山の上のランチタイム (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.34
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本棚登録 : 897
感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120052477

作品紹介・あらすじ

都会で修行したイケメンオーナー・登磨に片思いする美玖は、アピールポイントが元柔道部の足腰の強さだけというおっちょこちょい(失敗ばかりで解雇の危機も)。

さらに、勤務先である登山口にあるレストランに集う少々変わったお客たちにも翻弄されて――。

各小説賞&児童文学賞受賞多数の実力派が送る、旨味たっぷりの味わい深い感動小説をご堪能ください。

感想・レビュー・書評

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  • ふわとろオムライスの表紙絵に抱かれて手に取りましたら高森美由紀さんの作品でした。彼女の作品は3冊目なんですがユーモアセンスあふれる文体に地元青森を舞台に郷土愛溢れる作品を作ってるところがお気に入りの作家さんです。しかも今作は山も舞台なので期待度跳ね上がっています。
    標高500mほどの葵岳の麓にあるレストランで働く美玖が主人公。店長の登磨に想いを寄せていて妄想劇場が暴走するドジっ子ぶりがすさまじく中学時代にはハブられていたのに自覚がなく、人気者で特別扱いされてたと勘違いぶりもイグノーベル級。イケメン店長の放つダジャレも寒いのですが料理の腕は絶品で、店長の甥の瑛太が手伝いにきますが、美玖のことを気にかけていて店長へのツッコミが冴えてます。
    美玖は、2人ともイケメンで国宝クラスとかユネスコに登録されても不思議じゃないと褒めちぎっているのですが妄想色眼鏡バイアスが絶賛かかってるんじゃないかとみてましたケド微笑ましいし、美玖は常連さんに言わせれば活きのいい小熊みたいだとかww どんなビジュアルしてるんだか気になってしまいますが元柔道部で足腰は丈夫だとか。そのわりによく滑落するんですよね。登り慣れた山でも油断は禁物です。
    葵岳は郷土の人達に愛されてる里山で山頂付近は鎖場もあるようですが毎年恒例の7歳児が登る行事もあるようだし難易度低めだと思いますが、一般道の他に修験道ともう一つ封鎖された崖沿のルートがあるとゆう。

    胸元の黄色い鳥のキセキレイもよく登場するのですが何気に象徴的な意味合いがあったりみたいでした。
    美玖にも母を亡くした辛い過去があったりなんです。
    4話目で、病院を抜け出してきたお婆さんの望みで撤退せずに、おぶって山頂に登るシーンがあるんですがこれには納得いかなかったんです。山の怖さを知ってるならお婆さんの無理を聞かずに引き返すべきではなかったのかって、しかも雪山で・・・余命僅かと知りながら無理したお婆さん、無理して登って死んじゃう人もいるのに、そこに死よりも大切な何かがあったのか、最後に見ておきたい景色があったのか?

    あと、お料理作っているときの記述が絶品で地産地消で作っちゃうし、デザートなんかも洒落た名前のものばかりで美味しそうなんですよね。ただの塩おにぎりにだってオリーブオイル使うとか試してみたくなりました。

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      しじみさ〜ん、こんばんは(*^^*)

      山が舞台、登山シーンある作品の読書できて、良かったですね☆

      あれからすぐに、腰の方は治りましたか〜...
      しじみさ〜ん、こんばんは(*^^*)

      山が舞台、登山シーンある作品の読書できて、良かったですね☆

      あれからすぐに、腰の方は治りましたか〜?心配してましたよ♡♡
      2023/10/12
    • つくねさん
      かなさん、ありがとうございます♪

      腰の方はまだ痛みがあって今日で6日目なんですが
      立ち上がる時が大変で苦労してます (/ _ ; )...
      かなさん、ありがとうございます♪

      腰の方はまだ痛みがあって今日で6日目なんですが
      立ち上がる時が大変で苦労してます (/ _ ; )
      なるべく動かないようにしてるので読書は進んでいたりです。
      2週間ぐらいで自然治癒するようなので
      当分、山には行けなさそうですが
      山の出てくる作品で良かったですよっw

      2023/10/12
  • 「世の中には楽しいことと嬉しいことしかないみたいな甘々なメッキで、ずーっとあんた、隠してたでしょ」
    私がずっと自分に対して思ってたこと突っ込まれてビックリした。
    そう、外の世界に対して笑顔のメッキで固めてるのは私。
    物心ついた頃には既にアダルトチルドレンの道化として生きてきたから、これを剥がすのは容易じゃないんだわ。
    だって、メッキの中身見たら皆私に幻滅するでしょ?
    それでも片手で余る位にはメッキの中身を見せられる人もできてきたのよ。
    でもこの子みたいに思春期に笑顔のメッキを覚えたら周りにバレるんだろうなぁ。
    バレるのはそれはそれで悪くないと思う。
    気付いてくれる人がいるのも悪くないと思う。
    だって隠し続けるのは辛いもの。
    私が私のジョミに全部向き合うにはまだまだ時間も労力もかかるけど、生きてる間に全部噛み砕いて飲み干せているといいな。

    と大脱線したけど、この本表紙が美味しそうなのよ。中に出てくるのも美味しそうなのよ。
    見返しがテーブルクロスみたいで素敵なの。
    内容もとても優しいの。
    イケメン店長を実写化するなら誰が良いだろうと本気で悩んだのも確か。
    基本的にはとても楽しめる本。

  • 表紙に描かれている美味しそうなオムライスみたいにほんわかなストーリーなのかと思ってましたが、読みすすめてる中で思わず叫びたくなりそうなエピソードが何個かあり、お腹いっぱいになりました。今の私にとって心の栄養にもなり、ぜひドラマ化してほしいなと思いました。

  • 色んな訳アリのお客さんが訪れる。
    でも一番訳アリは主人公の美玖ちゃんだ。
    自分でも知らずに分厚いメッキをまとって生きてきたけれどそれを剥がし前へと進んでいく。頑張れ!と応援したくなる。
    それにしてもおにぎり食べたいな。

  • 食べることは生命を繋ぐこと。そんな事を感じさせられる。
    空腹を満たす以外の事をきちんとやっていると言われる美玖、さすが。私は心の専門家として働いているけど、心理の現場に限らずどこでも人の心を助ける仕事ってできるよなぁ。
    母親の死を無理して乗り越えるのではなく温かいお料理と温かい優しさに癒されながら進んで行ってほしいと美玖には感じた。
    どれもメニューは美味しそう。新鮮な山の幸を堪能してみたい。

  • 山の麓のレストランで働く、主人公”美玖”が、山を通して自分と向き合い、成長していく過程が描かれた小説。自然の美しさと怖さが丁寧に書かれていました。
    死がテーマのひとつになっていますが、イケメンの店長に恋する美玖が可愛く、明るいシーンが多いので救われます。料理も美味しそうだし。アナグマや猪を料理する部分など、細かい描写から、死が特別な事ではなく身近な存在だと伝わってきます。山で足を滑らせたり、怪我をするシーンが多くてハラハラしながら読みました。
    美玖はおっちょこちょいだけど、本当に強くて素敵。ラストのトリュフチョコの章は、新しい一歩を踏み出したくなるストーリーでした。

  • ぎゃー!!!あんまり頭に内容が入ってこなかったかも。。。
    とりあえず、主人公の女の子、美玖はちょっとイタい系だけど、頑張り屋さんだということはわかった!!!
    に、しても、全然頭に入ってこなかったなぁ。泣

  • 図書館でオムライスの表紙に目を奪われた。画のタッチが原田ひ香さんの本とよく似ていると思ったら、装画、装丁が同じ人だった。
    青森の葵岳の麓のレストラン。おっちょこちょいの美玖と見目麗しい店長、その甥っ子の瑛太が働く。美玖の過去に何かありそうなことを含ませながら、地元の人、葵岳を上る人たちとの交流を描いた作品。どれもおいしそうだったけど、おにぎりを食べてみたい。

  • 山の麓のレストランで働く主人公、持ち前の明るさと強さでいろいろな苦難に立ち向かっていく、という単純な話ではなく、主人公自身にも重い過去がある。そんな過去と戦いながらも自分も周りの人々と共に成長していく話でした。自然、山の厳しさを改めて思い知りました。

  • 食べ物小説でもあり再生物語でもあるコチラ。
    お母さんを山で亡くした美玖は、お母さんが大好きだった葵岳の麓のレストランで働く。
    かなりおっちょこちょいではあるけど、いつも一生懸命で思いやりがあって行動力もある。お母さんの願いを大切に想う美玖ちゃん。
    いつも明るく屈託なく振る舞っているけど、時々ちょっと苦しくなりました。
    「そんなに頑張らなくていいんだよ」
    って言いたくなる。

    都会から葵岳の麓に移りレストランをオープンした登磨。レストランの手伝いに来ているオーナーの甥で不登校の瑛太。三人みんながそれぞれ背負ってるものと向き合い、新しい一歩を踏み出す。
    何度も涙腺を刺激されました…。
    そして、瑞々しい食材を使った料理の数々に食欲をそそられました♪

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著者プロフィール

青森県出身。地元で勤務しながら創作活動を続ける。2014年『ジャパン・ディグニティ』で第1回暮らしの小説大賞受賞。2023年「バカ塗りの娘」として映画化。主な作品に『おひさまジャム果風堂』『お手がみください』『みさと町立図書館分館』『みとりし』『ペットシッターちいさなあしあと』『羊毛フェルトの比重』(すべて産業編集センター)、『藍色ちくちく 魔女の菱刺し工房』(中央公論新社)など。

「2023年 『[新版]ジャパン・ディグニティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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