- Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120056284
感想・レビュー・書評
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川上未映子さんの長編を初めて読みました。
絶対また読見直したい、でも今はまず余韻に浸りたい。
苦しいお話ではあるんですが、描写などが本当に美しいです。
すごく感動的な場面などでは無いのに、泣きたく場面がたくさんあって、こんな本は自分的に川上さんが初めてかもしれない。
他の小説も読まなければと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生まれ育った環境の自分ではどうにもできないことからどうすれば抜けることができるのか。孤独な子ども時代を送っていた花が出会った黄美子という女性。どうにか暮らしていくために詐欺をして稼ぐようになっていくのだけど、そこに落ちていくことになったものはなんなのか。環境なのか、本人のせいなのか。いろいろなものを突きつけてくる。褒められる生き方、生活ではない花たちの日々のなかにある苦しみが他人事ではなく迫ってくる。圧倒されるような濃度で描かれている今が詰まっている。
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やってることは違法行為(カード詐欺)だけど、花が朝ドラ主人公かのように真っ直ぐで一生懸命なもんで、つい応援してしまう。
親も友人も頼りにならない、縋れるのは「黄色」だけ。
ひとり覚悟を決めて大爆走する花のエネルギーが凄まじく、引っ掴まれて一緒に走らされてるような気分になった。
川上さん初のクライムサスペンスということで、確かに終始ハイテンションではじめての読み心地。
けれど花と黄美子さんが近所のお祭りに出かけたときの夏の風景のきらめきや、母親が白いハイヒールを買って嬉しくて部屋で穿いたままでいる場面の切なさは、今までのどの作品にも通底してるまなざしだ。
私はそれに触れたくて川上作品を読み続けているのだと思う。
思い出しては嬉しいような切ないような気持ちになるささやかな記憶、それらをお守りにして胸に忍ばせていたい。 -
主人公の花を取り巻くやるせない環境に徐々に追い詰められ、笑顔を失い暗く金に染まってゆく花の結末をページをめくる手を止められずに最後まで一気に読み切ってしまった。
長編でここまで最初から最後まで没頭して読める本は滅多にないと思います。 -
なぜこんなに面白い小説が書けるのか不思議
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「人はなぜ、金に狂い、罪を犯すのか」
花は元々が悪い人ではない。
一緒に暮らした黄美子も。
世話を焼いてくれた映水も。
本当はこんな風に言いたくないが、スタートラインで決まってしまっていた。しかも上向きと下向きのベクトルがあり、花たちは後者、所謂親ガチャだ。
花は責任感が強いため努力してお金を稼ぐが、生まれた環境のベクトルには逆らえない。みんな生きる為に堕ちていく。
共感性の欠如した黄美子はASDだったのだろう。悪い人間は「金の成る木」だと彼女のような人間を物のように遣うのだと言う。優しくして思い通りにした後はむしり取っていく。
映水たちが優しかったことが救いだった。
みんなのストーリーが苦しかった。
花たちが住む、大金が貯め込まれた黄色い家は大きな貯金箱のように見えた。
花の「私が分からなかったのは、まともな世界でまともに生きていく資格のようなものをどうやって手に入れたのか。どうやってそっちの世界の人間になれたのかということ。私は誰かに教えて欲しかった」という言葉。資格か…と私の心に重く残っている。
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著者の作品は初めてだった。
読み始めてすぐ、文体にクセを感じて600頁もの長編を読み切れるか不安になった。が、早い段階で慣れた。むしろ掴んだテンポは止まらなくなった。クセのある文体が今は完全にクセになっていた。
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#読書記録
#黄色い家
#川上未映子
本屋大賞ノミネート 7作目
世間の枠組みからこぼれてしまった彼女たちは肩寄せ合って生きる。生きるためには金がいる。金のために暗い穴へ落ちて行く。
頁にびっしりと詰まった文字が、主人公の必死に生きる様子を表現していて、苦しくなるほどリアル。
#凪良ゆう さんの#汝星のごとく と同じく、それぞれの事情で世間の「普通」からはみ出してしまった人間を描く。転落する深淵は私たちのすぐそばにあって、私たちは危うい平均台の上を歩いている。これらの物語は、ただ右に踏み外すか左に踏み外すかの違いであって、バランスはいつ崩れてもおかしくないと訴える。
#読書好きな人と繋がりたい
#読了
#本屋大賞
#本屋大賞2024
#本屋大賞ノミネート
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2024年初読み出した本
600ページの長編。文章は読みやすく、スピード感があってスルスル読める。
楽しく暮らしていた日々がちょっとずつ壊れていく。自分が頑張らないと、皆んなの為に頑張っていたのに。でもそれが皆んなを苦しくさせ、自分をも追い詰めていた主人公。自分の頑張りが、どこか周りとズレができ、溝ができ、関係が壊れていく様は、なんとも言えない気持ちが込み上げてきた。
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主人公、花の行末が、どんどん危なげに転んでいくので、とにかく心配になった。
家出した20歳前の子が、どうにか生きていくには、こんな方法しかないのかと。
最後も切ない。