黄金太閤―夢を演じた天下びと (中公新書 1105)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121011053

作品紹介・あらすじ

黄金の茶室で開かれる茶会、聚楽第の庭で金銀を下賜される何100人もの武将たち、領地を練り歩くの絢爛たる大行列。徹底して黄金太閤であることを演じ続けた天下人・豊臣秀吉の政策は、派手好みの祭好きと今日の目にはうつるが、実は衆庶の心に王者の姿を植え付けるための需到な演出に他ならなかった。版図の急速な大膨張を可能にした、この大言壮語と黄金に彩られた政策が、海を越え、破局へとなだれこんでいくまでを描く。

感想・レビュー・書評

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  • 1992年刊行。著者は東京工業大学工学部助教授。◆タイトルどおり、太閤豊臣秀吉の黄金宣伝政策の意味を問いつつ、さらに唐入りにも先の意味と同様の意味から読み解こうとする論考。◆著者の重要な視座は70頁「検地…にせよ、豊臣政権の諸政策は…在地の構造を根こそぎ変えてしまう…革新的なもの…。衆庶の生き方に直接関わる…。したがって衆庶の支持なくしては遂行できない…」「衆庶の支持の調達…に腐心」「衆庶の支持を足場にしなければ立ち行かない」にある。唐入りも秀吉の祝祭王としての名声獲得が一義的目的だったとする。
    ◇秀吉政権の政策がどれほど革新的であったかは一先ず置くとしても、国内の平和と治安回復が最大の名声獲得でもあり、減税がより名声獲得を齎した可能性もあろう。結局、どういう手法で、どういう帰結を目指して名声を獲得しようとしたかが重要で、商業経済の発展と新規の領土獲得という経済目的だったという方がより見やすいのではないか、という疑問は感じざるを得ない。

  • 演劇仕立て?で、面白かったです。

  • [ 内容 ]
    黄金の茶室で開かれる茶会、聚楽第の庭で金銀を下賜される何100人もの武将たち、領地を練り歩く〈御巡幸〉の絢爛たる大行列。
    徹底して黄金太閤であることを演じ続けた天下人・豊臣秀吉の政策は、派手好みの祭好きと今日の目にはうつるが、実は衆庶の心に王者の姿を植え付けるための需到な演出に他ならなかった。
    版図の急速な大膨張を可能にした、この大言壮語と黄金に彩られた政策が、海を越え、破局へとなだれこんでいくまでを描く。

    [ 目次 ]
    第1幕 金ぴかの祝祭王(都にて;鄙にて;インテルメッツォ)
    第2幕 海を渡った悲劇(唐入りという夢花火;情報太閤に達せず?;カーテンコール)
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著者プロフィール

1956年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、同大学大学院人文科学研究科博士課程中退。文学博士。現在、東京工業大学大学院経営工学系教授。専攻は日本史。主な著書に『中世のなかに生まれた近世』(講談社学術文庫、サントリー学芸賞受賞)、『黄金太閤』(中公新書)、『群雄創世紀』(朝日新聞社)、『黄門さまと犬公方』(文春新書)、『江戸の小判ゲーム』(講談社現代新書)、『大江戸商い白書』(講談社選書メチエ)などがある。

「2017年 『歴史小説の懐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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