裁かれる大正の女たち: 風俗潰乱という名の弾圧 (中公新書 1183)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121011831

作品紹介・あらすじ

大正年間、国家秩序の基盤は家父長権に支えられた家族制度であり、男性上位の社会秩序であった。これに反する者は古来の淳風美俗に反するとして厳しい規制を受ける。しかしこの圧力に反発する庶民のエネルギーもまた強く、その代表がたちであった。本書はの名のもとに弾圧され抵抗した有名無名の女性たちの姿を当時の新聞雑誌から再現し、デモクラシーとロマンティシズムに隠れたもう一つの大正史を照射する。

感想・レビュー・書評

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  • 新聞雑誌の実際の発言を引用しながら、大正時代の女性たちと、社会環境を明らかにした本。

    男尊女卑、旧民法がまかり通っていた時代だとわかっていたつもりでも、実際にあびせられた罵詈雑言や差別の数々を読むにつけ、憤りを抑えられない。

    特にぞっとするのは、女性たちに「忍耐」「犠牲」「我慢」「あきらめ」を強いる行為だ、という認識が、当時すでにあるということ。
    そのうえで「ご辛抱なさいまし」という発言が出てくることに、愕然とする。

    こんな時代だから司法も似たようなものかと思ったら、大審院の判決は意外とまっとうで、驚いた。

  • 今では考えられないほど男尊女卑の国だった日本の真実

    そこから自由を勝ち取ってきた女は強くなったが、男はどうか?

    文体が読みにくいが事実を知るにはいい本なのかもしれない。

  • これまた必読の胸くそ本。女性差別・迫害・搾取・酷使の実態が、赤裸々に記録されている。
    何が胸くそ悪いって、あれから100年経ったとて、日本社会…いや、日本の男どもは、何ひとつ変わっちゃいないことだ。
    本書はすでに絶版のようだが「昔のことを書いた昔の本」では断じて、ない。

    2019/7/27読了

  • 大正時代の新聞記事をつぶさに調査し、社会の徹底した男尊女卑思想の姿をより明らかにしようというささやかな労作。

    今の時代では考えられないような女性蹂躙の姿が明らかになる。考察には多少の誤りもあるが、新聞記事引用の量、質の高さが白眉の一冊である。

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著者プロフィール

清永 孝 (きよなが・たかし)
1929年熊本県生まれ。52年九州大学法学部卒業。
57年九州朝日放送入社、番組制作に携わる。89年退職、日本近代史の研究を開始する。
著書『裁かれる大正の女たち』(中公新書)、『良妻賢母の誕生』(ちくま新書)

「2016年 『第一番に捕虜になれ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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