鳥居耀蔵: 天保の改革の弾圧者 (中公新書 1049)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121010490

作品紹介・あらすじ

水野忠邦の権力を背に負って天保改革を苛烈に実行し、蛮社の獄によって渡辺華山らを死に追いやった鳥居耀蔵は、目的のためには手段を選ばぬ執拗な隠謀家であった。儒者の司・林家出身の耀蔵にとって、洋学は夷狄の宗教・思想にほかならず、この侵入を防ぐためには詐術もスパイ工作も厭うべきものではなかった。前半生、「妖怪」と恐れられ、後半生、23年間の幽囚にも屈しなかった「悪党」の、残忍酷薄にして豪邁な生涯を活写する。

感想・レビュー・書評

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  • 1991年刊。著者は元毎日新聞論説委員。◆天保の改革における水野忠邦の懐刀として、その暗の部分における辣腕を振るった鳥居耀蔵の評伝。蛮社の獄をでっち上げた張本人でもある。さらに、水野の懐刀だったとはいえ、水野の旗色悪しと見れば豹変する。この妖怪(=耀蔵・甲斐守のもじり)の異名にふさわしい行動が、別の意味で清々しい。◆逆に、彼が失脚・刑死・獄死・自死させた開明派が幕末に現在しなかったことが、幕府消滅を招来した要因の一のようにも思えてくる。宿主まで死滅させた強毒性ウイルスにも擬せられるのでは。
    それにもまして、丸亀藩に禁錮としてお預けとなってから数十年生き延び、明治を迎えたその精神力こそ妖怪の名にふさわしいのかもしれない。他家お預けになって長期間生き延びるのは極めて稀らしいので…。

  • 名門の家柄であるけど第7子となると中々活躍ともいかないようで・・・鳥居家は番方なのか中奥の警護や役に就いたのが28歳、城中をひたすら番する詰らない閑職であるが9年我慢した挙句に辞表を出します
    3年後徒頭として将軍親衛隊となるが、乱世ならぬ時代なので相応しい出番なく2年が過ぎて西の丸目付に引き抜かれた・・・弾力的に祭りごとを行う奉行を補佐するような立ち位置であり監察のような性格ではなく出世を約束された名誉ある実務者ポストらしい
    つまり、政治の表舞台に躍り出たのは40台半ばなのだから意外である

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