増補新版-補給戦-ヴァレンシュタインからパットンまでのロジスティクスの歴史 (単行本)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120055317

作品紹介・あらすじ

16世紀以降、ナポレオン戦争、二度の大戦までの代表的な戦闘を「補給」という観点から徹底的に分析。補給の計画、実施、戦闘への影響を、弾薬、糧食等の具体的な数値と計算に基づいて説明。補給こそが戦いの勝敗を決するということを初めて明快に論じ、ロジスティクスの研究の先駆けとなった名著の第二版補遺(石津訳)と新たな解説を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 兵站のうち、戦時中の補給についての歴史を18世紀から第二次世界大戦まで概観している。
    特徴的なのは補給のほとんどは長らく口糧と秣(特に後者)であり、弾薬はほとんど初度携行で足りたこと、それらは現地調達(徴発、略奪)がほとんどであったこと。その他の輸送は水路に依存していたことなのである。これらの特徴が変化したのは鉄道の発明ではなく第一次世界大戦であった。もちろん人道的な配慮によるものではなく、火器の速射化により必要弾薬が増えたこと、部隊が大規模化し現地ではとうてい足りなくなったことなどによる。
    その結果、それまで補給が不足すると移動せねばならなかったが(荒廃した土地を捨てて次の略奪を行うため)、後には動けなくなる等の差が出たことも興味深い。このなかで、名将とされるロンメルが補給を無視したために作戦に失敗したことや、連合国の慎重すぎる兵站管理のために実施されなかったルール進駐も不可能ではなかったことなどが顕著である。
    プロは兵站を語り、素人は戦略を語るのもただしいし、作戦の9割が兵站なのも事実だが、兵站自身も単なる数字の管理と帳簿合わせ、計算と計画の領域なのではなく、戦略的な思考と作戦術の決断力、柔軟性が求められるものである事がよく認識できた。

  • 戦争の歴史で兵站を考えるのが今までなかったのが不思議で、とてもおもしろい。

  • 増補版ということで購入。戦争とは補給の戦いである。補給を軽視した組織は勝てない。

  • 東2法経図・6F開架:395A/V27h//K

  • 序章 戦史家の怠慢/第1章 一六~一七世紀の略奪戦争/第2章 軍事の天才ナポレオンと補給/第3章 鉄道全盛時代のモルトケ戦略/第4章 壮大な計画と貧弱な輸送と/第5章 自動車時代とヒトラーの失敗/第6章 ロンメルは名将だったか/第7章 主計兵による戦争/第8章 知性だけがすべてではない/第二版補遺ー我々は今どこにいるのか?

  • 序章 戦史家の怠慢
    第1章 一六~一七世紀の略奪戦争
    河川利用を知ったものが勝つ
    軍需品倉庫の出現
    移動中のほうが安全
    現地徴発が戦略の基本
    第2章 軍事の天才ナポレオンと補給
    包囲攻城線から回線へ
    三帝会戦の舞台裏
    モスクワ敗戦の真因
    第3章 鉄道全盛時代のモルトケ戦略
    新制度創出時代
    鉄道
    フランス対ドイツ
    理論倒れのモルトケ兵站術
    第4章 壮大な計画と貧弱な輸送と
    巨大化と機動性の相剋
    補給軽視のシュリーフェン
    敗けるべくして敗けた
    第5章 自動車時代とヒトラーの失敗
    バルバロッサ作戦と兵站
    運命の秋雨
    第6章 ロンメルは名将だったか
    史上最初の砂漠機動戦
    最期までたたった港湾不足
    第7章 主計兵による戦争
    完璧な組織
    永遠の謎・ルール突進
    第8章 知性だけがすべてではない
    第二版補遺―我々は今どこにいるのか?

  • 近世以降、ナポレオン戦争、二度の大戦を補給の観点で分析。ロジスティクス研究の先駆けとなった第二版補遺・解説(石津訳・著)増補

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著者プロフィール

ロンドン大学経済政治学大学院で博士号を取得後、1971年からイスラエルのヘブライ大学歴史学部教授。防衛省防衛研究所及びアメリカ海軍大学を含む欧米の多くの大学や研究機関で講義や講演を行っている。軍事史及び戦略研究に関する22冊の著書及び多数の論文がある。邦訳書に『補給戦』、『戦争の変遷』、『戦争文化論』がある。

「2014年 『エア・パワーの時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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