- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120041761
作品紹介・あらすじ
自動車事故で、片足を切断する大怪我を負った女優の叶世久美子。偶然、現場に駆けつけたデザイナーの相良郁哉は、その後、彼女の義足を作ることになる。しだいに心を通わせていく二人は、それぞれの人生の中で見失っていた「愛」を取り戻そうとするが…。平野啓一郎が描く、愛のかたち。
感想・レビュー・書評
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事故に遭い片足を失った『魔性』の女優久美子と助けたデザイナーの郁哉が義足の作成を通じて愛を育てていくストーリー。ほのぼのとした2人のシーンを挟みつつも何だかずっと薄暗い雰囲気があって結末はどうなるのか予想ができませんでした。
郁哉とお母さんとの関係が私的には気になりました。狭い世間に閉じ込められて行き場のないお母さんの苦しさ、子供の頃は分からなかっただろうなと。お母さんの骨壷を開けるシーンが印象に残りました。 -
「…人生で、何か三つだけ、自分の嫌な記憶を消してくれるって言われから、あれも入るでしょうね。」
「わたしも、たくさんありますよ。考え出すと、余計なことまで思い出してしまいそうでふけど。ーあとの二つは?」
「何でしょう?…今後の人生で起こるということのために取っておきます。」
「一日二十四時間しかない中で、人間が考えられることって、三つしかないと思うんです。ー 過去のことか、現在のことか、未来のことか。焦らず少しずつ、未来のことを考えていきましょう。」
「横軸がどれくらい人間に似ているか、縦軸が、見ている人がどれくらい共感を覚えるかでグラフにすると、基本的には類似度が高くなればなるほど右肩上がりで共感が増すんですけど、似すぎたところで、グラフがストンと落ちて、嫌悪感が強くなることを示すんです。不気味に感じる。ーで、まったく人間と同じになると、またそれが上がるんですが、そのグラフの形から、〈不気味の谷〉現象と言われているんだそうです。」
「不遇の時に抱く一番醜い感情は、嫉妬だと思うんだな、俺は。嫉妬は何て言うか、頭の中を汚す感じがする。物事を一歩も前進させないよ。」
『いつも言うことだけど、僕に出来ることがあれば、何でも言ってください。久美ちゃんの役に立てることは、いつでも僕の喜びです。』
「…わたしのこと、…好き?…」
「好きだよ。」
「どうして、…そう言えるの?」
「四六時中、何をしてても、久美ちゃんのことばかりを考えてしまうから。…そういうのって、好きとしか言いようがないよ。」
「ねえ、…」
「ん?」
「わたし、生きててよかった。」
『彼は今、久美といる時の自分が好きだった。他の誰といる時の自分よりも好きで、この自分なら愛せるかもしれないという気が初めてしていた。』
『なぜ人は、ある人のことは愛し、別のある人のことは愛さないのか? ー愛とは、相手の存在が、自らを愛させてくれることではあるまいか? 彼は今、誰よりも久美を愛していた。そして、彼女の笑顔が、自分の傍らにある時にこそ、最も快活であって欲しかった。彼女にとっての自分が、そういう存在でありたかった。』
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ラブストーリーの王道を平野氏が書いたらこうなりました的な作品。ラストも完璧なハッピーエンド。ご都合主義的なストーリーだが僕はこういうディズニーみたいなの好きです。マチネよりこっちを映画化すればよかったのに。
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2017/10/30
恋愛小説なんだけど、ただ相手のことが好きっていう高校生の恋愛じゃなく、人を愛するとは?という人間の普遍性を追っていると思う。
その人といる時の自分が好きって当たり前かもしれないけど、意識せずにいてとても大事なことだと思う。 -
事故で片足を無くした女優と彼女の義足を依頼されたデザイナーの恋愛物語。著者の『私とは何か』や『空白を満たしなさい』を読んで分人主義(他者との関わりの数だけ自分存在するという考え方)についての理解があったので話が分かりやすかった。人間には影の部分と光の部分が存在する。それを理解し受け入れてくれる他者こそ、自分を愛させてくれるのだと思う。郁哉も久美もそれぞれの存在を介して、未来へ前を向いて歩いていくラストが良かった。平野さんの作品は奥深く、読んだあともいろいろ考えさせられる。近著しか読んだことないけど、はまりそう。
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人物の感情描写がうまく感情移入しやすかった。
人間らしい義足、ファッションとしての義足、健常者が羨む義足や義手などが世の中に溢れたらいいのに。 -
相良郁哉(プロダクトデザイナー)
叶世久美子(女優タレント)(中村久美)
原田紫づ香(臨海ひかりの病院経営)
淡谷大三治(装具士)
庄司(リハビリ科の医師)
緒方くん(郁哉の社員)
曾我社長(叶世久美子の所属事務所社長)
三笠竜司(久美子の元カレ)
相良(郁哉の父)
相良幸恵(父の後妻)
滝川理沙(郁哉の幼馴染)
相良志帆子(郁哉の実母) -
久しぶりの平野啓一郎氏の作品。王道のラブストーリー。マチネよりも読みやすい。彼が書くものは私の中で少し硬い印象があるのだが「こういう作品も書くんだ‼︎ 」と少し意外だけど良かった。また他の毛色が違う作品も読んでみたい。
寝る前にスマホを充電しちゃうので、ベッドに入ってからは出来るだけ文庫本を読むようにしています。
何度ハー...
寝る前にスマホを充電しちゃうので、ベッドに入ってからは出来るだけ文庫本を読むようにしています。
何度ハードカバーが顔の上に落ちてきたか(>_<)
確かにヒボさんのブクログ本棚に突然、謎のキャラが現れました^^;
これからも期待します(*`艸´)ニシシ
確かにヒボさんのブクログ本棚に突然、謎のキャラが現れました^^;
これからも期待します(*`艸´)ニシシ