海の友情: 米国海軍と海上自衛隊 (中公新書 1574)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121015747

作品紹介・あらすじ

日本海軍は、戦場でまみえた相手であるアメリカ海軍に対して、意外なほどの尊敬と共感を抱いていた。それは、戦後の海上自衛隊にも脈々と受け継がれ、彼らの協働態勢が、日米同盟を基底で支えてきた。本書は、日米関係の中で特異な地位を占めるこの海の絆を軸にしながら、帝国海軍の英雄たちと異なり、ひたすら訓練に励み、戦うことなく名も知られぬまま去った海上自衛隊指揮官たちの誇り高き姿を綴るものである。

感想・レビュー・書評

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  • 1 ジェームズ・アワーと海上自衛隊/2 海上幕僚長内田一臣/3 海上幕僚長中村悌次/4 海を渡った掃海艇/5 アーレイ・バークと海上自衛隊誕生/6 ミスター・ネイヴィーと増岡一郎/7 アメリカ海軍戦中派/8 江田島のはなみずき、アナポリスの桜/9 再び海を渡る掃海艇/10 海の友情、その後

  • ある米軍士官の研究した帝国海軍から海上自衛隊まで変遷(1920年から80年にかけて)を中心としたの話。

    若き将軍の朝鮮戦争と併せて読むと、重なる部分(時期)の極東情勢に膨らみが増した。

    本書の方が永田町、霞ヶ関、極東司令部や米国本土の動きがより描かれている。

  • 海上自衛隊の創設から、その後の発展の裏には日米軍人たちの友情があり、その中核であった人々にスポットを当て海上自衛隊の歴史を記したもの。ネービーとは、国内の他機関とのつながりよりも、他国のネービー同志のつながりが強く、同じ環境下で育った者同志の独特の一体感があるようだ。どのような組織でも人が重要であり、人と人とのつながりが組織に大きな影響を与えることがよくわかった。多くの米海軍軍人から厚い信頼と尊敬を得て大きく育った海上自衛隊は、なんと幸せな組織であろうとうらやましく思った。

  • 海上自衛隊の創設と発展、米海軍との密接な関係のために尽力した日本海軍、海上自衛隊、米海軍の士官たち。今日の我が国の平和をつくってきた日米同盟の繋がりの中でも特異なネイビー同士の絆を書く。
    世界有数の海軍同士の世界最大の戦いの勝者と敗者が、後に再び世界有数のネイビーとして、今度は世界でも指折りの緊密な関係を築いていく。個人的にはこんなに壮大で熱くて、面白くて関心を引く話もそうないだろうと思う。
    海軍とか海自に興味を持って、好きになったのも、思えば中高くらいのときに図書館でこの本を手に取ってからだったな。
    いやー、海軍って、本当に良いものですね。

  •  海上自衛隊と米海軍の交流を描いた書である。日米とも海軍について書かれた本は第二次大戦までは多くあるが、戦後は実戦がないだけにほとんど見当たらない。特に、どのような人物がいたかは全く知られていない。
     本書を読んで初めてそれを知り、立派な人たちが多くいたことを知った。それは米海軍も認めていたからこそ、両者の関係が次第に強まり、かつての敵対関係が陸空に先んじて同盟関係にまで達したのであろう。
     それを促したキーパーソンが両国にいたことが幸いしたこともあったが、彼らの活躍も両組織の理解があったからである。
     本書は戦後の日米関係の一端を知るのに好著である。

  • 自衛隊の歴史には全然前知識なしで、海上自衛隊と米海軍のエピソード集的に読みました。
    旧海軍出身者から続く、たくさんの人の努力があって今の海上自衛隊があるのだなと思いました。何か一つ掛け違っていたら、今の状況はなかったかも知れないわけで。
    それにしても戦後さほど経たないうちから米海軍に協力的な人が多くいたことは意外でした。

  • たいへんいい本を読んだ。

    湾岸戦争の後
    海上自衛隊の掃海部隊は、
    ペルシャ湾の掃海に従事した。

    その掃海作戦について、
    この本で初めて詳細を知った。

    アメリカ海軍に「アーレイバーク」という駆逐艦がある。
    イージスシステムを搭載した防空駆逐艦だ。

    「アーレイバーク」は、アメリカ海軍のアーレイバーク提督の名前をもらったことは知っていたが、
    アーレイバーク提督は、日本と関係が深いことを初めて知った。

    海上自衛隊の「こんごう」級は、
    「アーレイバーク」によく似ている。
    ほとんど同型艦だ。

    先日の観艦式の予行のチケットを前日になって入手したが、
    さすがに「前日」は無理で、フネには乗れなかった。

    入手したチケットは「こんごう」の乗艦券だった。
    未使用の乗艦券は、取っておこう。

  • 太平洋戦争で歴史に幕を引いた日本海軍は、どのようにして海上自衛隊として復活したのか。著者は阿川弘之さんの息子。

  • ・アワーをはじめとした個人間の友情から日米関係の深さを書いている。もちろん個人間の友情は重要で、それが国際関係を規定することも多いというのは重々承知するけど、そんな個人プレーに頼っては危ういんじゃないか、という気もする。今の日米関係なんてまさにその個人の関係が欠如しているわけで、もっと組織的、構造的な関係を構築すべきじゃないのかな。
    ・内田一臣元海幕長は、47歳海幕人事課長の時に米海軍大学の指揮幕僚課程に留学。その時まで反米的だったのが変わったとか、また帰国後は日本政府や陸空自よりもむしろ米海軍の方が話が通じると感じたとか。分からないでもないけど、それでいいのか…?
    ・終戦後も掃海部隊は第二復員省に籍を移して活動を続けたという。GHQ民生局はこれを指揮する旧海軍士官を追放しようとしたが、米極東海軍司令部が反対。結果的には海軍士官を残して正解だ。朝鮮戦争当時西太平洋での米軍の掃海能力は限定的で、だからこそこの掃海部隊に目をつけたとか。
    ・アーレイ・バークって日本との関わりだけでなく、ブーゲンビル島付近の戦闘で、米海軍にとっても英雄。日本に進駐した米海軍は、「米内光政、野村吉三郎、山梨勝之進など海軍の良識派」(=「英米派」ってことね)を丁重に遇したらしい。そしてバークは野村と保科善四郎が示した海軍再建計画を米軍内で働きかけたとか。そして政府の諮問機関「Y委員会」が発足、と。このくだりと、同じ中公新書の『自衛隊の誕生』を合わせて読めばより経緯がはっきりつかめそう。
    ・81年5月の日米共同声明の中で同盟の役割分担が述べられ、その後の鈴木総理の記者質問への回答ではシーレーン防衛が重要と述べたことが当時大きな問題になったという。鈴木総理自身は安保に消極的だったわけじゃないから、よく練られた政策決定の結果というわけじゃないはず。ソ連を念頭に置いたシーレーン防衛、って今見ると古臭いけど、80年代は重要だったってことを意識する必要はあるんだろう。

  • 日米海戦でまみえた見本海軍とアメリカ海軍は、お互いに尊敬と共感を抱いているという話。海の男の共感というやつもあるのか。

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著者プロフィール

2021年5月現在
慶應義塾大学名誉教授,同志社大学法学部前特別客員教授

「2021年 『どのアメリカ? 矛盾と均衡の大国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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