- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120055027
作品紹介・あらすじ
映画の製作現場に君臨しながら、悲劇の影を背負う辣腕プロデューサー、モンロー・スター。ハリウッドの撮影所で繰り広げられる人間模様と、映画ビジネスの舞台裏。
『グレート・ギャツビー』の先を目指し、フィッツジェラルドが死の前日まで書き続けていた最後の長編小説。
作品を補完する著者の「覚え書き」を収録。
感想・レビュー・書評
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和田誠さんの装丁が素晴らしく、御池ゼストのふたば書房の店頭で見て、即購入。
しかし村上春樹が訳しても、スコット・フィッツジェラルドの長編小説は僕にはよく分からない。短編は良いのに、なぜ長編は受け入れられないのだろうか。
ヘミングウェイが言うように「あまりにも自分を憐れみすぎている」登場人物が気に入らないからだろうか。
これは面白いかも、と思った『夜はやさし』も途中で止まったまま。
しかしこの小説は書かれたところまで割とすんなり読んだので、どうだろう、最後まで完成していたらそれなりに受け入れたのだろうか。
昔、英文法のテキストでセンチメンタルな名文を読んだ記憶があり、ちょっとこれ他とちがうな、と思ったんだけど、後からそれは彼のエッセイだったと分かった。
長編だけがダメなのだなあ。
調べて知ったのだが「tycoon」と「大君」って読み方が同じなのは、徳川将軍のことをアメリカ人は「大君」と呼んでいて、それがそのまま英語になってるらしい。
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未完の作品、是非とも完成した作品を読んでみたかった。
フィッツジェラルドの覚え書きを読んで、小説家というのはすごい職業なんだと思い知った。 -
ちょっとわかりにくい内容です。
未完であった小説であることもそのような
感じになるのだと思いますし、
誰の目線の記載なのかがちょっとわかりにくい感じ
です。 -
本書はフィッツジェラルドが未完の状態で残したラストの作品であり、多くのフィッツジェラルドの新訳を手がける村上春樹が解説と共に訳したものである。
舞台は映画産業が勃興し始めたハリウッドで、優れたプロデューサーとして活躍するモンロー・スターという男性を主人公に彼の活躍と徐々にその築いた世界が崩壊していく様子を描いていく。『最後の大君』とはまさにこのモンロー・スターをそのものを示しており、その世界観は『グレート・ギャッツビー』のジェイ・ギャッツビーとの相似を想起させる。
個人的には、フィッツジェラルドは大昔の作家という印象がある一方で、映画産業は近年にできたもの、という思い込みがあったことから、本作を手にとったときは多少不思議な感じがした。しかしよくよく考えれば、フィッツジェラルドが活躍した1920年代、既にハリウッドでの映画産業は勃興しており、全く意外でも何でもなく、その取り合わせの妙も本作の個人的な面白さの一つであった。 -
未完の小説で、モンロー・スターの映画業界もの&女性たちの絡みは「そんなに面白いかこれ?」という感想。もし書き終えられていたら、このプロットで本当に名作になったのだろうか?と首をひねるのだが、怒涛の展開が用意されていたようだ。村上春樹はフィッツジェラルドが推敲をしていないことを前提に、敢えてゴワゴワしたこなれない日本語を当てていると見え、作家による翻訳だと思った。推敲を重ねればギャツビーのような洗練に行き着いたのか。
また、「あなたにもう一度お会いしたかったの」「私はそのアメリカ人と結婚するべきなのかしら?」という言葉づかいをする女性は、時代としてありなのか、あまりに春樹的なのか、は考えてしまう。 -
何番目の翻訳か、これを読むのは。
大君はカタカナのままが好み。 -
製作現場に君臨する映画プロデューサー、モンロー・スターの栄光と悲劇の影。フィッツジェラルドが死の前日まで書き続けた長編小説。