なるようになる。-僕はこんなふうに生きてきた (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120057120

作品紹介・あらすじ

人生は、なるようになる――これがひとまずの結論です。幼少期の最初の記憶から、虫と猫とバカの壁と出会った八六年を語りつくす。読売新聞の好評連載「時代の証言者」(聞き手・鵜飼哲夫)を大幅加筆、「五〇の質問」を増補。養老先生はじめての自伝。目次Ⅰ 幼年時代と戦争Ⅱ 昆虫少年、医学部へⅢ 解剖学者の奮闘Ⅳ 『バカの壁』と〈まる〉との出会い養老先生への五〇の質問――朝起きて最初に何をやりますか/最後の晩餐で食べたいものは/自分をバカだなと思うことはありますか/いろいろな発言をされると誤解されることが多くて困りませんか/大人になるってどういうことですか/死についてどう思いますか……など

感想・レビュー・書評

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  • 若い頃は「なせばなる!」って思っていたけど、今は「なるようになる!」そう思うとほとんどのことが解決するような気がする。

  • 有名な解剖学者で虫好きな養老先生。よくものを考える人なんだなと思った。人が作った人工物ばかりに囲まれていないで、もっと自然と触れ合うといいというメッセージが強烈だった。読書好きが高じて、私もこの頃少しはものをよく考えられるようになったので、ちょっと嬉しい。

  • 『今思うと、臨床には本気になれなかったんでしょうね。昆虫採集で野山を歩き回っていた子どもの頃から、自然はなるようになるもので、人間ができるのは手入れだと思ってきた。患者の身体も自然だからそれと同じ。医者は病気を治すと思っているけれど、患者は治るときにはひとりでに治る』―『Ⅲ 解剖学者の奮闘』

    養老先生の著書は何冊も読んでいるし、それらの本の中で時々ご自身の来し方を語っているのを読んでもいるけれど、本書の聞き手である鵜飼哲夫が言うように自伝的なものは読んだことが、確かに、ない。そんなもの知らなくても言っていることは分かるでしょ、と養老先生なら言いそうなものだけれど、人が環境と連続して繋がっているというのと同じように、その人の考える癖というのも来し方と不可分であるだろう。であれば本書の自伝的な逸話を聞くこともまた養老孟司の考え方(養老先生ご本人を、ということではない)を理解する一助となるだろう、と言ってもいいのではないかと、恐る恐る言ってみる。

    考え方を形作ったという意味で、その著書によく出て来る話としては、戦後の教科書の墨塗りの話がある。ああ確かにそういう出来事があったら人の言うことを鵜呑みにしない考え方の基本が形作られるだろうなと思っていたのだけれど、それは後先が逆なのであって、そもそもそういう性格の子供であったというだけなのだということが本書を読むとよく解る。別に判ったところでどうとなるものでもないけれど、人の癖というものは「ああすればこうなる」という風に理屈付けることは決してできないものなのだなということを、改めて認識させられたような気にはなる。

    気になると言えば、判ったような気になる、というのが、すべからく養老先生の著書を読む時の感想になってしまうのだが、まあ、それは頭のいい人から何かを教わる時に常に起こってしまうことでもある。もちろん、自分自身の経験からも実感してはいるけれど、もう何十年か前に、リチャード・ファインマンの教え子たちが同じようなジレンマに陥るケースが多かったと、ファインマンの同僚だったカルテクの物理学者が話してくれたのを聞いたこともある。「気になる」から「理解する」への壁を乗り越える為には、自力でその論理展開を辿り直して見なければならないのだけれど、それが実は容易ではない。それは、話を聞いている時に使っているのは「論理的」な理解と「感覚的」な理解の両方だけれど、自力で辿り直す時には「論理的」な理解ばかりとなりがちだから(似たようなことを内田樹導師もしばしば語っているけれども)。なので、本を読んでいる時に「ふんふん、そうだよね」と思っていても、いざ他人にその話をしようと思うと存外自分が理解出来ていないことが露呈する。悔しいからまた考え直す(頭を鍛錬し直す、とでも言ったらよいか)。まあ、そういうことが大事なんだということくらいは養老先生の教えとして理解はしている。

    実は、読後に本の感想を書くようになったのも、自分が何を考えていたのかを備忘録的に書き残すという目的の他に、自分が何を感じていたのかを言語化してみることが(何しろ、個人的な体験を共通の理解の場に移すことこそ言語の機能なのだから。これもまた養老先生の教えの一つではあるけれども)、もやもやとしたものを自分の中にその状態で内在しておく為にも必要なのかなと考えているからなのだけれど(だから自分の書くものにレビューとしての意味はほとんどないと思うのだけれども)、その為にもあまり判り易い結論を出さないようには気をつけている。とまあ、そんなことを本の感想として書いているのを読まされる方には、お気の毒さまとしか言いようがない訳だけれど、こんなことをくどくどと考えさせられるところが養老先生の本のいいところ。特に、養老ファンを自認されている方には、本書は案外目から鱗が落ちる、というようなことがあるんじゃないかなと思う(知っているような話ばかりのようで、実は知らなかった話が多いです)。

  • 養老孟司さんは、私とは全く違う生き方考え方をしてきた
    でも読んでいると言いたいことはすごくよくわかるし
    「なるほどそうだよなぁ」と思ってしまう。
    本当に面白いかたです。
    決して笑わせようとはしていないのに。

    でもそれはきっと聞き手の鵜飼哲夫さんが
    上手にまとめてくれているから
    「あとがきにかえて」を読んでそう思いました。

    そう思うと鵜飼さんみたいに上手に通訳してくれる人
    そういうかたが今後も頑張ってくだされば、
    たくさんの頭の良い面白い人と出会い
    楽しい読書ができるのだろうなあと思いました。

  • 読売新聞の連載「時代の証言者 なるようになる。」に加筆されたもの。
    「養老先生への五〇の質問」も面白い!

  • 昨日たまたま読んだPresidentで、ホリエモンが「1番運がいいと思うのは養老先生」のような事を言っていたことを思い出し、手に取った。
    なるようになる、この考え方が本当に素敵だし、大事なものだと感じた。
    特に印象に残ってるのは、最後のQAコーナー。
    個性がなく、自分のことをone of themだと思っている若者に対しては、カルぺディテム、その日その日の花をつめ。自分なんていくらでも変わり、いくらでも広がる。この言葉を忘れずにいきたい。

  • 人生は、なるようになる――これがひとまずの結論です。虫と猫とバカの壁と出会った八六年を語りつくす。養老先生はじめての自伝。

  • 養老先生の本は今まで色々読んできたが、いつ読んでも心に響く。「脳化」した世界で、自然じゃないことにも気づかず、色々な物事をきちんと処理しようとアクセクしてしまう自分には、時々養老孟司の本が必要かも。養老先生の自伝の部分も、Q &Aの部分も、とても興味深く、共鳴するところがある。
    養老ファンにも、養老孟司を読んだことない人にもおすすめの本です。

  • 直あそこまでやったなと思う人は、アフガニスタンに貢献した中村哲さん、中村さんこそ国葬にしてよかった人だと思う。
    死について、自分にとって自分の死はないと同じ、自分で実証的に確認できないから。考えたって意味は無い。
    孫悟空とお釈迦様の手のひらの関係みたいだある。

  • N049

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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