私の外国語 (中公新書 225)

制作 : 梅棹 忠夫  永井 道雄 
  • 中央公論新社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121002259

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、総勢20名の外国語の学習体験を梅棹忠夫と永井道夫がまとめた本である
    出版が昭和45年で、著者はみんな昭和一桁以前の生まれ
    戦前や戦中における外国語学習で四苦八苦している様は興味深い

    具体的な学習方法的なものとしては、
    ・読む 辞書と文法書片手に翻訳本を見つつ勉強する
    ・話す・書く 知っていることだけ話す、書くだけ、短文上等
    ・聞く 確認しながら聞く
    などを提示している

    そもそも文献読破のための外国語学習の要領・秘伝みたいなものができあがっていたが、時代の変化に伴う外国語学習の多様化を反映した本を作るという感じで企画されたのが本書なのだそうです
    個人的には、文献読破のための外国語学習のほうの要領・秘伝が知りたいと思うのだが
    この本はこの本でおもしろかった

    【引用】
    ・(一)会話するときは、なるべく文法を忘れて話し、読むときはなるべく文法を思い出せ。(中略)読むときは反対に、文章の構造が明確に頭に理解されるような、ゆっくりした読み方が良い。(P6)
    ・(八)辞書を手放すな!新聞や雑誌を読んでいるとき、かならず未知の単語にぶつかるものである。そんなとき、かたわらの独和辞書をめんどうくさがらずにひもとくことがたいせつである。同じ単語をなんどもひくことに気づくこともある。それでよいのだ。繰り返し繰り返し辞書をひくこと。(P9)
    ・背景のまったく異なった人間同士が、ことばを媒介として互いに理解し、なぐさめ合い、励まし合える。これはなんとすばらしいことだろうか。その日の会話がどんなであったか、今ではすっかり忘れてしまったが、ことばというものの有難さ、語学を学ぶ者のみの知る幸せを、あの時ほど強く感じたことはなかった。(P24)
    ・外国語を修得するのに、いちばん必要な条件は、おそらくはその外国語が「必要だ」ということであろう。(P38)
    ・わたしたちのあいだでは、たいへんビルマ語がうまいという評判の日本人について、あるビルマ人が批評していった言葉を、わたしはおもいだす。「あの人はずいぶんビルマ語の本を勉強したらしい。あの人は文語をしゃべる。」(P41)
    ・まず<読む力>だが、英文法と単語、熟語を覚えることが最低条件であることはいうまでもない。単語、熟語を知らねば話にならないが、いちばんたいせつな秘訣は、辞書をひくことをいやがってはならないことである。天才でないかぎり、生き辞引ということはありえないのだから、無精がらずに、どんどん辞引を引く癖をつけることだ。(P48)
    ・私は英語を書く。アメリカ人に見てもらう。どうもおかしい、彼はボヤく。たしかに、アメリカ人の書くものとはちがう。それでいて、まあ、おまえの言うことは判る。文法的にもたいしてまちがっていない。それでいて、あきらかにアメリカ人の書いた英語ではない。それでいて、あきらかに英語だ。彼はボヤく。ケッタイな英語やな。そやけど、英語は英語やな。(P63)
    ・私は、この本(スタインベック「気まぐれバス」)を読みながら、アメリカのふつうの人間は、単語としてはきわめて簡単なことばだけで生活しているのだ、と思った。会話のなかには、べつに気取った言いまわしもないし、またむつかしいボキャブラリーもない。まず、中学生が知っている範囲の単語をじょうずに組みあわせて、会話というものは成り立っているのである。むつかしいのは、その組みあわせなのだ。(P67)

  • 以前、古本市で見かけて面白そうなので購入した1冊です。

    研究者の方々を中心に、いろいろな職種で活躍されていた皆さんの「外国語」エッセイ集。学習法という感じのものから、まさにエッセイまでさまざま。太平洋戦争前後の日本の知識人層の外国語観がいろいろな視点で見えて面白かったです。

    会話が大事だ ⇔ いやまずは文法からみっちりと といった対立や、留学するのが一番だ!というような話を読むにつけ、論争されていることは現代と同じだなぁと思ってしまいました。そして、日本という国の、「外国語」への憧れ・コンプレックスの伝統のようなものを感じました。

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