幼い子の文学 (中公新書 563)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121005632

感想・レビュー・書評

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  • 幼い子どもたちが喜ぶ物語のパターンは、「行きて帰りし物語」(there and back)である。『アンガスとあひる』の作者マージョリー・フラッグは、どの作品でもこの「行って帰る」構造を積極的に使っている。また、この構造は昔話の世界にたくさん含まれている。
    物語以外でも、なぞなぞとわらべうたは、それが一つの文学であると言える。幼い時から見事な言葉を聞いて育った人間は、言葉に対しての感覚が鋭くなり、その言葉が開いていく世界に馴染んでいく。

    この本では、たくさんのイギリスの詩人や幼年物語の作家が紹介されている。一つ一つその作品を読みたくなった。

  • 題名通り、児童文学、特に幼年向けの作品について。
    話者自身、優れた児童文学作家・訳者なので、分析が丁寧。
    英文学が多く、イギリスの幼年向け児童文学の土壌の豊かさを感じる。
    講義を話者と別の方がまとめているので、おそらくご本人が一般向けに本にするなら書かなかったのではという強い調子の部分もあるが、それもまた興味深かった。

  • 児童文学の翻訳や評論にたずさわった著者の講演に基づいている本です。大塚英志の『ストーリーメーカー』(アスキー新書)で紹介されていたので、興味を持って手に取りました。

    大塚は、本書で論じられている内容の中で、童話が「行って帰る物語」の構造を持っているということに注目していましたが、そのほかにも、なぞなぞや言葉遊び、童唄のリズムなど、児童向けの文学作品にまつわるいくつかのテーマについて、分かりやすい語り口で論じられています。

  • さらっと読める。語り口もやさしく。

  • 『指輪物語』『ナルニア・・』なんかを翻訳した児童文学評論家による、図書館員向けの講義録。
    30年前の本なので、取り上げてある本は古いけど、題材が国内外の童謡やわらべ歌なのでもはや普遍。わらべ歌やなぞなぞのリズムが、小さい子にとっての文学の入り口であるとか絵本の構成の問題とか…人に勧められたんだけど、講義録なのでやさしい語り口で書かれておりわかりやすくて勉強になった~。

  •  童謡のところや詩のところは結構流し読みしてしまったけど、後半面白かった。『りすと野うさぎと灰色の小うさぎ』のところは夢中で読んじゃった。

  • 瀬田貞二さんの真髄が伝わります。翻訳だけでなく、日本の未来を考えて世代を育てようとしたこと、守ろうとしたこと・・・子どもたちに読み聞かせをする際に、読んでおきたい一冊です

  • 児童文学に携わる人は、ぜひ読んでください。

著者プロフィール

1916~1979年。現東京都文京区に生まれる。東京帝国大学国文科卒業。第二次世界大戦後、東京府立第三中学校に復職し、教師の傍ら雑誌に児童文学作品を投稿。後、平凡社勤務を経て、児童文学の創作、翻訳、評論の分野で活躍。1959年自宅に瀬田文庫を開き、毎週土曜日の午後に自宅を開放していた。代表的な作品『なんきょくへいったしろ』『あふりかのたいこ』など、再話『かさじぞう』『ふるやのもり』など、翻訳『指輪物語』のほかに『ホビットの冒険』『ナルニア国物語』などがある。

「2023年 『最新版 指輪物語7 追補編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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