世界恐慌の足音が聞こえる

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120042874

作品紹介・あらすじ

世界同時株安、国家債務危機、止まらぬ円高は、世界経済システムの崩壊の始まりなのか。「ミスター円」がすべてを語る。

感想・レビュー・書評

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  •  本書は、元大蔵省財務官として著名な人物の著作であるが、その内容は「世界恐慌の足音が聞こえる」という表題ほどセンセーショナルな内容ではないと思った。
     昨年2011年9月の発行であるが、世界経済の現状をわかりやすく切り取っていると思えた。「立ち直れないアメリカ経済」「解体局面にはいったヨーロッパ」「調整フェーズに入った新興国市場国」の分析は、悲観的シナリオだがわかりやすく読みやすい。しかし、その後現在までの世界経済の現実を見てみると、アメリカ経済は、不安材料は抱えているもののとりあえず上向いているし、ヨーロッパでのソブリンリスクは相変わらず危機的ではあるが、とりあえず経済的傷口に「絆創膏」は貼れているのではないかと思える。中国・インド等の新興国市場は成長率目標をやや下げつつも内需振興主導の成長政策への切り替えを模索し、小康状態を維持しているかのようにも思える。
     本書の見解は、そういう意味では現実にあまり適合していないように思えるのだが、本書の価値は現在の世界経済の現状をわかりやすく理解できる点にあると思え、高く評価したいと思った。
     本書で「水野和夫氏」の著作がしばしば引用されているが氏の「人々はグローバル経済の本質をなぜ見誤るのか」を読むと、世界経済が500年単位のタイムスパンで転換していく様相を詳細に分析している。本書は、水野和夫氏と同じく、現在のパックスアメリカーナというアメリカ主導の世界経済の時代が終わりつつあり、次の時代がはじまると主張しているようだ。
     これは、はたして順当な見解なのだろうか。もしそれが正しければ、経済の低迷に対する通常の対策などはあまり意味がないことになるとも思えるのだが。いろいろと考えさせてくれる、興味深い本と思った。

  • 歴史とデーターばかりで、著者の問題提起およびその解決方法が書いてないので、本で読まなくてもよい内容。

  • わりと同じことの繰り返しで、つまらない。
    客観的事実を誇張しすぎており、細かいデータや引用が多すぎ。
    原稿用紙の枚数だけ稼ぐ、大学生の卒論みたいだった。
    「はしがき」だけ読めば、じゅうぶん。

  • 世界経済の現状を包括的・横断的に歴史を辿りながら分析する。筆者は、現在は、レパント海戦あるいはウェストファリア条約に始まる国民国家の時代の終了であり、同時に近代資本主義の終焉でもあると説く。中国・インドを中心としたグローバリゼーションは全世界を巻き込むものであり、経済の中心は今や明らかに中国・インドに移行している。第一次世界大戦後にイギリス(ヨーロッパ)からアメリカに経済の中心が移行した際の混乱によって大恐慌は引き起こされたが、今回の100年に1度の未曾有の構造転換もまたその可能性を秘めていると指摘する。その上で日本は思考のチャネルを成長から成熟に切り替え、成熟社会として誇るべき日本を大切にしていくべきだと締めくくる。本文は衝撃的なタイトルのイメージから離れた冷静な論調でまとめられていましたが、成熟社会として日本が存続していくための方法論に関しては曖昧なままのような気がしました。

  • いつも思う。榊原さんは近代資本主義が終わった前提で
    テレビ番組でコメントしてんだよねー。

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著者プロフィール

1941年生まれ。東京大学経済学部卒業。65年に大蔵省入省。財政金融研究所所長、国際金融局長を経て97年に財務官に就任。99年退官。2010年より青山学院大学特別招聘教授。著書に『「今日よりいい明日はない」という生き方』『書き換えられた明治維新の真実』など。

「2018年 『AIと日本企業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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