- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121012340
作品紹介・あらすじ
細菌が原因の疫病は、抗生物質などの抗菌剤の使用によって消滅の道をたどっていると思われてきたが、現実にはペストの突然の大発生が起きたり、免疫系を攪乱する病原菌やハイテク武装した新顔が出現している。本書は、ヒトと細菌の長い生存競争のなかで編み出された相互の巧妙な攻防の体制を紹介しながら、多くの疫病の発生を考察し、さらに抗菌剤への過信と濫用の結果生じたMRSAなどの耐性菌の驚くべき実情と対策に言及する。
感想・レビュー・書評
-
(特集:「感染症」)
↓利用状況はこちらから↓
https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/NP09508283詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヒト内部での免疫系vs微生物の戦いと、人類の英知である抗生物質vs微生物の戦いという二重構造のバトルが描かれている。かなり専門用語が使われていて、素人がきちんと理解しきるにはちょっと難解。最終的には耐性菌の怖さに帰結するが、この耐性菌というのは、突然変異で生まれるのではなく、他の微生物の遺伝情報から、狡猾に耐性を掠め取っているということを知り、かなり驚いた。
-
娘から検出された、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌について調べているうちに手に取った本。専門用語も多々あったが、馴染みのない者にも読みやすくしたかったとは感じられるが、索引がないなどまだまだ配慮ができたのではとも思える。2013年9月現在、中国で家畜に抗生剤を混ぜた飼料を大量に与えているというニュースを見て、更なる耐性菌の出現に危惧せざるを得ない。効率だけを重視し、目先の便利さに目が眩むといつかしっぺ返しがくるという危機を、地球規模で共有しなければならないのだが、過去から学べず、周囲の意見も無視し、独立した教育がなされないままであれば非常に危ういのではなかろうか。
-
予想していたより教科書っぽい本だった。特に前半は免疫機構の解説が多かったが、適度にケーススタディがはさまれていて集中しやすかった。
分子生物学的には、形質の相変異がDNAレベルで起こるしくみが面白かった。また、耐性遺伝子の水平伝搬について最近論文を読んだところだったので、イメージがしやすかった。
感染症との闘いはもはや絶望的に思える。既出の抗生物質でだましだまし治療していくほかに方法はないのか。