JRは生まれ変われるか 国鉄改革の功罪 (単行本)

  • 中央公論新社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120056994

作品紹介・あらすじ

国鉄改革から35年を経た今、官と民の狭間でJRは苦悶を続けている。歴史を踏まえて、JR7社の直面する課題を読み解き、人口減少時代と対峙する現在とこれからを展望する。

感想・レビュー・書評

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  •  本書でも指摘されている通り、赤字ローカル路線の経営は鉄道会社にとって重荷である。

     俺個人の考えとしては、ローカル線の役割は終わっている。
     ゆえに、それは別の交通機関に置き換えられるべきだと考えている。

     鉄道黎明期で鉄道が求められた一つに、未舗装路対策があったのではないかと考える。
     ひと雨降ればぬかるみになり、車輪の乗り物は通行困難になる。
     そこで道路整備の意味合いで鉄路が求められたのではないかと。

     時代は下り、鉄道の大量輸送の利点が各戦争を通して認められると兵員輸送、物資輸送を目的に鉄路が延伸される。
     また、林業や炭鉱など道路ではなく鉄路が求められた時代があった。

     さらに時は下り、かつて物資輸送が目的だった鉄路は、産業構造の変化により旅客輸送しか運ぶものが無くなった。
     しかし、道路整備が進むにつれて旅客輸送はクルマが担うようになった。
     一度、旅客目的に使われるようになった鉄道は公共交通の名のもとに、目的を失っているのに廃止することができなくなった。

     人力から馬車、鉄道、クルマ、飛行機と時代によって交通モードの転換が行われているのに、鉄道だけはレールの上を走るという150年前から変わっていない。
     輸送する旅客がいないのだから、赤字ローカル線は駆逐されて然るべきなのだと思う。
     鉄道でないといけないというのは、ただのノスタルジーだ。

     もし鉄道を残すのであれば、旅客輸送以外の新たな役割を与えなければいけない。
     その役割のひとつが観光なのだろうが、観光列車だけで赤字をペイできるようでなければ存続させる意味がない。

     以上、約15年にわたって鉄道事業に関わる俺の持論でした。
     鉄道存続論者はメンテナンスコストを考えてないのだよ。

  • 読売新聞がJRの連載記事をまとめたもの。
    さすが大手新聞社の記事だけあって分割民営化までの経緯、その後の歴史、課題が分かりやすくまとめられていた。
    昨年から採算が難しい路線を自治体と協議する場が設けられるようになったが、北海道や四国では会社自体の存続が危ぶまれている。本書はJRが主題だが、鉄道に限らず地域の交通インフラをどうするのか課題はつきない。どうか部分最適にならずに全体最適の議論ができますよう。
    あとがきに「鉄路は未来への希望を抱かせる魅力をたたえる。独特の哀愁も帯びている」との記載があった。
    ちょうど今日、北陸新幹線の敦賀までの開業日。ハレの日ではあるが、分離される在来線もある。そんな陰にも目を向けたいな。

  • いつの間に国鉄民営化から35年、当時の想定を上回る人口減少と金利の低下。JR各社特に北海道、四国の状況は険しい。厳しい現実の中から解決方策を探る一冊。

    正直、ここまで経営状況が厳しいものだとは思わなかった。国鉄時代の赤字ローカル線廃止、その頃より採算の悪化した路線が多いという。災害を契機に廃止またはBLTへの転換が多いのも納得。

    一方でJR九州の成功と安定のJR東海は対照的。JR貨物はドライバーの不足を経営好転の材料とできるだろうか。

    新幹線開通の陰で第三セクター化される並行在来線の問題、西九州新幹線や北陸新幹線の未開通部分な経路などまだまだ解決できない問題も多い。

    個人的にはJR単独経営ではなく上下分離でやっていくしかないとは思うが。

    JRの現状が分かりよく説明された内容でした。

  • ふむ

  • 登録番号:1027522、請求記号:686.21/Y81

  • OPACへのリンク:https://op.lib.kobe-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2002330901【推薦コメント:官と民のはざまにある、現在のJRの経営状況を分析した一冊。コロナ禍の影響までが考慮された最新版!】

  • 人口減少、廃線ラッシュ、コロナの傷痕……60万人を抱えた日本最大の組織の過去・現在・未来

  • 読売新聞の取材の力に関心。鉄道会社は本業の鉄道輸送と他の収入確保に目論む。その為に出来ることは何かと頭をひねる。一方で使われない鉄道をどうするか。考えることは多いが、必要なライフライン。

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著者プロフィール

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「2020年 『検証 財界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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