いま政治になにが可能か: 政治的意味空間の再生のために (中公新書 838)

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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121008381

作品紹介・あらすじ

アメリカとECの対日批難、歯止めを失った円高-日本をめぐる内外状勢は風雲急を告げている。これに対して政治は、場当り的政策、対症療法を繰り返してきたにすぎず、回避できたはずの犠牲が国民に強いられている。本書は、一連の事態を「政治的意味空間」概念を鍵に分析し、現在の試練を克服し将来のための国民的合意と戦略を確立するための政治の条件を考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 1987年に刊行された本です。日米の貿易摩擦が問題になり、カレル・ヴァン・ウォルフレンらの「ジャパン・バッシング」が激しさを増す中で、日本の政治が直面している問題について考察しています。

    著者は、業界や利益団体の個別的利益の要求に答えることが日本の政治家の中心的な仕事になってしまっており、統一的な政策を責任を持って示すような政治風土がいまだこの国に根づいていないと批判しています。また、自民党政権を批判するべき野党も、個別的な利益要求を組織化した自民党体制の全体に対する有効な打撃を与えることができず、革新政党の支持基盤であった産業労働者も自民党体制下の一つのタコツボ団体に組織化されてしまっていると指摘しています。そして著者は、こうした日本政治の構造的欠陥を克服するためには、国民の政治社会全体に対する配慮が機能することのできる「政治的意味空間」を再活性化させる必要があると主張しています。

    小泉政権と民主党政権の失敗を経験した現在では、著者の主張する「政治的意味空間」の再生が思いのほか容易ではないことが、いよいよ明らかになり、政治的意味空間再生のためのより具体的な方法が求められているように思います。

  • 当時の政治の分析を通じたうえで、将来的な展望を持ち、それを展開していくことを政治家に求める。

  • 「横からの入力」、諸外国の要求が日本の政治、行政に対しきわめて重要な作用を及ぼすようになった、内政干渉の構造化が現象化したと。バブル景気まっただ中のよき時代、いまとなればあの時は良かった。政治的意味空間の再構築を。政治術、官僚をたがにはめコントロールする。民主政治の実行のため、それを鍛える努力を。

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著者プロフィール

1942年、秋田県に生れる。東京大学法学部卒業。東京大学法学部教授、東大総長を歴任。東京大学名誉教授。専攻、政治学史。著書『プラトンと政治』『近代政治思想の誕生』『現代アメリカの保守主義』など。

「2014年 『情念の政治経済学 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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