ヴァイキング: 世界史を変えた海の戦士 (中公新書 150)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121001504

作品紹介・あらすじ

参考文献: 177-179p

感想・レビュー・書評

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  • 1968年刊。著者は法政大学教授。

     中世後期から近世欧州の背骨がハプスブルグ家ならば、中世欧州の外骨格とでもいうべき存在が「ヴァイキング」と言えるのだろう。

     北欧・北独に淵源あるも、西は英、仏、アイルランド。南は伊、シチリア及び北アフリカの一部。東は露からカスピ海・黒海周辺のイスラム圏。そして、北はアイスランドやグリーンランドから北部北米大陸まで。
     この広大な地域に影響を及ぼしたのが「ヴァイキング」と称されるデーン人、スウェード人の集団である。
     海賊と規定するには余りに広大・広域かつ、広範囲の政治的・文化的影響。しかるに、近代国家の枠組みや国境線を遥かに超越した活動と展開のため、かえってその全史を紐解くのが困難という隘路に。

     本書は、ヴァイキングが中世欧州政治史に及ぼした影響、神話等の文化面、さらに斬新な史的位置づけ(古代ゲルマン民族大移動に続く、第二の民族大移動)に加え、埋もれてしまった(未だ未解読)露やイスラム圏(トルコ・ペルシア)、またグリーンランドや北米大陸への殖民といった事実を提示していく。
     殊に、ロシアへの浸透とヴォルガ河・ドニエプル河の遡行と黒海・カスピ海(東ルート)への影響が興味を惹く。

     また、本書はグリーンランド植民地の成立と消滅に言及するが、これら(というよりも、これに先立つ西欧のヴァイキング研究)が、後の環境歴史学(例えば、ブライアン・フェイガン)の着想の淵源のように感じられるところだ。かような先駆的意味を本書から感じ取るのは難しいことではないはず。

  • ヴァイキングというとまさに海の荒くれ者
    というイメージが強いですがそのルートに
    陸路があったことや
    アラビアの方にも交易があったことは知りませんでした。

    そしてやはりこの民族も
    過酷な歴史を生きているようで。
    中には苛酷な環境によって滅んでしまう
    ヴァイキングもいたことに驚きました。

    ただし昔の本ゆえに
    読みづらいことをお忘れなく。

  • (目次)

    まえがき

    Ⅰ 大西洋を越えて
    ※アメリカの発見者
    (コロンブスとカボーテ/最初の発見者/ヴィンランドへの探検/ヴィンランドに関する二つの疑問)
    ※グリーンランドへの植民
    (赤毛のエリク/グリーンランドの末路)
    ※アイスランド
    (ハーラル一世の圧政/世界最初の共和国)
    ※ヴァイキング・シップ
    (二つの型/オーセベリィ・シップ)

    Ⅱ 民族の大移動
    ※ヴァイキングの活動地域
    (四つのルート/ゲルマン民族の移動/四方ルート)
    ※南方ルート
    (デーン人のイギリス侵攻/アルフレッド大王の支配/クヌード海上帝国/フランスの略奪/ロローの統治/イベリア半島/南イタリアとシチリア島)
    ※ノルマン人のイングランド征服
    (二度の襲撃/ノルマン王朝)

    Ⅲ 東方ルート
    ※バルト海沿岸
    (ヴァイキングの語源/交易の中心地)
    ※ロシヤへ
    (スウェード人の植民/キエフ公国/リューリク朝/ビザンツの傭兵/ヴォルガ河に沿って/イスラムとの交渉)

    Ⅳ 北ヨーロッパの神話と伝説
    ※サガ
    (歴史的サガ/五大サガ)
    ※エッダ
    (エッダの種類/天地創造/北ヨーロッパの神々/神々と巨人族の対立/宇宙の壊滅/エッダ成立の事情)

    Ⅴ ヴァイキング的精神
    (北方人の性格/活動の原動力/抵抗とヒューマニズムの精神/船舶と探検/世界史とヴァイキング)

    参考文献

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