパスタの類はあまり好きではないが、急に食べたくなるのがナポリタン。
日本式ナポリタンが超大好き。
ヤマザキマリさんの本を読んで、ああ確かにケチャップ味のパスタなんてイタリアで食べたことなかったなぁと思い出した。
子どもの頃、お出かけした時にデパートであるいはレストランで、「洋食」を食べるのが大好きだった。
オムレツ、カレー、コロッケ、シチュー。
日本で独特の進化を遂げ、日本でしか食べられないものになったもの。
ウィンドウの中の色とりどりの蝋細工に、ワクワクした。
イタリアではパスタはメインではなく、あくまでもセグンドあたりでコースの前菜として出てくるものといった位置づけ。
量も少なくあっという間に食べきる感じだったが、そのお味はどこで食べても美味しくて、さすがイタリアは違うぜ!と感心したのを覚えている。
味覚の記憶=旅の記憶
私の場合は、それに「匂いの記憶」も加わるが、味の記憶というのは特にいつまでたっても忘れないものだ。
ヤマザキマリさんの創作の原点が、イタリアでの貧乏暮らしの中にあるのかもしれないね。
イタリアのコロナが1日も早く終息しますように。 -
S図書館
食にまつわる話
1章 イタリア暮らしですが何か?
2章 あなた恋しい日本食
3章 それでもイタリアは美味しい
4章 私の偏愛食
5章 世界をつなぐ 胃袋
気軽に海外の食文化がわかって参考になった
マリさんは海外へ行くわりには苦手が多い
病気怪我も多い
柑橘系、トマト、コーヒーが苦手
梅干し○、紅茶は5、6杯飲む
ポルトガル 、ギリシア、アメリカでの病気の時や病院食はチキンスープ
寿司が海外で勘違いされているように、イタリア人から見れば日本人の捉え方は間違っていた
イタリア
・ペペロンチーノは作れば当時20円位、日本のレストランはほとんど儲け
・パンは美味しくない、脇役として皿にこびりついたソースを拭い取って食べるもの
フォカッチャだけは美味しい
その点日本 フランス ドイツのパンは美味しい
・イタリア人はオリーブオイルなしでは生きていけない
火傷、風邪薬、便秘、石鹸、万能薬だ
小皿に注がれたオリーブオイルとパンが出されると、イタリア人からしてみると訳が分からない、特別扱いするものでもないから
・貧窮した様子を表現するには、大人数でトマトソースのスパゲティを食べるシーンをよく用いる -
友人との長電話にうつつを抜かしていたら昼食を食べそこなった。
腹の虫がぶつくさ不平を洩らすのを感じながら大学附属図書館をぶらついていると本書を発見した。
ぱらぱら目次を眺め、「コーヒーが飲めません」の文字を認めるが早いか、私は貸出カウンターに向かった。
何を隠そう、私もコーヒーが飲めないタチの人間なのである。希少な同志を見出だして私は大喜び。
傘を持参しなかったため雨のそぼ降るなか駅まで走り抜ける必要に駆られ、空腹がいや増す。
立春を迎えたとはいえ2月、寒気を冒して走るのは平時と比べてただならぬエネルギーを消費する。
電車のあたたかな座席に腰を下ろし緊張を緩めた瞬間、たちまち呆然とするほどの空腹を催した。
う、う、と低く呻きながらリュックから『パスタぎらい』を取り出す。
そして腹の虫を抑え込むべく背を曲げながらページをめくる。
さて本書は14歳から世界各地を飛び交ってきたヤマザキによる食のエッセイである。
日本人一流のなんでも食ってやる精神が彼女にもくろぐろと巣食っている。
飽くなき食欲に突き動かされて食文化に舌鼓を打ってきた人物のエッセイが読者の唾腺に響かぬはずはない。
いわゆる飯テロを食らったら人間は目を反らすものかと思いきや事態は真逆、いつになく集中して一語一語に目を凝らし、旨そうな食べ物の記述を読み込んだ。想像力の火花は虚ろな胃腸でこそ燃え盛るのだ。ラーメンは言うに及ばず、おどろおどろしいバター茶そのほかのゲテモノさえ食欲を喚起してやまなかった。苦悶を覚えながらも、乾燥と空腹と羨望とが相俟って血走った目で新書を読み込む私の姿の奇怪さよ。
これからは必ず、腹が減るのに備えて食のエッセイを持ち歩こうと心に決めた。こういうときに読むものだ。
コーヒーが飲めないことについてヤマザキはそこまで多くの紙幅を割かなかったのが印象に残った。
そのかわりに世界各地の紅茶をあれこれ紹介しており、コーヒーに縁がない悲哀に囚われてじめじめしたような記述になっていなかった。食を本当に渇望するって、否定だけじゃあ終わらないんだ。まず食べること。 -
ヤマザキマリさんはイタリア在住で活躍されていることは知っていたが著作を読んだのは初めてだったが、素敵なだけではないイタリアのあれこれを垣間見られるのが新鮮だった。
型にハマらずバイタリティに溢れていて感じたことがストレートに表現されている署者の表現は読んでいて気持ちが良かった。
世界は広く、細かいことを気にしすぎるよりもいろんなことに挑戦してみたほうが楽しい人生送れそう、と思わされる一冊。 -
イタリアにとどまらず、世界中で食べた物について、高級なものからスナック菓子まで実体験に基づく話はどれも面白かったです。
ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、と、ヨーロッパの国々の違いについてもなるほど、と思うところが多かったです。
長くはない、私の海外生活体験からすると、日本食が恋しくなることはなくても、おにぎり1 つとか、かけうどん一杯などといった、「軽く食べる」ことが難しかったなあと思い出します。
そしてやはり「浴槽」。
あとがきの、「食事と風呂は人生における二大至福要素だ。」に、強く共感しました。
バター茶も臓物の煮込みもパスだけど、滋養強壮効果が高いという馬肉には、ちょっとチャレンジしてみようかな、という気持ちになりました。
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本編より後書きに出てくる、兼高かおるさんのエピソードがインパクト大。
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(2020/10/11読了)
ヤマザキマリさんの、食エッセイ集。
これまたサスガである。食に関しても、その体験の濃さがある。世界各地の食文化に対する考察も去りながら、おにぎり愛、たまご愛、餃子愛は筋金入りである。
話は当然、比較文化論じみて来るのだが、日本人が持つ受容性、偏食とグルメなどへ転がって行くのが面白い。
なお、「パスタぎらい」とタイトルに謳っているが、本文中にある通り、コロナ禍でイタリアのパスタが食べられない現状、いやが上にもパスタ渇望が湧き上がる。その気持ちは痛いほどワカル。 -
堅い学者やプロの料理人などのイタリア食文化の比較と異なり、庶民目線の食文化比較が本当に新鮮で、クスッとさせるエッセイ。
念願のイタリア旅行に行って感じた食の違和感を見事に解消してくれた。
やっぱ、あの名作漫画 テルマエロマエを生み出せるはずだわ、この作者の思考の鋭さを確認できる。