52ヘルツのクジラたち (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
4.22
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  • (52)
本棚登録 : 31506
感想 : 2935
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120052989

感想・レビュー・書評

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  • 52ヘルツの孤独な歌を歌う世界で1頭のクジラがいるとかこの呼びかけに応えられるクジラはみつかっていないとか、大海原でたった1頭、呼び掛けても返事をもらえず孤独な歌を唄っている。
    ALSの義父の介護を強制されて身も心も崩壊寸前のキナコを救った、あんさん。
    実の母親から虐待をうけてムシと呼ばれていた少年。
    52ヘルツで歌うクジラは音痴なんだと思う。そんな声が聴こえるのは同じような境遇を乗り越えてきた者なんだなあと思ったり。あんさんなんで死ぬ必要があったんかなって心残りなんですが、推しはキナコの友達の美晴でしたっw
    キナコのルームメイトだった美音子もいい感じだったしなあ。美音子のスピンオフとか読んでみたいww

    昨夜、巨大ザメと戦う映画観てたんですけどサメを誘き寄せるのにクジラの歌みたいの流してました。
    52ヘルツが聴こえるのは守ってあげたいって思う人の他に搾取して食い物にしたいって思うタイプにも聞こえてるんじゃないかって恐怖を感じちゃいました。
    また、愛情から束縛、憎しみへと変化する過程も恐ろしさを感じました。美晴や美音子ってそうゆう面でもズルズル沼に落ちずにキナコに手を伸ばすことのできる立ち位置で自分を見失うことなく支えていたんだなって思えたりです。

    とりあえずは、キナコに52、それぞれ目標もって生活始めれて良かったかなっw
    久々に町田そのこさんの作品読んだけどやっぱ心にズズズんと迫るものがあって充実した読了感も味わえて夏バテも解消できました。

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      しじみさーーーーーん、こんにちは♪
      えっ!!この時間の草取りは、やめてください〜( ;꒪⌓꒪;)ダメ!(笑)
      息子とは、、ウーン‥話せたよ...
      しじみさーーーーーん、こんにちは♪
      えっ!!この時間の草取りは、やめてください〜( ;꒪⌓꒪;)ダメ!(笑)
      息子とは、、ウーン‥話せたような話せないような…無口なんであまり話せてないかなぁ…(笑)
      地元の友達と遊びに行ったりしちゃってね‥。そんなもんです(笑)
      うちも次は、お正月かなぁ…今度来るのは。
      しじみさんのところも、やっぱり離れて暮らしてるんですね…。
      同じですね〜(*^^*)♡♡
      2023/08/19
    • ケンシロウさん
      しじみさん、こんにちは。
      こちらへのいいねありがとうございます!
      しじみさんのプロフィールを拝見すると2022年12月からブクログを始めてる...
      しじみさん、こんにちは。
      こちらへのいいねありがとうございます!
      しじみさんのプロフィールを拝見すると2022年12月からブクログを始めてるようで、僕と同じだなと親近感がわいてフォローさせていただきました。
      よろしくお願いします(^^)
      2023/11/03
    • つくねさん
      ケンシロウさん、ご丁寧にありがとうございます。
      私も去年の12月から読書始めました。
      忘備録のつもりでレビュー書いてたんですが
      皆さん...
      ケンシロウさん、ご丁寧にありがとうございます。
      私も去年の12月から読書始めました。
      忘備録のつもりでレビュー書いてたんですが
      皆さんのレビュー見てるとまた読みたい本が増えてしまって
      読書沼にハマってしまいました。
      こちらこそよろしくお願いします(*'▽'*)
      2023/11/03
  • 『52ヘルツのクジラたち』
    町田そのこさんの本は3作目。ネーミングだけで読みたくなった。

    しかし、ふたをあけたらあまりの負の設定にどよんとなった。ネグレクト、暴力、大切な人の死。
    アンさんの無私なる愛情に感動をおぼえる。相手のために祈り、大切な人を守ろうとして行動する。
    アンさんの存在が、「わたし」を幸せな道に導いてくれるんじゃないかと甘い期待をしたが、衝撃的な方向に進んでしまった。
    救いは、自分のことのように心配して飛んでくる美晴だ。親友の存在が「わたし」を強くする。

    琴美の母親の昌子が、ピシャリと「考えが甘い」と切り捨てるところがいい。共倒れにならない賢明な道を探ったところはいいと思う。

    アンさんに申し訳ないという気持ちと、美晴ありがとうという気持ちしかない。

  • 凪良ゆうさんの流浪の月の後に読んだ
    誰かの感想にあったように似てる部分がある
    こちらは「魂の番」
    誰にも出会えない52ヘルツの声をあげるクジラ

    聴くから、受け止めるから
    どうかその「歌声を止めないで」

    そんな出会いが全ての人にあるといい

    ⭐︎皆さんの本棚でよく見かけたり評価の高い本をランダムに読んでるつもりなのですが、虐待ものが続いてしまい少ししんどい
    でもなかなか声に言葉にできない分、こういう誰でも手に取れる書籍で文字になっていることはここである声をあげ、それを聴くことに繋がるのかな、とも思う
    (図書本)

  • 町田さん4冊目。暗くて重い中にも救いがあってホッとする。
    親から虐待を受けながら、それでも親を愛して従ってしまうキナコ。泥沼の中から救い出してくれる友人達。心配をされながらも、違った深みにハマってしまうキナコ。
    壮絶な体験に会いながらも、同様の子供を救い出そうとする。親身になって寄り添う友人や周囲の人達。苦しみは誰にも聞こえないと思っても、誰かしら聞き取ってくれている。絶望的な暗闇に一筋の光明が見えるので、読み進める事が出来た。

  • 2021本屋大賞受賞作品

    タイトルからは全く内容が読めない。読んでみるまで想像を掻き立てられる。ヘルツというのは周波数のことだとは浅薄な知識ながらものなんとなくわかる。

    読むと52ヘルツクジラは、他のクジラには聞き取れない高い周波数で鳴くクジラのことだという。つまり、自分の思いをなかなか仲間に届けられない孤独なヒト。

    タイトル通り本書では、何人かの孤独な登場人物が活躍?する。なんと言ってもキナコ。20代の女性だ。母親と再婚相手の義父に虐待され続けてきた。義父が病気で倒れてからは進学も断念させられて、介護することを強制され、従ってきた。そのの義父からも理不尽極まるない暴力を受け続けた。身も心も極度に抑圧されていたが、友人たちの助けもあって、何とかそこから脱出することに成功する。その人生は私の中では想像もつかない。

     キナコは東京から大分県の海辺の町に引っ越す。そこで知り合ったのが、言葉を話せない、やせた少年だった。みすぼらしい服装をしている彼も、体にアザがあり、親から「ムシ」と呼ばれ、ひどい虐待を受けていることがわかる。似たような境遇を強いられている少年に対して親近感を覚えたキナコは、彼の声を聞こうと努める。その行為はキナコの心も少しずつ開いていくことになる。

     文章軽快で会話もなめらか、ストーリーテンポもいい。複雑な事情は丁寧に説明され読者が腑に落ちるよう紙幅が割かれている。児童虐待の内容は悲惨な物内容なのに、ページをどんどんめくれるのは、ストーリーテラーとしての実力の証だ。
    展開が進むにつれて、触れられていなかった過去が徐々に明らかになり、切ない事情が浮き彫りになっていく。
    特に主税が登場してくるあたりからページをめくる手が止まらなかった。

    またキナコを助けた人たちの姿が印象的だ。特にアンさんが記憶に残る。アンさんを描いたことで、作品の奥行きが深くなった。アンさんを紹介してくれた美晴も心強い。女性同士の友情が隠れた読みどころになっている。

     大分県を舞台にしているが田舎の良さも、狭いコミュニティやプライバシーの問題などの田舎の嫌なところも、不便な環境も、リアルに描かれている。作品の中でなんとなく東京と田舎で流れる時間の違いが感じられるのは筆力によるものだろう。テーマが深刻なだけに、この緩急のようなものが後味をよくしているように思う。

    本書には虐待親や元教師を通じた学校教師に対する痛烈な批判が込められている。表層的な人間理解、自己中的な視野の狭さ、外見だけを取り繕う偽善的態度。そんな中でも希望が見えたのは血縁のない人同士のつながりであり、お互いに一定の距離を置きながらも相手を気遣うような人間関係だ。

    現代社会の問題を真正面から扱っており私自身も非常に考えさせられた。

  • You Tubeで52ヘルツのクジラたちの声を聴きながら読了しました
    なにこれセンス良さげじゃない?って思ってもらいたい

    なんとなくではあるんだけど52ヘルツで歌うクジラのことを知ることで、ちゃんとこの物語を理解できるような気がしたんだよね
    まぁ、正解だったのかはよくわからんのだけど

    そう言われたからじゃない?って言われちゃうと仰る通りで身も蓋もないないんだけど
    やっぱり探してるような気がするいや違うな「見つけて欲しがっている」ように聞こえたんです
    You Tubeで流れてるのは人間にもちゃんと聞こえるように加工されてるっぽいけど、やっぱり重低音で伸びのある歌声は低いのに高音にも聞こえるという不思議な響きがして、どこか悲しげな嘆きの歌声でした

    クジラの歌声を聴きながら読んだから物語が際立ったのか、物語を読みながら歌声を聴いたから悲しげに聴こえたのかよくわかりませんが

    太平洋の何処かにいると言われる52ヘルツで歌うクジラにも見つけてくれる仲間がいるといいなと思いました
    そして見つかったなら決して離れないでいてほしいなと思いました

    あ!You Tubeの感想になってる!

  • 本屋大賞受賞作と聞いても、虐待を受けてきた女性が虐待を受けている子供と出会って救おうとする話と聞いても、実は特に気になっていなかったのですが、カバーの深い群青色が気になって書店で立ち読み。これは、好きかもしれない、と買って帰って一気読みでした。

    キナコが抱えてきた深い傷、52の絶望感、そして何より胸締め付けられたのは、キナコを絶望の淵から救い出したアンさんの救われなかった人生。
    重くて辛いエピソードがとにかく多いのですが、読んでいて鬱々とならずにすんだのは、キナコの親友美晴の強い明るさとと、村中の真っ当な素直さが救いになっているからだろう。

    幸せになるためには、強くならないといけないんだなと思う。
    強くなるためには、信じられる誰かの存在が、そして自分自身を信じられるようになる事が必要なんだと思う。

    キナコにも52にも幸せになってほしい。


    ところで作中では語られなかったけれど、姉がずーっと酷い虐待を受け続ける家で、その両親に溺愛されて育った弟ってどんな思いでいるんだろって事がなんだかひどく気になった。

  • 本屋大賞2021のノミネート作。
    ダ・ヴィンチのブック・オブ・ザ・イヤーでも4位。
    ー ということで購入。書店の隣の喫茶店で一気読み。文句なしの評価5。

    52ヘルツのクジラの鳴き声は1980年代からさまざまな場所で定期的に検出されてきたと言う。そのクジラはその周波数で鳴く世界で唯一の個体。他の鯨には聴こえない。仲間はおらず一匹で泳ぎ続けている「世界でもっとも孤独な鯨」の鳴き声だ。

    人生の時間を家族に搾取されてきたキコ。虐待を受けて、言葉を発することができなくなったムシと出会う。そして、奇妙な共同生活。
    キコはムシの52ヘルツの声を聴き取ることができるのか?

    生きていく上で、誰かの声無き声を、受けとめることができる感受性が必要なのだ。誰の声でもいい、ほんの一回でもいいから、気づくことができれば、それだけできっと世界は大きく変わる。

    そして、虐待をする側にも、52ヘルツの声がある。

    いろいろ考えされられました。

    凪良ゆうさんの「流浪の月」が好きな人はきっとこの小説にも嵌る。2021年の本屋大賞、最有力候補と見た。(ノミネート作品、まだ全部読んだわけではないけれど…)

  • 一気読み。泣きすぎて翌日目が腫れるほど。
    本当に素晴らしい本に出会ってしまった。
    52ヘルツのくじらに登場人物たちをなぞらえているのがとても美しい。誰にも届かなかった声を受け止めてくれる人、心の声に気づいてくれる人・・・重くてつらい内容だけど、希望の見える未来でとてもあたたかい読後感。

  • 本屋大賞とのことで気になっていた本作。
    ついに我慢できなくなり購入、読了。

    素直に書くと「良作ではあるけども傑作ではないかなぁ…?」という感じ…
    ちょっとハードルを上げ過ぎちゃったのかもしれません…m(_ _)m

    ストーリーはとても上手くまとまっていると思います。
    それぞれの不幸をしっかりと消化しながら、最終的には綺麗にハッピーエンドへ繋げる形。
    「貴瑚が刺された理由」とか「アンさんが告白できなかった意味」あたりの重要なポイントは、読み手の予想をするりと避けながら良いオチに持って行けていると思いました。

    総じて、プロットが非常に良くできているなぁと。
    受賞も納得のクオリティーでした。

    一方で、個人的にはちょっと全体的に不幸過多過ぎるというか…
    出てくる登場人物達の不幸具合が多過ぎやしないかなぁと…(笑)

    みんな揃いも揃って親に愛されてないとか、離婚してるとか、えげつない虐待されてるとか…
    ちょっと、そういった負の設定があまりに多過ぎて、何となく作者の思惑を意識してしまった部分がありました。
    感動を誘うためのフリというか…

    ただ、本屋大賞を取っているくらいなので、どちらかというと自分の方が世間からズレているんでしょうね…(笑)

    本筋とは全然関係無いんですが、ちょうど小倉に住んでいるので知ってる場所が物語に出てくるのは単純にテンション上がりましたね(笑)

    とりあえず、チャチャタウンの観覧車にでも乗りに行こうかな…(´∀`)

    <印象に残った言葉>
    ・死ぬくらい追い詰めてくるものはもう「恩」とは呼べないんだよ。それは「呪い」というんだ(P86)

    ・でも、わたしはちゃんと声を聴いてくれたひとに出会えた。アンさんが、仲間のいる世界に助け出してくれた。それだけでしあわせだと思えたあの時のことを、忘れちゃだめだ。声が届いた喜びを、忘れちゃだめだ…。(P117)

    ・ひとというのは最初こそ貰う側やけんど、いずれは与える側にならないかん。いつまでも、貰ってばかりじゃいかんのよ。親になれば、尚のこと。(P224、村中のあばあさん)

    ・あれはあんたの娘だよ。子育てをしちゃいけないってところが、よく似てる(P229、村中のあばあさん)

    <内容(「BOOK」データベースより)>
    52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。

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著者プロフィール

町田そのこ
一九八〇年生まれ。福岡県在住。
「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。二〇一七年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」シリーズ(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)などがある。本作で二〇二一年本屋大賞を受賞。
近著に『星を掬う』(中央公論新社)、『宙ごはん』 (小学館)、『あなたはここにいなくとも』(新潮社)。

「2023年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

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