- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121010421
作品紹介・あらすじ
アメリカは民主主義の理念を具体的に政治に実現させた最初の国である。独立宣言の中心「すべての人間は生まれながらにして平等である」は、今なお民主主義国家の道標として輝き続けているものの、人種間の問題や戦争など、建国から2百年余、その歴史は平坦ではなく、生々しい傷がまだ癒えることなくその跡をとどめている。この超大国の光と影を、戦後深いつながりをもって歩んできた日本との関係もまじえて描く。
感想・レビュー・書評
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移民の国、アメリカ。さまざまな人種で成り立っている。独立戦争で建国したのに、今度は自らの国を南北に分けて戦争。主義主張の方法に戦争があるということは恐ろしい。戦争後も人種差別は日常的であった。黒人の社会的立場は現在でも問題となっている。日本との戦争後はなぜか蜜月な関係であるところがまた不思議である。日本人もアメリカ文化は好きである。ちょっとしたすれ違いで中国や北朝鮮と戦争にならなければ良いが、、、。
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世界の中で良くも悪くも巨大な影響力を持ってしまったアメリカ合衆国という国には、いったいどのような歴史的背景があるのだろうか。アメリカ人やアメリカ画集国が時としてみせる他国に対する厳しい態度は、どのようなところか生じたものなのだろうか。このように考えるのは、現代社会に生きるぼくたちにとって避けられないことである。
(『世界史読書案内』津野田興一著 の紹介より)
「アメリカは民主主義の理念を具体的に政治に実現させた最初の国である。独立宣言の中心「すべての人間は生まれながらにして平等である」は、今なお民主主義国家の道標として輝き続けているものの、人種間の問題や戦争など、建国から2百年余、その歴史は平坦ではなく、生々しい傷がまだ癒えることなくその跡をとどめている。この超大国の光と影を、戦後深いつながりをもって歩んできた日本との関係もまじえて描く。」
目次
プロローグ 歴史の入り口で
第1章 新しい共和国の誕生
第2章 国家分裂の危機
第3章 アメリカ帝国の出現
第4章 大衆消費の実現と大恐慌
第5章 アメリカの世紀
第6章 平等への闘い
第7章 超大国の行方 -
1991年までのアメリカの歴史。
今読むと、変わった所と変わらない所がよく分かる。
今のアメリカ副大統領はアジア系の女性で、アフリカ系が大統領になった。
トランプ現象は、アメリカではむしろ伝統?
アメリカ人を定義することは難しい。 -
自由の国アメリカ。私のイメージです。
80年代前半、学生時代の私は洋楽を好んで聴き、洋画を鑑賞し、特にアメリカへの強い憧れがありました。
しかしその歴史には影や闇があるのも事実です。
未来のために過去を知ること、はとても大切だと感じている今日この頃です。
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1991年に出されたアメリカの歴史に関する本だが、建国の時から詳しく出ていて面白い。まだネットやらがなかった時代の本。
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まあ、1991年初版ですから、歴史観がどうしても左かがっているというか、弱者の抵抗史観なのは仕方がないですね。歴史書というより、著者の歴史ノートであり、読みやすい文章ではありました。
良書ではあるのですが、さすがにちょっと「賞味期限切れ」が近いかな… -
大国アメリカ合衆国の建国前から現代までの歴史を著者の調査を基に綴っている。
「アメリカンドリーム」、「華やかな経済大国」という正の面ばかりが取り上げられて、見過ごされる負の面もしっかりと書かれている。
移民の国であるからこその思考の誕生、貧困国であった頃の腐敗、原住民や黒人への人種差別などの問題も山積であった。(今もなお存在するが)
そして今後のアメリカは -
2019年1月に読了。
以前に読んだ、岩波ジュニア新書の「世界史読書案内」で勧められていたので、読んでみました。大正解。もう、面白くて面白くて。
猿谷さんという方の語り口や、考え方、感じ方が、僕はとても好きでした。
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(本文より)独立戦争の頃にはイギリスの船の2/3をニューイングランドの造船業者が作っていた。
●それは、独立しちゃうよなあ、と思いました。
(本文より)
(フランクリンについて)独立革命中に彼がイギリスやフランスを相手に展開した外交のテクニックは、実に巧妙を極めたものだった。上手というような生易しいものではなく、もうずるいと言ったほうが近い。
●この話は読んでみたい。
(本文より)
(フランクリンについて)彼はとりすまして道徳ばかり説く人間ではない。たくさん書いた小品のなかには、「情婦の選択に関する若者への助言」などがあり、若い娘より年増女を、とすすめ、その理由を詳しくのべたりしているのである。
●この話も読んでみたい(笑)。
(本文より)
建前と実際との間のギャップの大きさに驚かずにはいられないが、白人のなかにもその矛盾に気がついて、鋭い批判をした人がいる。フランクリンは一七八六年に、フランスの友人にあてた手紙のなかで、こう書いているのだ。「インディアンと白人との間で戦われた戦争のほとんど全部は、白人がインディアンに対して何らかの不正を行なったことから始まったものなのです」
●フランクリンさん、好きになりそう。
(本文より)
ジェファソンの眼は生活感覚の奥底に迫っている。次にあげるのは彼のもっとも重要な著作、『ヴァジニア覚え書』のなかの一節である。「親が奴隷に対して荒れ狂うと、子供はそれを眺めて怒りの表情にかぶれ、奴隷の子供たちに対して同じような態度をとり、人間のもつもっともいまわしい感情の赴くままに任せてしまうのである。こうして子供は、いわば暴虐のなかで育まれ、教育され、毎日それを訓練されているのであるから、当然いやらしい特徴を身につけないわけにはいかないのである。このような環境のなかでも自己の習慣や徳性を堕落させずにもちつづけられる人間がいたら、それはまさしく驚異的な存在といわねばなるまい。一体、このように市民の半分が残りの半分の市民の権利を踏みつけるようなことを許容して、前者を専制君主に仕立てあげ、後者をその敵にまわすようにさせ、さらに前者の道徳を破壊し、後者の愛国心をも破壊してしまうようなことをする政治家には、いかなる呪いを負わせるべきであろうか。……
●現在の日本でも。なんの理性的な根拠もなく、中国や韓国の人を悪く言う親の姿、大人たちの姿を見て育った子は…。
(本文より)
(学生運動について) こうして全米に大学紛争が燃え上がる。少し遅れて日本でも大学紛争が始まるが、アメリカの場合の方が日本より多面的な要素をもっていた。第一アメリカの学生は徴兵によってベトナムへ送られるという現実の可能性が目にみえて高かったのだ。
●納得。
(本文より)
もう一度、サイデル博士の言葉をあげておきたい。「最近私たちは、世界史上最も強固な軍事力を目のあたりにしてきた。一九八一年に約千六百億ドル、一九八七年に約三千億ドルの軍事費を支出した。この額は、七年間で一兆六千億ドルに達し、──かりに一日百万ドルをキリスト生誕の日から使ったとしても、その総額は過去七年間の軍事費のわずか半額にも満たないのである」
●それだけの額を、軍事産業が稼いだということになります。軍事産業が政治に影響を及ぼさないわけが、ありません。国際的にも。 -
アメリカはつくづく「明るい闇」だと思った
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教科書的な網羅性があるのかはわからないが、読み物として、ざっと読める。
アメリカという国が、ネイティブアメリカン、黒人、日系人と、常に人種間の争い(というか差別)と直面してきた国だ、ということが理解できた。
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