異端審問: 大国スペインを蝕んだ恐怖支配 (INSIDE HISTORIES)
- 中央公論新社 (2010年9月1日発売)
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感想 : 2件
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- Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120041556
作品紹介・あらすじ
宗教的大義よりも王権強化や植民地拡大といった政治目的と強く結びつき、最も過酷に、永年存続したイベリアの迫害制度。その「不寛容の歴史」を豊富な事例で語る。
感想・レビュー・書評
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五百ページを超える大著。
読み始めたら引き込まれてしまった。
スペインではキリスト教的社会の尚武的な性格が、非常に短気な国民性を形作った。
レコンキスタ以降、次々と内乱がおき、この攻撃性を外なる的に向ける以外になかった。破滅的なエネルギーを使い尽くすための標的が必要だった。
一般に人間社会では両属的な集団は暴力のはけ口になりやすい。 コンベルソ
恐怖は、全体主義的傾向を強める国家にとっては権力を強化するのに好都合な道具である。
ピレネー以北での魔女狩りは、強力な社会的衝動と矛盾を、スケープゴートを立てて解消するもの、他人を監視するのは道徳にかなう行為とみなされた。
厳密な事務所裏と権力乱用は表裏一体、権力は人を酔わせ夢中にさせるが、いずれ必ず衰える。
植民地拡大と異端審問、敵からの脅威、敵を憎むことで自己を定義する、
異端審問処と啓蒙思想との戦い、全体主義と妄執が結びついた事例は多い。
ナポレオンの侵入によって異端審問は終わりを告げた。
迫害機関が社会の中枢を占め、その座を維持するためには大衆の支持を得なければならない。
異端審問の心理ドラマの中核、愛したい衝動と破壊したい衝動の葛藤、
東ドイツの秘密警察、文革時の紅衛兵、
異端審問の心理力学、カラマーゾフの兄弟、カフカの審判、カネッティの眩暈、アウトダフェ、詳細をみるコメント0件をすべて表示
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