ヒトラー・ユーゲント: 青年運動から戦闘組織へ (中公新書 1572)
- 中央公論新社 (2001年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121015723
作品紹介・あらすじ
ナチ党の黎明期、まだ党員になれない少年少女は「ヒトラー・ユーゲント」として認知された。一方ドイツには、帝政時代から独自の「青年運動」の流れがあった。それを受け継ぐ指導者シーラハのもと、「ユーゲント」には、合法的だが暴力的、というナチらしさが隠蔽されていた。健康的で自律性の高い集団として人気を博していた彼らが、ヒトラーによって戦争に利用され、破滅への道を進まされていく運命を克明に辿る。
感想・レビュー・書評
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「ヒトラー・ユーゲント」の成立から崩壊までを簡潔にしかし要諦を逃さず記述した優れた概説書。少年少女たちにとっては未だ家父長制の根強い家庭や学校から逃れることのできる魅力的な側面があったこと、しかし結局はヒトラーの狙いは、祖国のために戦って死ぬ兵士の錬成にあり、戦争勃発後はそれが露骨に現れながらも優先奮闘するヒトラー・ユーゲントの構成員にはパセティックな感情が押し寄せてやまなかった。多くの登場人物が、「ヒトラー・ユーゲント」に的を絞った概説書にさえあらわれるため、ある程度のこの時代、ヨーロッパの情勢になれてから読んだほうがいいという、概説書にあるまじき矛盾はある。一応主要人物は巻末に簡単な経歴が掲載されて、補われているが。しかし読みやすく、「ヒトラー・ユーゲント」入門書としてはこれと言って文句のつけようもないので満点とした。
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勘違いしていたのは、ヒトラーユーゲント=ヒトラーが教育のためにつくった組織、だと思っていたこと。それに、統合された青少年団の中には反抗的な態度をとるグループがいたこと、ヒトラーユーゲントを拡大化した指導者シーラハは選総動員に反対だったこと、この2点も意外で驚きだった。
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12.08.22読了。ナチのティーン世代部隊、ヒトラーユーゲントの物語。戦争という歴史に翻弄されながらも青少年教育の理想を追い求めたシーラハの話(違う?)
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2011.09.30 読了。
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プロパガンダ映画の粗筋は、なかなか知る機会がないだけに貴重。ヒトラー・ユーゲントの独立性の推移や、ナチの指向と関与した人々の指向の乖離など、ナチスの一つの面としてなかなか面白かった。
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戦時下ドイツの青少年運動が「理想」から「戦時体制」へ変転したのは、当初から矛盾を内包していたためだった。
「健全なる精神は、健全なる身体に宿る」がユーゲントのスローガンだったとは知らなかった。
オススメ度★★★★4つ。