小林秀雄全作品〈7〉作家の顔

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著者 : 小林秀雄
  • 新潮社 (2003年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106435478

小林秀雄全作品〈7〉作家の顔の感想・レビュー・書評

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  •  長谷川如是閑の「新聞紙の於ける社会的感覚の欠乏」から以下引用

    「新聞は科学とは異なる。現象の科学的把握は、全くそれ自体の価値をもち、科学者がそれを科学の資材として記録として発表することは絶望的である。之に反し、新聞紙の意図は、科学の建設ではなく、社会人の感覚の建設である。したがって新聞的知識は、科学的知識とは異って、それが社会的感覚をまた社会的情操をいかに刺戟し、社会人的交渉にいかに影響するかを顧慮し、いかに社会的秩序と安寧と更らに社会的儀礼と体裁と、そんなものにまで影響するかも顧慮せねばならぬのである。それは新聞紙法というような法律があるがためではなく、新聞紙の社会的機能の当然なのである。
     その点で新聞紙は、又文学芸術とも異る。文学芸術、殊に前者は、社会的真実を強い色彩と曲線とで再現するもので、それによって、社会的感覚と情操とを向上発展せしめるものである。従ってその表現は自由にして独自的で、社会人の平均的感覚に停頓すべき理由はなく、そこの停頓したら文学の否定である。然し、新聞が寧ろ社会人の平均的感覚の涵養に止まるべきことは、新聞に現れる科学的知識が大学紀要に現れるようなものであってはなあらぬと同じである。感覚に於て、情操に於て、知識に於て
    、新聞紙は、社会人を、専門家としてではなく、学者としてではなく、天才としてではなく、奇人としてではなく、偉人としてではなく、全く正常の平均人として取り扱うべき権利と義務をもつものである。だから、文学、芸術がもつような、自由性や超越性は、新聞紙の性格としては許されないのである。」

    文芸時評も、文学界において、新聞によく似た運命を持っている。科学的建設に走ってもいけないし、自由な創造の世界にさまよう事も許されていないのである。

  • 2009/10/4図書館で借りる
    2009/

    文学の伝統性と近代性:


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小林秀雄の作品

小林秀雄全作品〈7〉作家の顔の作品紹介

あなたは果して山の神など怖れたか-。昭和一一年三四歳、トルストイの家出をめぐり正宗白鳥との間に大論争を引起した「作家の顔」…。「初舞台」「失敗」、抱腹のエッセイも。

小林秀雄全作品〈7〉作家の顔はこんな本です

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