- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120042126
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
世界的ブランド「イヴ・サンローラン」の創設者にして「モードの帝王」と称されたイヴ・サンローランの、公私のパートナーだったピエール・ベルジェが、サンローランの死後4日目から1年2ヶ月までの間にサンローランあての手紙として綴った文章が掲載されています。
ベルジェは31歳のとき、有り余る才能はあっても創造以外は何一つできない繊細で脆弱すぎる25歳のサンローランの為に、作家になるという夢を捨ててサンローラン社を設立、ファッションビジネスの世界へ飛び込んで以来、50年もの間、サンローランの創造以外のすべて(顧客集めからプレスへの宣伝、経営、資金集め、サンローランの生活の管理など)を請け負い続けた人でした。後にベルジェは、無からサンローラン社を築き上げた企業家として評価を得、政治家にまでなります。
抑揚を極限まで抑えこんだ理知的にして力強い文体によって、最愛の人を喪失した悲しみと溢れる感謝と愛おしさ、そして、消せない棘やにじみ出る憎しみの感情までもが余すことなくくっきりと鮮明に綴られていることが、ファッションブランド界にもサンローランにも特別な思い入れや造詣があるわけではない私の心には残りました。
ファッションとか、サンローランとか、ベルジェ、などという属性は全て無視し、栄光の頂点を知りながらも常に絶対的な孤独と重圧に囚われてドラックとアルコールに溺れ続けるしかなかった真正の天才に、50年もの間寄り添い、ぎりぎりの淵で守り続けたある老人の回想録として読むと楽しめるのではないかと思います。
もしくは、サンローランという、人生の象徴を失った彼自身の、いつかそう遠くない日に、その人の横へ眠るまでの、束の間の慰めのための散文詩だったようにも思えます。。
表紙の、中年の頃の二人が並ぶ写真の色彩としては不釣合いとも思えた一面を染めるショッキングピンクと白の2色のみの鮮やかなコントラストが、読み終わってみると、ベルジェにとって想い出とは、決して薄れていくモノではなく、いつまでも鮮明で確固たる存在であることを主張しているように思えました。
ベルジェ氏訃報のニュースを目にして、思わず本棚から引っ張り出して再読した一冊。初めて読んだ日から6年ほど経過していることに気付いて、時の流れを感じました。 -
生涯のパートナーベルジェ氏が、故サンローランへの思いを綴った手紙。様々な思いが交錯していて、生涯を共にする事の重みを感じました。
-
ディオール亡き後、若くしてメゾンを引き継いだイヴ・サンローラン。フランスのファッション界の重鎮として長い間君臨していた彼の知られざる人生を公私ともにパートナーだったピエール・ベルジェが語る。
映画を観る前に読了。こういう本に弱いんだ、涙なしには読めない。観た後にも読むかも。日本語の訳がイマイチこなれて無くて、読みにくいのが残念。 -
(ピエール・ベルジェ著/川島ルミ子訳/中央公論新社/1700円+税)装丁は木村裕二さん。
http://www.chuko.co.jp/tanko/2011/03/004212.html
ピンク一色で写真が刷られたカバーが何とも鮮烈。そしてこの本は絶対帯ありが美しい。帯はカバーの写真が同じように刷られているのだが、赤と黄色と、色を違えていることで、奇抜でスタイリッシュさが増しているように思う。(帯付写真がこちらにあるが、 http://fashionjp.net/highfashiononline/feature/interview/yvessaintlairent02.html 実物の濃度の高い印刷とは全然別もの。ぜひ現物を書店でご覧下さい) -
2011/12/9 関連図書