- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120031458
感想・レビュー・書評
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このちょっと前に星野博美のエッセイを読んでたけれど
私はこちらの堀江さんのエッセイの方がいいなあ、
好きだなぁと思った。
なにより語り口が冷静でいい。冷静な中に時折のぞく
面白みが読んでいて心地よかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
普通なら見過ごしてしまうようなものへの著者のこだわりや愛着、あたたかな目線に共感。たとえば、町中に唐突に存在する巨大な球体、ガスタンクにさえも親近感を抱くくだりにはほっと気持ちが暖かくなった。ああ、そうだったんだ、って。実はわたしは小学生のとき夏休みの写生の宿題にガスタンクを題材にしたことがあったのだ。それも2回。なんであんな表情も希薄な物体を・・と思い返すこともあったのだが、そうか、子どもながらに(子どもだからこそ?)あのまんまるで巨大なタンクに体温を感じていたのかもしれないな。
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エッセイのような評論のような小説のような、ジャンル横断的な文章はそうか、回送電車なのか。でもわかった。この人の文章の精緻や静謐さは、他人の乗り込みを拒む回送電車の如きうっすらとした厭世観に寄るところ大なのだ。堀江氏の文章に登場する語り手は、堀江氏自身であってもあるいは虚構の人物であっても、一様に積極的な人付き合いを疎み人混みや喧噪を巧みに回避するような人物が多いと思っていたけど。そしてそうであればこそ、この人の文章に、その技術や感性への憧憬とは別のところで仄かな親近感を覚えるのかも知れない。
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堀江敏幸の散文集。
わたしが持っているのは文庫になったものだけど
この本の装丁はシックで素敵です。
どこからでも、ぱらりと開いて読むと
自分の頭の思索スイッチが入って
モノを少しは考えるモードになれます。
といって、難しい思索の本じゃないんだけどね。
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エッセイ集。この人、本当にいい。たぶん、フランス好きな人はこの人の文章、絶対にハマると思う。この落ち着いた、浮っついたところのない、だからといって飾り気がないわけではない、確実に面白いという、絶妙の文章。文章には人となりが現れるとはこういうことなのだなぁ、と思う。こういう人、いいよなぁ。。。(07/8/30)