ブラッド・スクーパ - The Blood Scooper

著者 :
  • 中央公論新社
3.97
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本棚登録 : 936
感想 : 132
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120043673

作品紹介・あらすじ

立ち寄った村の庄屋で用心棒を乞われるゼン。気乗りせず、一度は断る彼だったが……。若き侍はなにゆえに剣を抜くのか。「正義」のためか、「強さ」の希求か、それとも?

「スカイ・クロラ」シリーズの中央公論新社から出版された「ヴォイド・シェイパ」シリーズ第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • ゼンがある秘宝を所持している庄屋の用心棒にしかたなくなるという話。今回のヒロインである庄屋の娘であるハヤとの会話が高尚で楽しい。
    この巻では、庄屋を襲ってきた大勢の敵と斬り合いになる。初めての大勢との斬り合いを経験し、ゼンの戦い方は今後どう変わっていくか。

    「ヴォイド・シェイパ」のシリーズ2作目。この巻も面白い。ゼンを取り巻く人々との交流、そして一癖も二癖もあるライバルの侍達との対決。

    チャンバラ・エンターテイメントとしても純粋に楽しめるし、人とはなんぞや、侍とはなんぞやといった哲学的な想いも十分に考えることができる。ストーリーの奥行きが深い。そして文章が美しい。

    そう言えば『ヴォイド・シェイパ』シリーズって映像化されてないけど、気合い入れて実写化とかアニメ化したらかなり売れるんじゃないかな。
    この主人公のゼンのキャラクターで女性のハートは鷲づかみでしょ。若くて、純粋で、剣の達人で、そしてイケメン(あ、イケメンって描写は今までないな。まあ、イケメンでしょ、そこはね)。
    まあ、いろいろと楽しみがあるシリーズですね!

  • 2013.03.01

    時間をかけて読んだ。
    素晴らしいなぁ。本当に綺麗だ。
    『スカイ・クロラ』の地上版と言ったら語弊があるだろうか。

    ゼンを見ていると(見てはいないが)某警察小説の主人公を思い出す。
    建て前と本音がない、というか。
    しかし、嘘を吐かないわけじゃないし、場の雰囲気を読んだりする。

    途中の言葉の数々の綺麗なこと。
    何度も読み返し進まない。
    わざと進まないのだが。
    p290~p291の流れがとても美しい。

    なんだか、羨ましい。

  • 今回の引用書は『茶の本』ということで、禅的思想のごとく武士道を通して森博嗣が語ろうとしているものがある。
    森博嗣の瞑想的問いかけがなされており、思想的傾向は濃厚。『スカイ・クロラ』以降は芸術性に焦点を当てるようになった。むしろ、森博嗣が本格的に書きたいものはどちらかといえばこちらではなかったのだろうか。エンターテインメントの才覚には確かに恵まれているが、それは芸術性による支えあればこそ。
    独自のセンスは森博嗣の愛聴しているプログレッシヴ・ロックを思わせるところがある。

    後期に突入した森博嗣作品、その真価を発揮しつつある。

  • 前作に続きゼンさんのモテ男ぶりが錯乱ww
    やっぱり侍って潔い真摯そしてひたむきだなーと。私たちにもこうなれるはず。常に己の死と生と向かい合いそれを受け止める器ももちあわせている。今回は、ちょっとだけ、森博嗣らしい推理も組あわさっていて、進む時間もゆっくりに感じた。それだけゼンさんが色々なものと向き合って進んでいるからなのだろうか。
    どっちにしろ、こういった森博嗣の世界観はすごく好きです。考えるということと、変化をし続けるということの先に待っていることを私も見極めたい。


  • 静謐という言葉が似合う小説。同作者の別シリーズ作品「スカイ・クロラ」を彷彿とさせるが、人に対する距離感が絶対的に違う。明確な感禅の想を書くのはとても難しく、本作のテーマである禅に則るのであれば答えは自分の中にあるのだろう。

  • 街に降りたゼンが、人と関わって新たな価値観を獲得してゆく。

    思索に富んだ文章も良いし、エンタテイメントとしても見せ場がある。

    ヒット作をなぞったような演出過剰で薄っぺらな小説に飽き飽きしている人には、どっしりくる。

  • やっぱり深いなぁ。
    でもエピソードが一つな分物足りない感じ。
    前作の方が濃くてよかったかも。
    戦いのシーンは一編の詩のよう。

  • シンプルな言葉ばかりなのに、どうしてこんなに綺麗なのだろう、と思わず何度もため息が。竹を見ると、竹の石のことを思い出すことになりそうです。きっと、世の中の色々なものが竹の石なのでしょう。意味って何だろう、価値って何だろう。考え始めると頭がいっぱいになってしまうけれど、面白いなぁ、人って面白いなぁ、と改めて感じたのでありました。

  • 大きな山場も目標点もない話なのに、読後これだけの満足感が得られるなんて。

  • 再読。2021.11

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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