- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120036149
感想・レビュー・書評
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2015/07/03 読了
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今年 絲山さん よく読んでいるな。
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博多の精神病院から逃げ出した
21歳の躁病の花ちゃん、24歳、うつ病のなごやん
ふたりの哀しくも滑稽な逃亡劇
一歩間違えると、かなりヘビイな内容になりそうだけど
カラリとしてるところが秀逸
まず書名からしてすごい(笑) -
方言っていろいろあるなー。
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体調が崩れ始める時期に読んでしまった。
作品世界へ引き込まれつつ、現実に戻りつつ…しんどかったかな。
薬からの逃亡所か、病気から来る将来への不安。焦燥。自殺未遂。
個人個人の濃淡は有れど、非常に身に沁みるばかり。
その中での二人の逃亡は辛く苦しい中にも、レモンのような爽快感が特徴的!
夏の時期こそ是非、手に取ってみて。
急に『なごやん』を食べたくなって、スーパーで1個売りの物を購入。
名古屋弁がスタンダードなクセに、今迄一度も食べた事がなかった(苦笑) -
躁病の花ちゃんと鬱病のなごやん。
九州に生まれ、その血を誇りに思う花ちゃんと名古屋から逃げた東京かぶれのなごやん。
正反対な二人が一緒に精神病院から逃げ出した。
博多から指宿まで、花ちゃんとなごやんの夏。
冒頭の「亜麻布二十一エレは上衣一着に値する」の幻聴が怖すぎる。
この言葉が花ちゃんの頭の中で響くたびに、焦燥感みたいなものがこちらにまで伝染してくるようで…。
何から逃げてるのかも段々わからなくなってくる。
テトロピンから?
故郷から?
誰かから?
それとも自分から?
The ピーズの曲の歌詞を少し変えて
「気が触れても彼女と歩いてた」と歌われてたかど、その風景を想像すると、なんだか怖くて、悲しくて、切ない。まさしく花ちゃんとなごやんだ。
そんな二人が色々とやらかしながらも最後に指宿でゆたーっとなるのがよかった。
ちなみにゆたーっていうのは、世界をまるごと抱きしめたくなるような気持ちのことらしい。
九州の言葉(なんていっしょくたにしてはいけないだろうけど)っていいですね。 -
芥川賞受賞作「沖で待つ」の前に執筆された作品とのこと。主人公が躁鬱病で、やたらその関係の薬の説明が詳しいと思ったら、作者が会社員をやめたきっかけがその病気らしい。細かいことはいろいろ気にせず、九州を南北に縦断する無茶な逃亡劇、ロードムービーさながらのスピード感が面白い。