この国のたたみ方 (新潮新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106108297

作品紹介・あらすじ

都道府県は、もういらない。人口減少が不可避な時代、地域の潜在力を発揮できる「市町村+州」の単位に、行政組織を賢くたたみ直そう――。地方行政の第一人者が描き出す「日本の未来地図」。

感想・レビュー・書評

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  • これからの都道府県の役割を探るため購読。

    結論ありきで、データに基づかずに持論を展開しているので、説得力はない。

    別の本「日本の地方政府ー1788自治体の実像」にあるように、

    都道府県の存在意義は、警察と教育という地域間再分配、リスクへの対応。

  • 題名が面白いので、読んでみた。日本をたたむという発想がいい。
    人口減少、高齢化社会を迎えている日本。その中で、日本の行政はどうあるべきなのか?
    という問いかけである。
    佐々木信夫は、1948年生まれ。岩手県出身。早稲田大修士修了後、東京都庁に入庁し、東京都庁に16年間勤務した。1989年に聖学院大学教授に着任し、同年慶應義塾大学で法学博士号を取得した。1994年より中央大学教授。2000年から1年間、アメリカ合衆国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)客員研究員。都庁職員から行政学者に転身した。いわゆる行政の専門家である。
     人口が減少しているのに関わらず、日本の統治機構が、大風呂敷のままではおかしいのではないかと指摘する。「国が1府12省庁の本省と多くの地方支分局、県が47都道府県と多数の出先機関、20の政令都市と175行政区、23特別区、一般の市町村が1678となっている。(2019年9月現在)つまり、同じような仕事を三重にも四重にも折り重なっている。この仕組みを人口減少に合わせるような簡素で効率的な適正規模に再編する」
    現在、日本は支出は多く、税収入が少なく、借金で賄っているのが1300兆円となっている。これじゃ、あかんだろということだ。「廃県置州」つまり、道州制にすべきだと提案している。
    日本は、カルフォルニアと同じ面積で、97もの空港がある。その9割以上が赤字である。
    近代日本で府県制度の始まった1890年に、総人口は4000万人だった。その時人口の一番多い県が新潟県(169万人)で、次に兵庫県、3番目に東京府(148万人)だった。
    それが、東京の人口は、1928年500万人、1962年1000万人、2010年1300万万人、120年で東京は9倍の人口が増えた。そして、東京は、政治、経済、情報、教育、文化などが集中している。東京は国土面積の0.6%、人口が約1割、GDP(国内総生産)の約2割、国税収入の約4割、株式取引高の約9割、本社の約5割、情報サービス業(売上)の約5割、銀行貸出残高の4割、商業販売額の約3割。日本が人口減少社会・高齢化社会に突入しているのに、この東京一極状態をどうするのか?
     2040年には、人口は1億人になり、高齢化率が35%になる。①出生率の低下で労働力不足。②都市機能が維持できなくなる。学校の統廃合、バスや鉄道の路線廃止など。③都道府県と市町村の2層制が立ち行かなくなる。④救急車は消防署、医療行政は都道府県、医療と救急がリンケージしていない。そのためにたらい回しになる。救急車は、病院から出るべきではないのか。警察も、都道府県越えると犯罪捜査が滞る。⑤2040年時点で、人口が1万人をきる市町村は523自治体(全体の約30%)にのぼる。過疎地ほど、人口減少のスピードが早い。だから、行政をたたむ方向を考える時期に来ている。そんな中で、毎年60兆円の収入不足。トータルの借金は1300兆円。どうするねんという話。
    「右肩上がりの行政機構」のままになっている。130年前の都道府県の47は、変わらないままである。著者は、馬が交通手段だった時の都道府県のままだという。そして、東京だけが肥大している。2020年、コロナ禍によって、初めて転入超過から、転出が増えた。GDPを増やす。人口を増やす。ということは、困難になっている。公務員数は、国が58万人、市町村135万人、都道府県が139万人となっている。(2018年)。著者は、都道府県の公務員を減らせないかということなんだね。議員も減らしていいよな。
    まぁ。円安になっているので、実質的に借金はドルから見ると少なくなっている。しかし、給料は減っているので、外国人労働者が魅力ある働く国にならなくなっている。やはり、衰退国へ向かっている。
    自民党は、「2018年までに、47都道府県を廃止し、約10の道州に再編する」と謳っていた。
    ある程度、道州制は必要だと認識しているようだ。まぁ。都道府県利権が絡んでるからね。
    筆者は、第28次地方制度調査会答申(2006年)に、11州に分ける考え方をベースにしている。北海道、東北、北関東、南関東、北陸、東海、関西、中国、四国、九州、沖縄に分けるとしている。
    かく道州制の分析がなされている。沖縄は出生率が多く、東京は出生率が低い。なるほど、東京一極集中は、出生率が減ることになるのだ。著者は、東京を減反せよという。
    まぁ。日本の形を大きく変えないと日本は滅んでいくしかないかなぁ。全く違った視点で日本をみているのが、おもしろい。これは、もっと論議されるべきことなんでしょうね。都道府県は、要らんなぁ。高校野球をやるためだけに必要かな。

  • 「ぼくのかんがえたさいきょうのどうしゅうせい」を記した書。
    道州制の推進とか、本作にもあったように平成初期頃に盛り上がった記憶がありますが、今さらこれかよという感じで内容的に古臭さが否めない。
    東京の減反政策にしても、国が行っていることは地方創生のための減反ではなく、ただの予算の収奪でしかない。
    作者が都構想推進派だということはわかったから、もう引退してほしい。
    読んだ時間返して…

  • 道州制にもっていこう、都道府県レイヤーをなくそうという話。郡がなくせたのだからなくせないわけない、というのだが。なんか今一つ見えてこない。

  • 東京一極集中の解決策としての道州制は正解かもしれないけど、新型コロナウイルスがこれだけ感染拡大したいま、著者はどう考えているのだろう。

  • 東2法経図・6F開架:318.1A/Sa75k//K

  • タイトルから、衰退する一方の我が祖国が「どう滅ぶか」という内容かと思いきや、身の丈(←最近流行w)に合ったサイズに縮小して未来を勝ち取ろう! と前向きな内容だった。
    道州制の将来性など、そんなにうまくいくんかいなと思いつつも、現状がいかに非効率的で無駄が多いかについての分析は妥当。
    こんな社会をつくり、こんな無意味な仕事にダラダラと時間を浪費し、あまつさえ女性たちをその表舞台からは排除しながら、「働いてないオマエらは劣等w 働いているオレらはエライ!」とふんぞり返っていたのが日本男児なのである。著者の前向きさは結構だが、そんなクズならいっそ滅んでしまえという気もする。

    2019/11/6読了

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著者プロフィール

中央大学教授 法学博士

「2013年 『大都市行政とガバナンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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