ベストセラー伝説 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106108198

作品紹介・あらすじ

「科学」と「学習」はなぜ校内で売られていた? 60年代から70年代にかけて青少年を熱中させた雑誌や書籍は、前代未聞の企画力や販売アイディアが溢れていた。裏舞台を取材した秘話満載のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • ある世代の人にとっては「ノストラダムスの
    大予言」と聞けば、「ああ、あの本ね。結局
    1999年に世界は滅びなかったなあ」と言う
    感想が最初に出るかもしれないですね。

    あの本はシリーズでは何と600万部も売れた
    とか。
    今では考えられない数字です。

    他にもこの本では、平凡パンチや週間プレイ
    ボーイなども100万部の発行部数を誇って
    いたことに触れています。

    1960年から70年代にかけて、雑誌や書籍は
    熱かったのです。

    その熱源に迫る一冊です。

  • 少しだけ前の世代の内容であったが、少しずつズレながら記憶に残っている。リアルタイムだったのは、『試験に出る英単語』。途中までいって、また最初からやり直して、その繰り返しをしたおかげで、40年経った今でも、先頭の単語がintellectだった記憶が残る。

  • 「ジャストミート!!!」往時の全日本プロレス中継の福澤朗アナの絶叫のように、すべてが自分のツボにヒットする連続攻撃。サイボーグ009のサンデーコミックスからの少年画報で、そこに「科学」と「学習」のツープラトン、そしてポプラ社の「怪人二十面相」の濃厚な表紙がボディにじわじわ効いて、その次は週刊プレイボーイの栗田ひろみ、平凡パンチの麻田奈美の連続下腹部攻撃、次は「豆単」と「でる単」で一転、脳直撃、そしてフィニッシュホールドはノストラダムス!スリーカウントで参りました。だけど、もっとひとつひとつの技に重みがあってもいいとも思いました。雑誌の読み物をまとめた新書だから、それは求め過ぎかも。確かに軽やかな文章の中にもベストセラーについての金言が満載でした。「ベストセラーを作るのは、目に見えちゃダメなんだよ。目に見えないけど、無いと困る本こそベストセラーになる。だから空気なんだ。空気は目に見えないけど吸わないと死んじゃう。それがほんとのベストセラー。」(「試験にでる英単語」著者・森一郎)「タイトルが一番大事。(タイトル会議は)しつこくやれ、著者だけでなく社内的にも」(伊賀弘三良・祥伝社社長)「雑誌は格調が必要。床の間が必要、そいうのがあればあとは何をやっても様になるんだな」(島地勝彦・週刊プレイボーイ元編集長)そう、この本はベストセラーを作った裏方の編集者に光をあて、存在を次代に繋げようという志をもった本なのです。おわりに、に『物書き稼業をしてきた私の第一番のテーマがある。芥川龍之介、太宰治といった文豪の白黒写真につくキャプションに、「1人おいて」という記述が目に付く。1人おかれてしまった人物の人生を追うのが、私が自分に課したテーマであった。そして「1人おいて」いかれてしまった人物の多くが、編集者である。今回、黒子であるべき編集者でも、1人おかれてしまった人物を特定して記録することに努めた。ベストセラー書に人間の顔をつけたかったのだ。』という決意表明が記されています。ライターとしてのスタンスに感動。そういえば、この作者の名前、見たとことありのを思い出しました。立ち読みで買うかどうかすごい迷った「全裸監督 村西とおる伝」の作者でした。村西とおるが「1人おかれた」人かどうかはわかないけど、彼に着目し、今回のドラマのきっかけをつくったのは作者の「黒子を記録する」スピリットの表れかもしれませんね。

  •  自分よりは一世代もニ世代も前のベストセラーの裏話をまとめたもの。
     馴染みがほとんどないといったものについての評価は、自分からは出来ないものであるが、当時のとしては伝説的な編集者やら、出版業界がまだまだ活気に沸いていたことがよくよくわかる。
     ベストセラーとのことで漫画、学習本、雑誌、英単語集、最後はノストラダムスの大予言など幅広く当時の著者にも当たって話を伺っているのは、ノンフィクション作家だからか。

  • いわゆる、通常の書籍のベストセラーに焦点を当てた本だと思っていたのですが、少年漫画雑誌や週刊誌なども取り上げられており、ある意味、雑多なベストセラーを、よく言えば幅広くベストセラーを取り上げた本です。
    著者と編集者の好みによって、このような本ができ上がったのだと思います。

    戦後から昭和を通じて、紙媒体は、情報発信において、非常に力を持っていたことを改めて感じました。
    平成、そして21世紀になり、インターネットが発達し、動画サービスやSNSなどが出てくるわけですが、その位置を、紙媒体が占めていた時代の話として、自分は、この本の内容を受け止めました。

    ただ、時代は令和になり、インターネットがこれだけ浸透した以上、紙媒体に、以前と同じ役割を期待するのは無理だと思われるので、今後のベストセラーは、これまでのベストセラーとは異なる形になるのだろうな、とは思っています。
    それがどんな形になるのかはわかりませんが。

  • 2021.5.15
    出版社の裏側を知ることができた。
    ベストセラーは1日ではならず。
    空気のようなものにならなければならないんだね。
    あと、タイトルが全て。

    個人的には学研の学習と科学が懐かしかったわ〜

  • ●かつて少年チャンピオンは少年誌初の200万部超えを果たし、少年ジャンプよりも売れていた時代があった。
    秋田書店創業者は、岡山出身で小学館〜朝日新聞を経て昭和23年、冒険王など。瞬間湯沸かし器
    ●鬼編集長の壁村は、ドカベン以外一話読み切りにしていた。ブラックジャックも5回連載のみの予定。終わりのほうでコッソリと始まる。
    ●1966年それまで読み捨てられていた漫画の存在を、コミックスをはじめ、漫画家には莫大な印税が入るようになった。秋田書店だけど何故かサンデーコミックス。サイボーグ009から。
    ●赤胴鈴之助で有名になった少年画報。まぼろし探偵、月光仮面、エイトマン、等13歳でデビューした桑田二郎。のち拳銃所持で逮捕される。自殺願望からの行動。
    ●少年キングは、サイボーグ009、ワイルド7、銀河鉄道999。
    ●科学と学習。先生から集金袋を受取り、学校の体育館で買っていた。
    学研は終戦直後に7名で創立。取次店のない学研は、当時軍国主義に加担したとみなされ公職追放された校長先生がたくさんいて、彼らを各小学校に営業委託。学校内での直販制にして爆売れ。70年代に学校内での販売に批判が出て、学研のおばちゃんによる訪問販売に。

  • 学研の科学と学習なつかしい。付録もよく覚えてる。もやしを育てたり、豆腐をつくったりした。今さらながら親に感謝します。

  • 私よりもやや上の世代には感涙ものの裏話がたくさん。

  • 東2法経図・6F開架:023.1A/Mo83b//K

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著者プロフィール

1956年、所沢市生まれ。著述家。早稲田大学政治経済学部卒。逍遙と実践による壮大な庶民史をライフワークとしている。著書に『東京最後の異界 鶯谷』、『上野アンダーグラウンド』『迷宮の花園 渋谷円山町』『全裸監督』など多数。

「2018年 『色街旅情 紙礫EX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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